35度の猛暑のなか外で待ちたくない!! 故障を事前に防ぐ!! 夏の大渋滞前に絶対やるべきクルマの点検とは?

35度の猛暑のなか外で待ちたくない!! 故障を事前に防ぐ!! 夏の大渋滞前に絶対やるべきクルマの点検とは?

 夏本番を前に、高速道路では恒例の大渋滞が発生します。渋滞に巻き込まれると、エンジンや冷却系などクルマへの負担が一気に増大。最悪の場合、故障やオーバーヒートも起こりえます。夏のロングドライブ前にぜひ実施したいメンテナンス項目とその理由を詳しく解説します。

文:ベストカーWeb編集部/写真:ベストカーWeb編集部、Adobe Stock(トビラ写真:NorGal – stock@Adobe Stock)

夏の渋滞がクルマに与える“隠れたダメージ”とは?

真夏の大渋滞、ストップ&ゴーはシビアコンディションと呼ばれクルマにダメージを与える(PHOTO:Adobe Stock@show999)
真夏の大渋滞、ストップ&ゴーはシビアコンディションと呼ばれクルマにダメージを与える(PHOTO:Adobe Stock@show999)

 お盆や夏休みの帰省、レジャーなどで高速道路が混雑するのはもはや風物詩。特に気温30℃超えの中、アイドリングが長時間続く渋滞は、クルマにとって想像以上の過酷環境です。

 たとえばエンジン。走行していれば走行風で冷却されますが、渋滞中はその恩恵がなく、冷却水と電動ファン頼みで熱を逃がす必要があります。結果、冷却水やオイルの劣化が進みやすくなります。さらにAT車ではトルクコンバーターの発熱が増加し、ATフルードへの負担も大。

 最新車だからエンジンオイルを1年交換しなくてもいい、とタカをくくっていないだろうか。たしかに、エンジンオイル交換時期は、通常の場合、1年または1万5000kmの早いほうと推奨されている。

 しかし、酷暑日などに走行した場合は、専門用語でシビアコンディションと呼ばれ、いわば想定外に近い状況。もちろん暑さだけでなく、エンジンの負荷の大きい上り坂の走行が多い、雪道での走行が多い、8km以下を基準とした近距離の使用が多い、30km/h以下の低速走行が多い、アイドリングが多い、といった走行状況がシビアコンディションと呼ばれている。

 特に酷暑日に渋滞やストップ&ゴーの多い街中での走行の場合、エンジン内部で水蒸気が起き、その水蒸気は油温が上がらないと蒸発せずにエンジン内部に残るため、エンジンオイルの劣化を早めることになる。

 こうしたシビアコンディションの場合、エンジンオイルの交換サイクルは、通常が1年または1万kmの場合、半年または5000kmとなるのだ。つまり、通常の半分の期間、走行距離で交換必須となるのだ。

 では、具体的にどんなメンテナンスが必要なのでしょうか?

1/エンジンオイル&オイルフィルターの交換

 高温でのアイドリングやストップ&ゴーの繰り返しは、エンジンオイルを一気に劣化させます。オイルが劣化すると潤滑性が低下し、エンジン内の摩耗や焼き付きのリスクが高まります。

 とくに夏場のロングドライブ前には「早めの交換」を心がけましょう。メーカー推奨の交換距離より短めに交換するのがベター。オイルフィルターの交換も忘れずに。

2/冷却水(LLC)のチェックと補充・交換

クーラント液を見て汚れがないか減っていないかチェックしよう(nikkytok@Adobe Stock)
クーラント液を見て汚れがないか減っていないかチェックしよう(nikkytok@Adobe Stock)

 渋滞ではラジエーターと電動ファンがフル稼働。冷却水が劣化・減少していると、冷却性能が十分に発揮されずオーバーヒートを招く危険もあります。

 冷却水は長寿命タイプ(LLC)であっても、2~5年ごとの交換が推奨されており、また夏前の点検で量と濃度をチェックしておくのが安心です。最近の車種ではリザーバータンクに「LOW」表示があれば即補充を。

3/エアコンのメンテナンスも忘れずに!

エアコンの効きが悪くなり、やがて吹き出し口から熱風が出てきた場合、エアコンガスの不足を疑おう。整備工場、ディーラーや大型カー用品店でエアコンガスの補充ができる(写真:JJ-Gouin-Stock@Adobe Stock)
エアコンの効きが悪くなり、やがて吹き出し口から熱風が出てきた場合、エアコンガスの不足を疑おう。整備工場、ディーラーや大型カー用品店でエアコンガスの補充ができる(写真:JJ-Gouin-Stock@Adobe Stock)

 エアコンが効かない──これは夏の車内における地獄絵図。冷風が出ない原因として多いのがエアコンガス不足やエアフィルターの目詰まり。ガスチャージとフィルター交換で性能が劇的に回復することもあります。

 また、エアコン使用によるエンジン負荷が増えることで、エンジンオイルの劣化も加速。トータルで点検しておくと安心です。

■エアコンの修理費用目安(工賃込み)
・ガス補充/約3000~5000円
・ガス漏れ修理/約2万~3万円
・エアコンコンプレッサー交換/約5万~10万円
・ファンモーター/約4万~5万円
・エバポレーター交換/約5万~10万円
・エキスパンションバルブ交換/約2万円
・エアコンフィルター交換/約4000~6000円(年1回交換)
・サーモスタット交換/約1万円
※価格は車種によって異なりますので目安としてください

4/バッテリーの点検と充電

バッテリー交換の目安は2~3年といわれているが、ほったらかしにしているとこのように緑青や硫酸塩の粉が吹いている場合が多い(Songkhla Studio@Adobe Stock)
バッテリー交換の目安は2~3年といわれているが、ほったらかしにしているとこのように緑青や硫酸塩の粉が吹いている場合が多い(Songkhla Studio@Adobe Stock)

 暑さによるバッテリー液の蒸発や内部劣化は、エンジン始動トラブルの主因。特にアイドリングが長時間続く渋滞中は、充電より放電が勝ってしまいがち。

 出先で「エンジンがかからない」という事態にならないためにも、夏前にバッテリーの電圧チェックを。2年以上使用している場合や弱っている兆候があれば交換を検討しましょう。

5/タイヤとブレーキのチェックも重要!

 炎天下のアスファルトは60℃以上に達することもあり、タイヤの空気圧やゴムの状態もチェックが必要。空気圧が低いと燃費が悪化し、偏摩耗やバーストのリスクが高まります。

 加えて、長時間の渋滞ではブレーキの使用頻度も増え、ブレーキフルードやパッドの劣化が進行。摩耗限度を超えていたり、ブレーキの効きが甘いと感じたら、点検を。

走行頻度が少なくても劣化は進行。危険な状態のタイヤで走行することがないよう、購入から時間が経ったタイヤの状態はマメにチェックしよう
走行頻度が少なくても劣化は進行。危険な状態のタイヤで走行することがないよう、購入から時間が経ったタイヤの状態はマメにチェックしよう

プロの点検とセルフチェックを併用しよう

 整備工場やディーラーでの「夏の安全点検キャンペーン」を利用するのも手。最近では無料点検サービスを実施するカー用品店も多く、気軽にチェックできます。普段メンテナンスをまったくしない人は利用をおススメします。

 一方、日常点検として以下の項目を出発前に自分でも確認しておきましょう。

・ウインドウウォッシャー液の残量
・ワイパーのふき取り具合
・灯火類の点灯確認
・タイヤの溝とひび割れ
・クーラント液とエンジンオイルのレベル確認

次ページは : 編集部まとめ

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