歩道の通行が可能な場合も「徐行」は必須
しかしながら、交通事故の原因または悪質性・危険性・迷惑性が高い違反であって、警察官の警告に従わずに違反行為を継続したときや、違反行為により通行車両や歩行者に具体的危険を生じさせたときなどには、積極的に取り締まりを行うとしています。
特に注意が必要なのが歩行者との関係です。反則金制度が始まる前の現状でも、一時停止の標識がある場所で停止せずに進行し、横断歩道上の歩行者の歩調を緩めさせた場合や、歩道において歩行者を立ち止まらせて歩行者の通行を妨げた場合などは、取り締まり事例として報告されています。
前述したように、悪質性や危険性が高くないケースは、これまでの基本的考え方に基づく指導を継続するとされていることから、単に歩道を走行しているだけで、すぐに青切符交付とはならないかもしれませんが、歩道を高い速度で走行したことで歩行者が立ち止まるなど、歩行者に危険を感じさせる行為は、取り締まりの対象となる可能性が高いと考えられます。
ちなみに自転車は、普通自転車であれば例外的に歩道の通行が可能となる場合がありますが(普通自転車歩道通行可の標識等がある場合や、13歳未満の子供や70歳以上の高齢者、身体の不自由な人が普通自転車を運転するとき、また車道や交通の状況に照らして当該普通自転車の通行の安全を確保するためやむを得ない場合)、その場合も、歩道の中央から車道寄りの部分を徐行しなければならず、また歩行者の通行を妨げるときは、一時停止しなければならない、と道路交通法で定められています(第63条の4)。
徐行とは「直ちに停止することができる速度」。自転車が歩道を猛スピードで走行し、歩行者が思わず避けるという場面はよく見かけますが、今後はそうした行為にも、取り締まりの目が向けられる可能性があるでしょう。
気軽な乗り物だからこそ安全意識を
現状の取り締まり事例としてはほかにも、一時停止が指定されている場所で、傘を差しながら一時停止することなく進行した場合や、スマートフォンを見ながら赤信号を無視した場合なども報告されていることから、傘を差していたりイヤホンをしている状態、またスマートフォンを手に持った(もしくは画面を注視した)状態で、信号や標識に従わない場合も、今後積極的に取り締まられることになる可能性があります。
内閣府によると、2022年に発生した自転車関連死亡重傷事故件数は、全国で7,107件。2013年と比較して、3,433件減少しているものの、すべての死亡重傷事故が46,652件(2022年)から27,349件(2013年)と41%減少しているのに対して33%の減少にとどまり、死亡重傷事故件数に占める割合としては、むしろ増加している状況です。
この自転車関連死亡重傷事故件数(2018年~2022年までの合計)のうち、約31%が自転車が第1当事者(事故当事者のうち、もっとも過失の重い者)となる事故だったそう。法令違反も少なくなく、自転車が第2当事者であっても、約60%に法令違反が認められたとのこと。
今回の反則金制度導入は、自転車の事故を減らし、運転者の意識を高めるための施策です。当該行為が道路交通法違反であり、刑罰の対象となることを認識してもらうという点で意義のあることですし、反則金を納めなければならないということ、またその場で通告されるというプレッシャーが、より強い抑止力になることでしょう。気軽に利用できる自転車ですが、車両であるという意識を持ち、安全な方法で運転をするよう心がけましょう。











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