お盆の時期だけでなく、休みの日になるとよく見かける、高速道路の追い越し車線を居座り続けるクルマ。その背景には思い込みやルールの誤解、運転支援システムの影響まで複数の要因があります。本稿では通行帯違反の法的リスク、安全に穏便に解決する実践手順まで、深堀りします。
文:ベストカーWeb編集部/写真:ベストカーWeb編集部、写真AC(トビラ写真)
追い越し車線に居座り続けるドライバーの心理
なぜ追い越し車線に居座り続けるのでしょうか? 後ろからクルマが来ているのに、最高速度を守っているから自分は正しいと思っているのでしょうか? 居座り続ける理由について考えてみました。
1:「自分は速い」という思い込み
右側=速いクルマのレーンという固定観念から、「自分は流れに乗っている」「制限速度付近だから問題ない」と判断し、追い越しが終わっても戻らないケースが多いです。
実際の交通流は刻々と変化し、後続のさらに速い車が接近する場面も少なくありません。右車線は“通行車線”ではなく“追い越すための車線”であることを忘れがちです。追い越し車線を走り続けると車両通行帯違反になる点を理解していないのでしょう。
2:車線変更が面倒くさい? 忘れている?
ミラー確認→目視→ウインカー→ステアリング操作という一連の手順を面倒と感じ、「空いているからこのままでいいや」と右に滞留してしまう心理。加えて長距離ドライブによる注意力低下も、戻り忘れを招きます。
3:ルールの誤解、“追越=右、常時走行もOK”という誤読
道路交通法では、追い越しは原則“右側から行い、終わったら速やかに走行車線へ戻る”のが基本。左からの追い越しは原則として想定されておらず、右側への復帰義務を軽視する誤解がトラブルの火種になります(条文の趣旨は「追い越しは右から」)。
4:運転支援システム(ACC/LKA)の影響
全車速対応ACCで右車線を走り続けると、前走車に自動追従して“そのまま滞留”が起きやすいです。ACCは速度と車間を一定に保つには有効ですが、「追い越しが終わったら戻る」という判断までは代行しません。右に出たあと“戻る操作”をドライバーが意識しないと、後続に詰まりを生みやすいのです。
5:安全志向の過剰化(大型車・合流を避け続ける)
「左はトラックが多く怖い」「合流が続くから右が安全」と考え、長く右を維持するパターン。意図は安全でも、右滞留は後続の左追い越しを誘発し、全体の安全度を下げます。NEXCOのマナーガイドも、車線の正しい使い方と円滑な交通流の重要性を繰り返し周知しています。
追い越し車線に居座り続けると通行帯違反!
追い越しを終えたのに右側を走り続けると「車両通行帯違反」にあたり、違反点数1点/反則金6,000円(普通車)の対象です。「制限速度内だからOK」という言い分は通りません。右は“追い越しのための一時的な場所”。これが大原則です。
右滞留が続くと、後続車が左側から追い越す危険行動に出たり、過度な接近・パッシング・幅寄せなど“あおり”を誘発しやすくなります。
2020年の法改正で創設された妨害運転(あおり運転)は、免許取り消し相当の重い罰則もあり得る重大違反です。感情的対立に発展させないことが、自己防衛の第一歩です。
居座り続けるクルマに対する“安全で穏便な”対処とは
もし、前走車が追い越し車線を居座り続けていたら、後続車のアナタはどうすればいいでしょうか? なるべく安全、穏便に対処する方法とは?
