■今だったらきっと売れている!? 日本で大成できなかった本当の理由とは
これだけ美しくも斬新なデザインを備えていて、グローバルではまずまずのヒット作となった日産ムラーノが日本ではパッとせず、2代限りで消えていった理由は何だったのでしょうか?
よく言われるのは「日本で使うにはサイズ的に大きすぎたから」という理由です。
これは確かにそのとおりでしょう。初代ムラーノが登場した2004年当時によく売れていた「比較的大柄な国産車」といえばトヨタの初代アルファードぐらいで、そのほかの人気車はおおむね小ぶりでした。
その初代アルファードにしたって全幅は1805mmでしたから、初代ムラーノの全幅1880mmというのは「さすがにちょっと……」と感じた人は多かったはずです。
また初代および2代目のムラーノは、その大きな図体にさほど燃費性能が良いわけでもない3.5LのV6エンジンを積んでいましたので、実燃費もイマイチでした。
「そのあたりもムラーノが敬遠された理由のひとつ」と言われており、筆者もそれに対しての異論はありません。
ですが、あえて根本的な理由をひとつ付け加えるとしたら、それはサイズでも燃費でもなく「早すぎたから」なのではないかと思っています。
確かにムラーノは大柄でしたが、2020年の今となっては、ムラーノに近いサイズのSUVも日本市場でよく売れています。
例えば現行型のトヨタ RAV4もマツダ CX-5も「ムラーノより少し小さいぐらい」のものですし、「コンパクトSUV」と形容されることも多い現行型BMW X3の全幅は、初代および2代目ムラーノより広い1890mm。それでも、日本市場でけっこう売れています。
つまり日産ムラーノは、2000年代から2010年代初頭の車としては確かにデカく、燃費もいまいちなSUVでした。
しかし、もしも2019年ぐらいに登場したSUVであったなら……「デカいけど、死ぬほどデカいわけでもない」ぐらいのSUVとして認識され、そして当時とはぜんぜん違う「燃費良好な新世代パワーユニット」も採用していたことでしょう。
そしてその結果として、バカ売れはしないまでも「そこそこの数は売れる、きわめて美しいデザインのSUV」として、日本市場でも代を重ねていくことができたのかもしれません。
とはいえ肝心の日産が経営の観点から日本市場向けの車種を絞りまくっている状況ですから、「大柄なSUVを日本にも投入する」という選択自体が無理筋な話。
それゆえ上記は、単なる夢想というか寝言にすぎないわけですが……。
■日産ムラーノ 主要諸元
・全長×全幅×全高:4770mm×1880mm×1685mm
・ホイールベース:2825mm
・車重:1720kg
・エンジン:V型6気筒DOHC、3498cc
・最高出力:231ps/5600rpm
・最大トルク:34.0kgm/2800rpm
・燃費:9.3km/L(10・15モード)
・価格:343万3500円(2004年式350XV)
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