いよいよ復活の時!? VW ゴルフは生まれ変わるために今こそ「カントリー」造ろう

いよいよ復活の時!? VW ゴルフは生まれ変わるために今こそ「カントリー」造ろう

 ビッグマイナーチェンジで「8.5」となったフォルクスワーゲン ゴルフ。今回テリーさんに用意したのはハイパフォーマンスの「R」、そしてより上級の「アドバンス」だ。しかしテリーさんはやや浮かない顔。VW ゴルフは「コレジャナイ」!?

※本稿は2025年10月のものです
文:テリー伊藤/写真:西尾タクト、ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』2025年11月10日号

【画像ギャラリー】過剰なデジタル化を改め魅力アップ&価格もアップ!? なんらかの「テコ入れ」でさらに良くなりそうなVW ゴルフR(16枚)画像ギャラリー

アイツも遠くに行っちまったな……

今回テリーさんに試乗していただいたのはVW ゴルフR アドバンス。ゴルフ8.5の「R」モデル、しかも高価なほうの「アドバンス」だ
今回テリーさんに試乗していただいたのはVW ゴルフR アドバンス。ゴルフ8.5の「R」モデル、しかも高価なほうの「アドバンス」だ

 VW ゴルフに乗るのは久しぶりだ。2019年に8代目の試乗会に出向き、その後、ヴァリアントを購入。タッチパネルのあまりの使いにくさに嫌気が差し、すぐに売ってしまったという苦い思い出もある。

 そんなゴルフがマイナーチェンジ。デジタル化を進めすぎたことを反省し、操作類の物理スイッチを増やしたということだが、社内の過剰なデジタル推進派が幅を利かせていたということだろうか。

 VWほどの会社であっても、組織というのは意外と簡単に間違ってしまうものだ。しかし、間違いに気づいて改めるならそれでいい。

 ゴルフ8.5と呼ばれる8代目のマイナーチェンジ内容は、もちろんスイッチ類の変更だけではない。「テンゴ」で一気に熟成、進化するのはゴルフの常で、この8.5も大幅によくなっているという。

 今回乗ったのは最強グレードのR、しかも高価なほうのRアドバンスだ。車両価格749万9000円。徳大寺有恒さんが愛した初代ゴルフからの歴史を知っている身としては、信じられない値段というしかない。

 今まで一緒に築地の長屋に住んでいた仲間が、一発当てて港区の高層マンションに引っ越していったような感じだろうか。もちろん、その成功を素直に喜べるほど人間はできていない。遠くへ行ってしまったな……とタメ息をつくばかりだ。

 ゴルフRは333psの2Lターボエンジンを搭載する4WDスポーツだ。走らせると、もの凄く高性能なクルマであることがわかるが、BMWのようなしっとり感がないような印象も受けた。高級感がないと言い換えてもいい。約750万円の車両価格のほとんどを、速く走るため【だけ】に使っているイメージだ。

 なんでもドリフトモードというものもあるらしい。私の試乗は一般道を走るだけでドリフトモードの出番などあるわけもないが、「それ、誰が喜ぶんだろう」と思ってしまった。簡単にドリフトできることになんの意味があるのか。駐車場で試していたら通報されて、ヘタすると社会的地位を失う可能性だってある。

 それに、乗り出し800万円クラスのクルマを買えるくらいのお金があって運転技術も高い人は、もっとわかりやすくて本格的なスポーツカーを選ぶ気もする。ゴルフRは誰が買うのかわかりにくいクルマなのだ。

VW ゴルフが話題にならなくなった

約750万円の価格にびっくりだが、乗り味は意外とカジュアルだった
約750万円の価格にびっくりだが、乗り味は意外とカジュアルだった

 VWは新型ゴルフRで最新技術を世界にアピールしているのだろう。しかし、IQが高すぎて親しみやすさに欠けるのはちょっと残念。以前ほどの存在感がなくなっているゴルフは、ドリフトよりもやるべきことがあるのではないか。

 私はクルマ好きの仲間といつもクルマの話をしているが、近年、VW ゴルフが話題になることはめったにない。

 燃費が圧倒的にいいとか、従来の価値観を覆すほど新しいなどの飛び道具がないので、多くの競合車のなかで埋没している印象。先代までのクラウンがそうであったように、VW ゴルフも「曲がり角」に来ているのではないだろうか。

 2代目ゴルフに「カントリー」という車高を上げたSUVがあった。日本では1991年の一年間しか売られなかった幻のクルマになっているが、今こそこのカントリーを復活させる時だと言いたい。

 ゴルフベースのSUVにはTロックがあるが、あくまでもベースであり、ゴルフではない。VW ゴルフそのもののSUVであることが重要なのだ。

 技術力をアピールするなら、見た目も変えたほうがインパクトは強い。目立つジャンルは、今ならスポーツモデルよりクロスオーバーかSUVだろう。わりと簡単な理論だと思うのだが、しない、できない理由はなんなのだろうか。

 生成AIに「VW ゴルフのニューバージョン」を作らせてもいい。あっという間に大量のアイデアを出してくるだろう。そのなかで一番夢があり、面白そうなものを子ども達に選んでもらってもいい。VW ゴルフを改革する方法はいくらでもあるのだ。

 クラウンのように、VW ゴルフも生まれ変わらなければならない時期にきている。それがよくわかった今回の取材となった。ぜひ次期型で、新生ゴルフを見せてほしい。

●VW ゴルフR アドバンス(749万9000円・7DSG)

VW ゴルフR アドバンス
VW ゴルフR アドバンス

 ビッグマイナーチェンジしたゴルフR。全長4295×全幅1790×全高1460mm、ホイールベース2620mm、車重1520kg。333ps/42.8kgmの直4、2Lターボエンジンと7速DSGを搭載するフルタイム4WD車だ。

 後輪左右のトルクを0〜100に配分するトルクベクタリング、XDS、DCCなど走りの電子制御アイテムを満載しているのが特徴。

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