性能と価格の兼ね合いを見る
スチールホイール(+ホイールキャプ)、アルミホイールの価格差について、純正品の価格については基本的に公表されていないケースが多いので、アルミホイールメーカーが製造している、アクアなどのコンパクトカーに設定された15インチホイールとクラウンなどに採用されている18インチホイールを比較してみることにする。
3品はすべて1ピース構造だが、TE37のみ鍛造、ほかは鋳造品となる。それぞれ異なるデザイン/仕様が存在するため(TE37:6スポーク、PF07:7スポーク、LEONIS NAVIA:マルチスポーク)、厳密に比較することが難しいことをご了解いただきたい。
ぞれぞれの製品名、重量(kg)、1本あたりの税抜き価格を掲載してみた。
●15インチホイール/5.5J、PF07のみ6J、タイヤサイズ:185/60R15)の場合
・RAYS VOLK RACING TE37 SONIC/4.45kg/4万3000円
・ENKEI PF07/6.6kg/2万8000円
・WEDS LEONIS NAVIA 05/5.46kg/2万8500円
●18インチホイール(8J、TE37 SLのみ8.5J、タイヤサイズ:225/45R18)の場合
・RAYS VOLK RACING TE37 SL/7.85kg/7万円
・ENKEI PF07/9.8kg~/4万円
・WEDS LEONIS NAVIA 05/9.04kg/4万3500円
今回選択した3社の3製品を見ると、コンセプトを「スポーツ」、「スタンダード」、「ファッション」と捉えることもできそうだ。
RAYSとENKEIはモータースポーツへの製品供給で得られた設計製造技術を前面に押し出す一方、WEDSは同社の製品を「スタイリッシュホイール」と呼ぶようにカスタマイズを中心に商品を展開している。
日本製であることを強く主張するRAYSの価格が他の2社から突出しているのは、鍛造品として、設計開発などのコストとともに、“メイドインジャパン”のこだわりが生み出していることが想像される。
対してENKEIは広く海外にも生産施設を展開しており、手頃な価格で幅広く高性能な製品をマーケットに供給することを主眼としており、それぞれの主張の善し悪しを問えるものではないだろう。
RAYSの製品がほかの2つのメーカーに対して、鍛造品とすることで質量にして約2割の軽量化を実現、価格が1.5倍ほどに設定していることには、単体での“1kgの軽量化”を購入する側がどう評価、納得できるかということだ。
一方で、カスタマイズカー向け製品を開発しているWEDSが、他の製品に関しても複雑な形状のスポークデザインを提案していることを見れば、こだわりの方向性が違うことは明らかだ。
純正ホイールは安価で当然
純正ホイールについては、自動車メーカーはほぼタイヤ込みの価格しか明らかにしていないが、新車から外されて販売されている中古品などの価格から、ある程度までは類推できるので、参考値として捉えていただきたい。
スチールホイール(1本)の純正品については、15インチは5000円から1万円ほど、18インチのアルミホイールでは1万~2万円程度のようだ(純正タイヤ価格は約2000~5000円を想定)。
一方で、アフターマーケット品のアルミホイールに関しては、15インチは3万~4万円、18インチは4万~6万円と、価格はまったく異なる。
この差はどのようにして生まれるのかといえば、答えは至ってシンプル、販売される「数」の問題だ。
たとえば、2020年2月の販売台数はアクアが8433台、クラウンが2281台だったが、その数だけ純正装着ホイールが「売れている」ことになるから、大量生産による量産効果が得られるのでコストを充分に抑えられる。
このように、生産規模がまったく異なることから生じる価格差は、純正品とアフターマーケット品を直接比較できるようなものではない。
先のようにコストや価格は自動車メーカーにとって機密事項になっているので、あくまで想像の域を出ない。
対して、ホイールメーカーが独自に手がけるアフターマーケット品は、製品ごとに限られた生産数の中で利益を生み出すべく、商品性などを細かく検討したうえでマーケットに受け入れられるような価格を設定しなければならない。
結果として自動車メーカーの純正品に比べれば、“強い個性”を打ち出すための手間をかける度合いが増すため、販売価格が高くなることは否めないだろう。
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