50周年の大冒険! ホンダ学園生30人が佐藤琢磨選手とともに世界ラリー名門コースに挑戦

スペシャルタイヤを依頼したドライバー佐藤琢磨選手の本気

バナーにサインを書き込む佐藤琢磨氏。「No Attack、No Chance」は常に攻め続ける佐藤氏の代名詞となっている
バナーにサインを書き込む佐藤琢磨氏。「No Attack、No Chance」は常に攻め続ける佐藤氏の代名詞となっている

 一方、サンセット号のドライバーをつとめる佐藤氏にも目標についての質問があった。佐藤氏はこう受け答えた。

「学生のプロジェクトですから、全員が安全にチャレンジを遂行でき、すべての工程を終えるというのがやはり最大の目標になります。自分の目標としてはできるだけ学生たちの手を煩わせず、ていねいに運転しながらも、やはりレーシングドライバーですから、ホンダらしく一番を狙っていきたいなと。

 ただ、結果は後からついてくるものですし、ヒストリックラリー自体が速いから一番になるわけではないので、気持ちとしては、何事も手を抜かずに妥協せずに一番を狙っていきたいと思っています」

「No Attack、No Chance」を掲げる佐藤氏らしい選手宣誓となった。

 ちなみに、佐藤氏がラリーに出場するのは初めて。ただ「コ・ドライバーの指示に従って走るのは、スポッターの指示を聞きながらインディ500を戦うのと共通する部分があり、完全にゼロではない」とのこと。佐藤氏がブリヂストンにスペシャルタイヤの製造を依頼したことも明かされ、本気度が伝わる質疑応答となった。

学園全体を包み込むホンダ愛が学生のパワーの源

手前がリアエンジンのライフ。タイプRというより、ホンダのオールドF1に見えなくもない
手前がリアエンジンのライフ。タイプRというより、ホンダのオールドF1に見えなくもない

 ホンダ学園の学生のモチベーションが高いのはなぜか? 筆者は「ホンダ愛」にあふれるクルマやバイク好き学生が全国から集まることが最大の理由と考えている。

 HTC関東/関西には現在、サービスエンジニア学科(2年制)、一級自動車整備学科(4年制)、研究開発学科(4年制)という3つの学科があり、大別すると整備系と開発系の2つに分かれている。どちらも実際の就職先と同じ環境やツールで学ぶことができ、卒業生の多くはホンダカーズやホンダ、サプライヤーに就職。

 なかにはF1のレッドブルで活躍しているOBもおり、ホンダ印を夢見る若者にとって、ホンダ学園は魅力的な選択肢だろう。

 実際、キャンパス見学中に言葉を交わした学生からもホンダ愛を強く感じた。課外活動用に学生が製作した車両を見ても同様。HTC関東/関西はクラブ活動に力を入れており、モータースポーツ部や自動車整備部の車両を見ることができたが、ホンダ伝統のタイプR風カラーリングをモチーフにしたリアエンジンのライフがあり、なかなかのマニアっぷり。

 オフロードバイクを楽しむオフロード部もあり、しっかり学んでホンダマンとして社会に出る準備をしたい、目的意識の高い学生が集まっているのだろう。

「若者のクルマ離れ」が叫ばれて久しい日本だが、こんなにもキラキラしたクルマ好きの若者がたくさんいることに驚きを隠せない。ホンダ学園創設者、本田宗一郎氏の「技術の位置を認識し、かつ人に愛され信頼される人間作りが最優先されるべきです」(開校時のメッセージ、一部抜粋)という方針は、確実に実を結んでいる。

 2026年2月1日(日)にスタートする、ラリー・モンテカルロ・ヒストリック本番は全自動車業界が注目する、一大イベントとなるだろう。

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