厚生労働省がまとめた「2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況」によると、病気やけが等で自覚症状のある人のうち、もっとも多い症状は「腰痛」だそう。読者諸氏のみなさんのなかにも、腰痛に悩まされているは少なくないのではないでしょうか。
実は筆者も腰痛持ち。長時間立っていたり、起き上がりや立ち上がりの動作がつらかったり、前かがみになると痛みが走ったり…。腰痛持ちの人にとって「地味につらい」シーンはいくつかありますが、クルマの運転もそのひとつ。運転中は姿勢を変えることができないことから、楽しいはずのドライブが苦痛に変わってしまうこともあります。腰痛持ちの筆者がすすめる、腰が痛くなりづらい運転姿勢と運転前後にできる簡単なストレッチをご紹介しましょう。
文:吉川賢一/アイキャッチ画像:Adobe Stock_Jo Panuwat D/写真:Adobe Stock、写真AC、JAF
【画像ギャラリー】「運転してても…痛くない…??」腰痛持ちに勧める運転姿勢とストレッチ(8枚)画像ギャラリーまずは姿勢を見直そう
「腰痛」と一口にいっても原因はさまざま。厚生労働省によると、腰痛は原因が特定できる「特異的腰痛」と、厳密な原因が特定できない「非特異的腰痛」とに大別され、病院の外来を受診する腰痛患者の85%が非特異的腰痛だそう。
そのため、一律の対処法があるわけではないのですが、「クルマを運転していると痛みを感じる」という人は、運転時の姿勢を見直してみるといいかもしれません。
厚生労働省によると、座っているときは、腰椎の生理的な前弯(横からみたときに、背骨がお腹側に向かってカーブしている状態)を保つのがもっとも腰に負担がかからない姿勢だそう。腰が丸まっていたり、逆にのけぞったような姿勢で長時間運転していると、腰椎や骨盤に負担が集中、痛みを誘発してしまうようです。

筆者が実践している「腰にやさしいシート調整」3つのポイント
筆者は、この「腰椎の生理的な前弯」を自然に保つことができるよう、クルマを運転する際のシート調節において、以下の3つを心がけています。まずは、左足でフットレストをしっかり踏める位置にシートの前後位置を調節します。このとき、腰がシートの奥にくるよう座面に深く座った状態で調節するようにします。
次に背もたれの角度を調節します。前述したように、腰が丸まっていたり、逆にのけぞったような姿勢は腰痛の原因になりますので、背骨がしっかり立つように、背もたれはやや立て気味にします。
最後にランバーサポートを調節します。ランバーサポートは、前述した腰椎の生理的な前弯を維持しやすいようにするもので、クルマによってはシートに内蔵されていますが、シートバックに装着するクッションのような商品もあります。ランバーサポートを利用したほうが正しい姿勢を維持しやすくなるため、腰痛対策に大きな効果があると筆者は感じています。なければ、タオルや薄いクッションなどを挟むだけでもよいと思います。
ここでハンドルの位置が遠いもしくは近いと感じるようなら、チルト(角度調節)やテレスコピック(前後調節)を使ってハンドル位置を調節してください。ハンドルを180度回しても肘が伸び切らない位置が最適です。多少窮屈に感じるかもしれませんが、自らの身体に合った位置に調節することで、無理のないハンドル操作・ペダル操作が可能となるため、結果として身体への負担が軽減されるはずです。
カイロプラクティックの施術を行う知人によると、AT車では、左足はフットレストに置き、膝を曲げないようにしたほうがよいそう。曲げたほうが楽であるため、ついついやってしまいがちですが、膝を曲げていることで血流が妨げられてしまい、腰痛の原因になってしまうそうです。
正しい姿勢を保つには、シート素材も重要です。滑りやすいレザーやナイロン地は姿勢保持のために余計な力が入りやすく、結果として腰に負担がかかってしまいます。部分的にスエードやアルカンターラを使った滑り止め効果のある素材がおすすめです。市販のシートカバーやクッションを取り入れるだけでも体の負担は減ります。









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