夏の行楽シーズン、高速道路渋滞にはまると気になるのが「右と左、どっちが早い?」問題。車線を変えるべきか我慢すべきか、誰もが一度は悩んだはず。今回は実証データや専門家の見解を交えつつ、「どの車線が速く抜けられるのか?」に迫ります。
文:ベストカーWeb編集部/写真:ベストカーWeb編集部、Adobe Stock(トビラ写真:Adobe Stock@Ichiro)
【画像ギャラリー】右が進めば右に、左が進めば左に、進路変更せずに走行したほうが早い?(4枚)画像ギャラリー実証データが語る「意外な真実」
「高速道路の渋滞では、どちらの車線が早く進むのか?」──これは多くのドライバーが抱える永遠のテーマです。実際、渋滞中に右車線がスイスイ進んでいるのを見て「やっぱり車線変更すればよかった」と思った経験、誰でもあるのではないでしょうか。
結論から言えば、「必ずこっちが早い」と断言できる明確な確証はありません。ただし、道路状況や時間帯、周囲のドライバーの傾向などを考慮することで、傾向をつかむことは可能です。
まずは、国土交通省のETC2.0プローブデータ(ETC2.0対応の車載器を搭載した車両がITSスポットを経由して車両の走行履歴や挙動に関する情報を収集したもの)や一部の研究機関による交通流解析の結果を見てみましょう。
渋滞時、右車線と左車線では「どちらかが常に早い」わけではなく、数分単位で逆転を繰り返しているという傾向があります。
特に次のようなパターンが見られます。
・本線流入直後や出口直前では左車線が混みやすい
・中距離の渋滞では右車線の方が走行速度が高い傾向
・追い越し目的で右車線に集中→一時的に左が早くなる“パラドックス”現象
つまり、「右が早そう」と思って右に移った瞬間、左が空くという“逆転現象”は多くのドライバーが体験する通り、統計的にも裏付けられているのです。
NEXCO東日本の渋滞対策実験でも追越車線が必ずしも早いとは言い切れないという結果が出ています。もちろん、ICやSA/PAなどからの合流がある場合は右車線を走ったほうがスムーズに走行できます。
合流地点が予めわかっている場合は右側の車線を走り、合流を過ぎたところで左車線に戻るといいかもしれません。工事や事故による渋滞の場合には、規制されていない車線のほうが速く流れやすい。
料金所前で渋滞している場合、左か右か
料金所を通過する場合、例えば4~5つのゲートがある場合、両サイドのゲートを選んだほうが通過にかかる時間が早くなる傾向にあるという。ただし、料金所を通過した後に、合流をし直す必要がある場合もあります。
また渋滞中は適切な車間距離をとることも重要です。渋滞中は、割り込まれないようにと車間距離を詰めがちになるドライバーもいるが前走するクルマとの車間距離が短すぎるのは、トラブルや接触事故の原因となるばかりでなく、渋滞のさらなる悪化につながってしまう可能性があります。
特に低速で動き続けるような渋滞では、クルマ1台分、4~5mの車間距離を保つことで、前走車のちょっとした車速変化を車間距離が吸収してくれるために、後続のクルマに伝わりにくくなります。
ただし、車間距離の空けすぎもよくありません。JAFによると、車間を空けすぎていると、そのクルマの後続が車間を詰める傾向があり、新たな渋滞の原因となるとのことです。全車速域クルーズコントロールが搭載されているクルマの場合、車間を空けすぎないように設定しましょう。
車線変更の是非:何度も変えるのは逆効果?
さらに、筑波大学の交通行動心理学の研究によると、頻繁に車線変更するドライバーよりも、我慢強く同じ車線にとどまったドライバーの方が早く渋滞を抜けられる傾向があるというデータもあります。
車線変更には以下のようなリスクが伴います。
・周囲車両の速度とのミスマッチで加減速が発生
・車間距離が短くなりやすく、追突リスクが増加
・スムーズな合流ができず、結果的にさらに遅くなる
つまり、「変えたほうが早そう」と思っても、頻繁な車線変更は渋滞全体を悪化させる原因にもなりかねません。むしろ、冷静に「この車線でいいや」と割り切った方が、最終的に得をする可能性が高いのです。







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