2025年5月31日、「富士24時間レース」で盛り上がる富士スピードウェイにて、トヨタ、ENEOSなどが共同会見し、ガソリンにバイオエタノールを約20%混合した低炭素ガソリンの実用化を目指す方針を表明。バイオ燃料の普及が進むか!?
※本稿は2025年6月のものです
文:国沢光宏/写真:トヨタ、ENEOS
初出:『ベストカー』2025年7月26日号
スーパー耐久で低炭素ガソリンを使用
ENEOSやトヨタなど5社が共同で会見し、ガソリンにバイオエタノールをおよそ20%混ぜた「低炭素ガソリン」の実用化を目指す方針を表明。
はたしてバイオ燃料とはどんなものか? ブラジルやメキシコなどで普及しているガソリン代替の燃料となり、原料はサトウキビやトウモロコシなど。
植物は大気中の二酸化炭素を吸収する。植物を使った燃料はカーボンニュートラル(二酸化炭素の排出量が相対的にゼロ)とされる。
そいつをガソリンに混ぜることで二酸化炭素の排出量を簡単に減らせる。文頭の20%混合なら、ガソリンより20%燃費よくなったようなもの。インディカーのように100%再生可能燃料にすれば(バイオエタノールがメイン)、二酸化炭素の排出量はゼロになります。
ここまで読んで「それじゃ電気自動車や燃料電池車でなくバイオエタノール車にすればいい」と思うことだろう。そのとおりなのだけれど、なかなか難しい。
サトウキビやトウモロコシは人間&家畜の食糧にもなる。燃料用に使ってしまうと、凶作の時に収入の少ない人間や、豊かでない国の家畜とバッティングしてしまう。
そんなことから「食糧でバイオエタノールを作っちゃいかん!」と決められた(ブラジルやメキシコは例外措置)。となると安定してバイオエタノールを作る原料が限られてしまう。
現時点では「サトウキビの絞りカス」くらいしか選択肢なし。もっと効率よく(安く、と同意語)バイオエタノールを作れる原料を探す必要がある。
そうこうしているウチ、欧州は厳しい排気ガス規制を打ち出してきた。バイオエタノールを燃やすと、やはりNOxや潤滑油から出る「エミッション」を出してしまう。
そいつを禁止しようとしている。つまりエンジンにダメを出そうとしているのだった。したがってバイオエタノール燃料でカーボンニュートラルという目的は達成できないと思う。
一方「二酸化炭素の排出量を減らそう」という動きにはキャッチアップ可能。ナニもやらないよりずっといい。今後25年くらいの主役になるかもしれません。
問題はコスト。現在日本ではバイオエタノールの生産を行っていない。100%輸入に頼っている状態。ブラジルなどガソリンより安いですから。
日本でもガソリンと同等か、それ以下のコストでバイオエタノールを作る技術を確立しないと「絵に描いた餅」となってしまう。
ENEOSは本気で取り組もうとしているかとなれば「ネガティブ」のように見える。我が国の石油利権はコメの利権より強固。そう簡単に石油に変わるエネルギーが登場するかとなれば、難しいと思う。







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