■元ロードスター開発主査が語るレストア事業の本音
なぜマツダがレストア事業を始めたのか? それは「マツダとしての責任」があるからです。初代NAロードスターは世界で45万台も売れた。国内でも11万台売れている、この手のクルマとしては驚異的な人気車です。そのうち、ナンバーが付いて元気に走り回っているクルマが国内で2万台ほど残っています。一番新しくても23歳。凄いでしょう。
古ければ車齢31歳のスポーツカーが、現役バリバリで走っているんですよ。でもクルマは工業製品です。どんなに慈しみ愛されていても、やはり経年とともに壊れてくる。残念ながら年間に300台のペースで廃車になっているという事実もある。
そのいっぽうで「オリジナル状態でリフレッシュしたい」という強いニーズもある。それならマツダがやりましょうと。反響は大きかったですね。この事業を発表した直後に、ロードスターの中古価格が跳ね上がるという現象が起きたほどです(笑)。
レストアを受けつけるのは今のところNAだけ。しかも無事故という条件つきです。ウェブで申し込まれると、専門スタッフがクルマを診断しに行くのですが、パスしたのは半分の方だけです。事故車と知らずに中古を買ってしまった方が多いんですね。嘆く人もいれば、それなら、とその場で信頼できるショップに買いに行かれる人もいます。
コストはかかりますよ。基本メニューが250万円で、内装からエンジン、シャシーまでリフレッシュするフルコースだと500万円近くかかります。1台につき3カ月かかりますから、年間に捌ける数は4台きり。すでに5台レストアしましたが、そのうちの4台がフルレストアです。
貴重な潜入取材を終えて思ったのは、これだけの仕上がりで愛車がレストアされるのならオーナーとしては決して高いものではないのかも。アナタもどうですか?
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