近ごろではずいぶんと少なくなってしまったホットハッチ。しかし数が減ったぶん、魅力は深く濃くなっている!? ここではトヨタの2台のホットハッチ、GRカローラとGRヤリスを比較しながら、現代のホットハッチの魅力を解き明かしていこう。
※本稿は2025年6月のものです
文:松田秀士/写真:奥隅圭之、トヨタ
初出:『ベストカー』2025年7月10日号
8ATが追加されたGRカローラ

ミラージュやシビックなど、車種ごとにワンメイクレースが開催され、ホットハッチは栄華の一時代を築いていた。あれから何年……手軽なホットハッチはほとんどなくなってしまったけれども、まだまだ日本には魅力的なホットハッチがある。
GRカローラが一部改良によって進化した。これまで6MTのみだったところに8ATが追加されたのだ。で、さっそくGRカローラ8ATから走り出そう。
走り出しに感じられるのはボディの剛性感。ただ単にガッチリ感が増したというよりも、サスペンションからのインフォメーションがダイレクトになった印象。
今回の進化のなかで注目しているのが足の改良。ステアリング系、ロアアーム系、リアダンパー周りのボルトの径をアップするなどして締結剛性を向上させた。
実際に比較のため改良前の6MTにも試乗したが、8ATに比べて20kg軽量であるにもかかわらず、足さばきのスッキリ感が異なるのだ。新型は明らかにレーンチェンジなどの応答とチェンジ後の収まりが早い。
ただし締結剛性アップだけではここまで進化しないことは明白。リアコイルスプリングのピッチバネ特性変更と、リアアクスル回転中心となる取付点を上げることと相まって、加速時のリアの沈み込みを抑えている。
さらにリバウンドスプリングを4本のダンパーに内蔵し、コーナリング時に浮き上がる内側タイヤの接地面圧を上げ、同時にリアスタビ径を24mm→23mmに落として、柔軟性と内輪の伸び側ストロークを増やしている。
これらはリアのスタビリティアップを目的としたもので、TRACKモード時の前後駆動配分「60:40」~「30:70」での、特にリア70%駆動時に大きな威力を発揮する。進化によってサーキットやワインディングでのスポーツ度が増すわけだ。
ちなみに同じパワートレーンを持つGRヤリスにも試乗したが、逆にGRヤリスのほうがサスストロークもソフトで動きが大きく感じる。
これはショートホイールベースゆえにピーキーさに少しオブラートをかけているのではないかと感じ、改めてGRカローラのスパルタンさが目立った。GRヤリスに65万円足すとGRカローラが手に入る価格差だ。
GRカローラ一部改良で大進化!
サスペンション取り付けボルトのフランジや、ボルト頭部のサイズを拡幅するなどにより締結力を引き上げた。この他、ショックアブソーバーやEPSのチューニングを変更するなど、細部を煮詰める進化を遂げた。
トヨタ GRカローラRZ(8AT)598万円
ホイールベース2640mmのCセグプラットフォームということもあり、同パワートレーンを搭載するGRヤリスよりもスタビリティに富んだ操縦性が味わえる。
●トヨタ GRカローラRZ 主要諸元
・エンジン:直列3気筒DOHCターボ G16E-GTS
・ボア×ストローク、総排気量:87.5×89.7mm、1618cc
・最高出力:304ps/6500rpm
・最大トルク:40.8kgm/3250-4600rpm
・トランスミッション:8速AT
・全長×全幅×全高:4410×1850×1480mm
・ホイールベース:2640mm
・車両重量、前軸重/後軸重:1510kg、920kg/590kg
・フロントサスペンション:ストラット
・リアサスペンション:ダブルウィッシュボーン
・タイヤサイズ:235/40R19
・タイヤ銘柄:ヨコハマADVAN APEX V601
・WLTCモード燃費:10.4km/L
●採点チェック(10点満点で0.5点刻みで採点)
・フットワークの軽快感:9点
・コーナリングの安定感:8.5点
・操縦性の確実さ:8点
・高速巡航の安定感:9点
・運転のワクワク感:9点
・アクセルレスポンス:8.5点
・パワー感:8.5点
・トルク感:9点
・総合的評価:8.5点

























コメント
コメントの使い方台数が増えてきたからだろうかな、最近運転の下手なGRをよく見るようになった。
周りが見えてないから、無理な所で加速して急ブレーキばっかり、周りに迷惑かけるのは止めてくれよと思う。場所は選べよ