中高年女性には、好きな歌手や俳優の「推し活」をしている人が多いらしい。では中高年男性はどうだ? 彼女たちのように活き活きと輝きたくても、元気なくショボクレてはいないか? カーマニアに等しく訪れる「60代の壁」とは!?
※本稿は2025年7月のものです
文:清水草一/写真:日産 ほか
初出:『ベストカー』2025年8月26日号
カーマニアよ! 高き「60代の壁」を越えろ!
若い頃、愛車は自分の体の一部のようなもので、それはそれは大切にしたもんだ。新型車のことを考えるだけで胸が高鳴った。クルマはまさに恋愛対象。性欲に近かった。
しかし60歳を過ぎて、同じような気持ちを維持できるのは、ひと握りの恵まれた者だけだ。大部分のクルマ好きは、60代の壁を越えられず、ただのお爺さんになっていく……。
個人的な話で恐縮だが、私(清水草一)は現在63歳。今まさに、60代の壁を実感している。
少し前まで、クルマに接する機会はいくらでもあった。仕事以外の個人的なカーマニア活動も活発で、ドライブ旅行にも盛んに行っていた。
しかし近年は、一緒に行ってくれる人がいなくなり、ドライブに行く機会は大幅に減少。同世代のカーマニアたちも、明らかにクルマへの興味を失いつつあり、クルマの話題が出なくなってきた。
愛車はあっても、乗るのは近所の用足しが中心で、あまり顧みることがなくなると、ほとんど冷蔵庫と変わらない。
自然、新型車に胸を躍らせることも少なくなる。そこに電動化が拍車をかける。BEVには、どうにも興味が湧いてこない。
背景には、高齢化にともなう収入の減少もある。60歳を過ぎるとたいてい定年になる。延長雇用があっても、収入は大きく減る。完全に退職すれば年金のみ。
高価格化が著しい新型車を買う余裕なんてないし、買って喜んでくれる人もいない。自分自身もあまりウキウキしない。そんな状況で、新型車にいちいちワクワクしろというほうが無理ってもんだ。
もちろん人間、年を取るのは仕方ない。若い頃には戻りたくても戻れない。しかし、すべてを諦めてしまうのもイカン!
クルマ以外の趣味が見つかればいいが、見つからなかったら、クルマにしがみついて、ムリヤリでも愛する努力をしてみないか? 人間、愛する対象があるとないとじゃ、人生の充実度は大違いだから!













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