車両盗難に関わる「ナンバープレート」盗難急増中!!! 封印の役割と軽自動車についていない理由とは

車両盗難に関わる「ナンバープレート」盗難急増中!!! 封印の役割と軽自動車についていない理由とは

 近年、車両盗難とともにナンバープレートの盗難が全国的に急増しています。さて、車両のリアに取り付けられるナンバープレートの封印には一体どんな意味があるのでしょうか? そして、なぜ軽自動車には封印がついていないのでしょうか?

文:ベストカーWeb編集部/写真:ベストカーWeb編集部

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ナンバープレート盗難の現状とは?

弊社社有車のナンバープレートの左上にあるのが封印。封印はアルミ製で東京なら「東」、大阪なら「大」といったように、封印の表面には地方運輸局に属する各運輸支局の刻印が入っている
弊社社有車のナンバープレートの左上にあるのが封印。封印はアルミ製で東京なら「東」、大阪なら「大」といったように、封印の表面には地方運輸局に属する各運輸支局の刻印が入っている

 警察庁が2025年3月に発表した資料によれば、2024年に発生した自動車盗難の認知件数は6080件で前年度(5742件)より増加しています。

 また、2024年の警察庁のデータでは6355件と、部品狙い全体のうち、ナンバープレートの被害の割合は、全体の43.2%と、依然として高い割合となっています。警察では、こうした結果を受けて、防盗性が高い「盗難防止ネジ」の普及促進を図っています。

大阪府警が推奨しているナンバープレートを盗まれにくくする盗難防止ネジ。封印キャップに変わるものではない
大阪府警が推奨しているナンバープレートを盗まれにくくする盗難防止ネジ。封印キャップに変わるものではない

 盗まれたナンバーは他の犯罪車両への転用や、走行中の自動車ナンバー読み取りシステムの回避などに悪用されている可能性があり、公共の安全を脅かす重大な問題となっています。

 では、この被害を防ぐ手段として「封印」がどのような役割を果たしているのかを見ていきましょう。

「封印」とは何か?──その仕組みと意味

正式には封印キャップと呼ばれる
正式には封印キャップと呼ばれる

 ナンバープレートの「封印」とは、後部ナンバープレートの左側に取り付けられた金属製のキャップのことを指します。正式には「封印キャップ」と呼ばれ、国土交通省が指定する運輸支局で、車両登録や名義変更などの手続き時に装着されます。

 この封印は、「そのクルマが正式に登録されていることを証明する」公的なシンボルであり、封印が外される=不正改造や不法使用の可能性を示すサインとして機能しています。

 また、封印を装着できるのは陸運局や指定業者のみで、一般の整備工場では装着できません。封印を破壊・除去する行為は法律に抵触する可能性があり、最大で6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられることもあります。

なぜ「軽自動車」には封印がないのか?

弊社所有の軽自動車のナンバープレート。登録車にあるはずの封印キャップがない
弊社所有の軽自動車のナンバープレート。登録車にあるはずの封印キャップがない

 多くのドライバーが疑問に思うのが、「なぜ軽自動車には封印が付いていないのか?」という点です。

 理由は制度上の違いにあります。普通車は国の管轄(運輸支局)で登録される「登録車」であるのに対し、軽自動車は「届出車」として、軽自動車検査協会の管轄となります。

 この「登録車」と「届出車」の法的区分が、封印の有無を分けるポイントです。届出車である軽自動車は、正式な登録行為が必要ないため、封印による「登録の証明」も必要とされていないのです。

 加えて、封印装着のためには現車を運輸支局に持ち込む必要があるため、販売台数の多い軽自動車にこの制度を適用するには膨大な事務負担が発生します。そのため、制度上封印の対象外とされているわけです。

 封印の最大のメリットは、「ナンバープレートの取り外しにくさ」です。封印によって、ナンバーを不正に外そうとすると目立つ破損が発生し、盗難を未然に防ぐ抑止効果が期待されます。

 とくに、盗難目的でナンバーを取り外すには、封印を破壊しなければならず、工具を用いる必要があります。この作業は音も出やすく、目撃されやすいため、犯人にとってはリスクが高いのです。

 軽自動車に封印がないことで、「軽のナンバープレートのほうが盗みやすい」と考える犯罪者もおり、軽自動車オーナーは特に注意が必要です。

封印がある車両の「名義変更」や「引っ越し時」の注意点

移転登録などの手続きにしたがってナンバープレートを取り外す時は運輸支局の敷地内に限り、所有者が自ら取り外すことができる。ただし取り付けはできず、執行官が車検証と車体番号、ナンバープレートを照合したうえで封印をする
移転登録などの手続きにしたがってナンバープレートを取り外す時は運輸支局の敷地内に限り、所有者が自ら取り外すことができる。ただし取り付けはできず、執行官が車検証と車体番号、ナンバープレートを照合したうえで封印をする

 ナンバーに封印がある車両では、名義変更や引っ越しによって運輸支局の管轄が変わる際に、封印を一度外し、再度取り付ける「再封印」の手続きが必要になります。これは通常、運輸支局で行いますが、行政書士などが対応する「封印代行サービス」を利用すれば、自宅での取り付けにも対応可能です。

 万が一、封印を紛失・破損してしまった場合も再発行が可能です。手続きは以下の通りです:

申請先:ナンバープレートの管轄を担当する運輸支局または自動車検査登録事務所
・必要書類:
自動車検査証(車検証)
封印再交付申請書(所定様式)
車両の持ち込み(原則必要)
本人確認書類
・手数料:地域によって異なりますが、数百円~1000円程度が一般的です。

 封印が破損している場合は、封印の破片も持参するとスムーズです。なお、再封印の際にも、車両の現物確認が必要なため、車の持ち込みが原則です。ただし、一部地域やケースによっては、再封印の代行対応が可能な事業者も存在します。

オークションに出品するのは違法?

 ここ数年、日本のナンバープレートは日本車人気も相まってebayなど海外のオークションサイトに出品されています。ナンバープレートにある直径40mmの穴を開ける破壊措置を講じた後、記念所蔵として持ち帰り、オークションなどに出品されています。

 国交省によると、記念所蔵のナンバープレートを転売することは問題ありませんが、有効なナンバーのように見せかけて不正使用することは厳禁。ナンバープレート不正使用の罪は大変重く、道路運送車両法98条に違反すると最高で3年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金に処される可能性があります。

 ではオークションで出品することは可能なのでしょうか? ヤフオク!では、「自動車のナンバープレートは仮ナンバー(本物)を含め、使用済み(記念所蔵)か否かに関わらず出品ガイドライン(公的機関等の発行による免許、許可証、証明書)に違反するものとして取り扱っています。

 本物ではないもの(フェイク)については、自動車登録番号標として行使をする目的で製造されたものは道路運送車両法違反となりますが(同法98条1項、2項)、インテリア用やイベント用など、適法な利用用途があるものにおいても、外観上、一定程度紛らわしいものについては、購入者が法令違反行為をする恐れがあることから、一定の線引きをしてガイドライン違反として対応しているとのことです。

 つまり、国交省は「転売問題なし」としていても、ヤフオク!、PayPayフリマではフェイク含めて「出品禁止物」の対象となっています。盗難車の逃走など犯罪に使われるおそれがあるからです。

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