Step1:十分な車間をキープ(最低でも2~3秒)
至近距離で詰めるのは絶対NG。先行車の挙動を観察する余裕を確保します。車間が詰まると相手は「威圧された」と受け取りやすく、逆効果です。NEXCOの啓発も“余裕ある車間”を基本としています。
Step2:相手が戻らないなら、自分が左へ“先に戻る”
右に閉じ込められた感覚がストレスを増幅させます。安全な間隔と速度差を確認できたら、いったん自分が走行車線へ戻り、距離を置くのが賢明です。
無理に左から抜くより、時間を置いて交通流がほぐれる瞬間を待つほうが安全。「右の滞留=通行帯違反」のリスクは相手側にあります。あなたはリスクを取りにいく必要はありません。
Step3:やむを得ず追い越す局面でも“法とマナー”を優先
法の趣旨は“追い越しは右から”。左から速度差をつけて抜き去る行為は、危険性が高く推奨できません。見かけ上、相手が右で減速しても、焦って左から抜くほど危険度は跳ね上がると心得ましょう。
居座り続けるドライバーへの提言
もし、追い越し車線を居座り続ける、そんな心当たりのあるドライバーの方がいましたら、ぜひ以下の提言を読んでください。
・「右に出たら、必ず戻る」を口癖に
追い越しが完了したら3回呼吸以内にウインカー→ミラー→目視で左へ。
・ACC使用時は“戻る”も自分の仕事
追従はシステム、レーン選択はあなた。
・合流や大型車が続く区間こそ“戻る練習”
左が混んでいても、戻る→少し走る→再度右で追い越すの繰り返しが交通全体の円滑性を高めます。
・速度計だけでなく“後方”を定期に見る
ミラーは10~15秒に1回が目安。
編集部まとめ
追い越し車線に居座る行為は、単なる“マナー違反”ではなく、法的リスクと事故誘発の温床です。ドライバー一人ひとりが「右は追越のため」「終わったら戻る」を徹底することが、渋滞を減らし、ムダなストレスとリスクを遠ざけます。
運転支援が進化しても、レーンの選択と譲り合いは人の仕事。今日から実践できる小さな行動(車間・短い合図・先に戻る)を積み重ね、余裕ある高速ドライブを取り戻しましょう。










コメント
コメントの使い方「前の車を罵っているサルは、自分も追い越し車線をはしりつづけていることがなぜ理解できないのか?」という謎について、なぜ触れないの?
さらにいえば「制限速度にイラつくサルが、なぜ車の免許もっているの?」という謎とかも。
仕事で年間数万km高速に乗っていましたが、追越車線に遅い車がいてもやることは変わりません。左車線の方が順調に流れていれば左車線を安全に走るだけです。
法律的には追い越しと追い抜きの違いや登坂車線の60km/h制限などに注意すればそんなに気にしても仕方ないですね~
煽り運転ばかりが取り沙汰されて煽られるのは可哀想な被害者と言う構図が出来てしまった
結果追い越し車線をゆっくり走っていても煽る奴が悪いと心底思っているドライバーも多い
空いているのに並走して道を塞いでいるケースはかなり多く、しかもわざとやっている人もいる
日本の道路に爽やかな譲り合いなんて精神は無い
追い抜き車線では右ウインカー➡️
40年前(どうなっているか?分かりませんが)
北海道で免許を取りました
高速道路での追い抜き車線上は右ウインカーをずっと出しぱなしでした
追い抜きの為に使うので当たり前だと思っていましたが
その後20歳過ぎに東名高速道路を走航の際の状況は今と何ら変わらない状態となっていました。
片側2車線ではどうしようもない交通量でしたので
良い悪いは別として、昔からやってるのがリスク回避出来るだろう車間をとってピッタリと追従し、左側から行けるタイミングが出来ればとっとと左側に移ってブッチして、左側から行けない場合はそのまま追従し左側に移ったタイミングでブッチしてこれ見よがしに速攻で走行車線に戻る。
追越車線を走り続けるのは、車線変更という(そのドライバーにとっては)難しい動作の回数を減らしたいから。
車線変更が難しいならずっと左車線を走ればいいのだが、「先行者と適切な間隔を空けて走り続ける」のも(そのドライバーには難しいので)できない。
追い越し車線に居座る車は、後ろなんて全然見てないし
この記事も読まないし、自分が該当すると思ってない
左から並んでスマホ向けると慌てて左車線に戻る
本人も悪いことやってんのは分かってんのよね
民度の問題
法律を知らない、自己中心主義者です。
教習所・免許更新時に意外と話にでない、キープレフト・追いつかれた車の義務を知らない。
小生の最寄り道路では、走行車線10%で皆様追い越し車線です、キープレフトが間違えに
思えるほどです。尚、左からの追い越しは違法だそうです、煽りより煽られ運転が多いです。
走行車線に戻れるタイミングに戻らない車はどんどん捕まえて欲しいし、現認している警察も左追い越しした車を捕まえるのではなく追い越しを走り続けている車を捕まえて欲しい。2台とも捕まえるならまだ分かるが。
左追い越し違反や煽り運転の原因を作っていて、そもそも過失を増やすべき。