ガソリンエンジンを代替するパワートレーンのひとつとして、水素と酸素を反応させて発電し、モーターを動かすFCEVが注目されているが、FCEVに重要な「水素」が、世界的に岐路に立たされている。自動車業界で水素に何が起きている!?
※本稿は2025年7月のものです
文:角田伸幸/写真:ホンダ
初出:『ベストカー』2025年8月26日号
世界規模で突如訪れた水素の「逆境」
水素に関する残念なニュースが相次いでいる。
まずは米国。前バイデン政権がぶちあげた「2030年にグリーン水素を1000万トン作る」という目標が、トランプ政権の「大きく美しい一つの法案(OBBB)」の財源確保のため、ほぼ立ち消えとなった。
米国のグリーン水素戦略は多くの自動車メーカーが水素事業を進める原動力でもあっただけに、今回の決定は衝撃。
すでにホンダが、2027年に栃木工場で生産を始めるはずだった次世代燃料電池システムの生産延期を発表するなど、自動車業界には水素ビジネスをリセットする動きが起きている。
オーストラリアのニュースも波紋を広げている。現地東海岸でスタンウェル社が進めていた同国最大のグリーン水素製造計画が、州政府の支援停止によってとん挫してしまったのだ。
同計画には日本企業も参加し、将来は専用船で日本へグリーン水素を運ぶ計画だっただけに、重要なピースを失ったといえる。
水素には試練の時といえそうだが、その重要性が失われたわけではない。起死回生の知らせを待ちたい。









コメント
コメントの使い方例えガラパゴスと揶揄されても、日本企業は着々と水素社会実現へ歩みを進めましょう。
過去、日本だけの局所存在と叩かれたHVが、今世界中で引っ張りだこ。水素の未来もそうなります。
今や自動車業界だけじゃなく非常に広範囲で水素網が確立され、しっかり地盤固めできてます。あとはブレイクスルー