レクサス初のBEV専用車であるレクサス RZがビッグマイナーチェンジを受けた。全面刷新されたBEVシステム、次世代の操舵感覚をもたらすステアバイワイヤシステムを与えられたRZにポルトガルで試乗した渡辺敏史氏の評価は?
※本稿は2025年7月のものです
文:渡辺敏史/写真:茂呂幸正、レクサス、ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』2025年8月26日号
全面刷新されたメカにSBWの革新性が光る
レクサス初のBEV専用銘柄、RZにビッグマイナーチェンジが施された。その内容はほぼすべてが中身に関するもので、特にパワートレーンや駆動バッテリーなど、走行にまつわるところは全面的に刷新されている。
まず搭載バッテリーは71.4kWhから76.96kWhへと増強。eアクスルもパワーアップを果たした一方、冷却系統の見直しやプレコンディショニング機能の搭載もあって、航続距離は約2割向上した。
例えば最もベーシックな1モーター・前輪駆動の300eは、今回のパフォーマンス向上に合わせて350eへと改名。航続距離は欧州WLTPモードで575kmと約100km延びた。
2モーター・全輪駆動の450eも500eへと改名。さらに今回の改良で新たに加えられた550e Fスポーツは、駆動用モーターこそ前後ともに500eと同じだが、マネジメントの差別化で出力は20kW高い300kWに達している。
このパワートレーンをパドル操作でマニュアルシフト的に楽しませるインタラクティブマニュアルドライブ=IMTを搭載するのも550e独自のポイントだ。

日本仕様において550eの最大の特徴となるのは、ステアバイワイヤ=SBWの搭載だろう。
7年越しの開発の末、結実したそれは、コラムとラックを通す中間軸を持たない完全電気信号化されたもので、冗長性のため別電源も搭載する3系統ものエマージェンシーを備えている。
紆余曲折の末、設定された操舵角は左右200度。つまりロックtoロックは約1.1回転。持ち替えなくフル転舵ができるギリギリの角度と操作性を探り続けての結論だという。
ヨーク型ステアリングの特異さに気を張ってしまうところはあれど、SBWの操作感は違和感を抱かないギリギリのところに収められている。
運転実感のためのインフォメーションはクリアに伝えながら、路面の荒れや舗装の粗目などによるノイズ成分は努めて排除する、SBWならではの利点は、高級車の新しい基準をステアリングから伝えてくるかのようだ。
もちろんこの先には進化するADASや自動運転との親和性も見込まれるわけだが、まずは自ら操るものとしての仕上がりのよさに注目していいだろう。新しいRZは2025年中には日本でも発売を開始する予定だ。






















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