もはやワゴン系のマストアイテムとなっているスライドドア。今ではさまざまなアイデアも盛り込まれ、装備していることが当たり前のようになっているが、当初はアッと驚くような斬新なものもあった。そんなスライドドアの可能性を広げたパイオニアとは?
文/木内一行、写真/スズキ、ダイハツ、トヨタ、ホンダ、日産、三菱自動車、CarsWp.com
【画像ギャラリー】スライドドア普及の立役車をもっと見る(14枚)画像ギャラリー「独創的すぎた両側センターピラーレス」 日産・プレーリー
居住性と多用途性を追求しながら、クルマの基本性能を十分に兼ね備えたクルマとして1982年に登場した初代プレーリー。
まだミニバンというジャンルが確立されていなかったため日産は「ニューコンセプトカー」と表現していたが、ビッグキャビンや多彩なシートアレンジとともに注目を集めたのが乗用モデルでいち早く採用した両側スライドドアだった。
「ピラーレスフルオープンドア」と呼ばれるそれは、センターピラーレス車体構造とスライドドアを組み合わせた世界初の機構。四角いフォルムを活かした広い居住空間とともに、左右のセンターピラーを無くすことで圧倒的な解放感や高い乗降性も手に入れた。
今から40年以上も前にこんな画期的な構造を採用したプレーリーは、まさに時代を一歩リードした存在だったのだ。
「乗降性を高め、車内移動をラクにする特大の扉」 トヨタ・ポルテ
それまでスライドドアというとワンボックスカーやミニバンに採用される装備と考えられていたが、その概念は2004年に登場したポルテで覆されてしまった。
見た目はかわいらしいコンパクトワゴンといったポルテだが、革新的だったのはそのパッケージで、助手席側に大開口の大型スライドドアを採用したのだ。これにより、ひとつのドアから乗員すべてが乗り降りでき、荷物の積み下ろしも可能になった。
また、乗降口の段差をなくした300mmの地上高、大型ミニバン並みの1390mmという室内高により、スムーズな乗り降りとともに室内の移動もできる「ウォークイン・ウォークスルー」を実現。さらに、750mmのロングスライド機構を持つ助手席を採用したことで、豊富なシートアレンジも可能となった。
多様化するニーズに対応するべく生み出された、新たなスタイルといえよう。
「セミトールでも受けたいスライドドアの恩恵」 三菱・eKワゴン

スライドドアは時代とともにさまざまなジャンルに普及され、ついにはセミトールワゴンの軽自動車でも採用されるようになった。
2006年に登場した2代目eKワゴンがそれで、左側リアにスライドドアを採用したグレードが登場した。
ボンネット型軽乗用車として初の電動スライドドアは、独自のインナーレール式により限られたサイズのなかで最大限の開口幅を確保。
さらに、スライド全開時でもドアが車体後端より突出しない構造とし、操作力の軽減と半ドアを防止するイージークローザーを装備するなど、安全性や操作性を高める工夫も施されている。
その一方、スライドドアの窓が開かなかったり、室内への張り出しがあるなどのネガがあることも事実。
とはいえ、セミトールスタイルながらスライドドアを採用したeKワゴンが、ユーザーの新たな選択肢になったことは間違いない。
















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