受注期間わずか3カ月も爆売れ!! レトロデザイン採用の[パオ] 中古車は200万円超って本当!?

受注期間わずか3カ月も爆売れ!! レトロデザイン採用の[パオ] 中古車は200万円超って本当!?

 そんなにたくさん売れたわけじゃない。でも、何年経ってもみんなが覚えている……そんなクルマを取り上げるこの企画。今回はパイクカーの中でも一番売れたアレ! テーマパークに似合いそうなキュートな奴、日産 パオだ!!

※本稿は2024年4月のものです
文:小沢コージ/写真:茂呂幸正
初出:『ベストカー』2024年5月10日号

■歳月を経てレトロが板についてきた!

1989年登場の日産 パオ。レトロデザインで登場したパオが35年の時を経て、ガチでレトロな存在となった
1989年登場の日産 パオ。レトロデザインで登場したパオが35年の時を経て、ガチでレトロな存在となった

 こんなに自然で可愛かったっけ? そのヘッドライトもメッシュグリルもほどよく枯れててマジで1960年代リアルクラシックカーそのもの! それがバブル期にかつてないレトロデザインで一世風靡した日産パイクカー第2弾のパオだ。

 1987年にBe-1、1989年にパオ、同年エスカルゴ、1991年にフィガロと出ているが、モダンで英国ミニっぽいBe-1などに比べ、ディテールはやけに綿密かつクラシック。

 前後の丸目ライトはもちろん、リブ入り鉄板風パネルや外付けドアヒンジ、左右の三角窓、リアサイドの上下2分割ウィンドウなどはリアル1960年代欧州ファミリーカー。食パンのようなフォルムはルノーキャトル譲りで、鉄板や分割窓はシトロエン2CV譲りにも見えなくない。

 インテリアも一本バーの樹脂ステアリングホイールや1960年代風のメーターデザイン、各部に配されたトグルスイッチが古めかしい。

 オマケに撮影車パオは1989年式でガチな35年落ち。3万台以上国内生産されているがさすがに極上物は少なく、各部にヤレも見受ける。

 だがそれが逆に幸いし、当初はちとワザとらしかったレトロデザインがよりリアルに。加えて凄いのはそれを見越してかパオのフロントフェンダーやエプロン、ボンネットは樹脂性で、ドアやバックドア、リアエプロン、サイドシルには耐腐食性の高いデュラススチール等を使用。

 ボディ鉄板にリアルクラシックカーのような腐りはなく予想外にしっかりしてるのだ。

 エンジンも1980年代の日産マーチ用1L直4で、オマケにキャブレター仕様。

 しかもセルが古いので、カカッといかにもクラシックカーっぽい甲高いスターター音こそするが、一部はタペット調整で減らせるし、ちゃんと整備してあれば「ビッグトラブルは5年は大丈夫」(ガレージコヌマ)とか。欧州クラシックカー並みの古い味と国産中古車の信頼性の両取りができるわけよ。

■上物中古は日々減っている

わざとらしかったレトロさが消え、錆びにくいシトロエンやルノーのよう。走りは遅いけど軽快!
わざとらしかったレトロさが消え、錆びにくいシトロエンやルノーのよう。走りは遅いけど軽快!

 しかしベースは1980年代の初代FFマーチ。選べるのは不便な3ドアボディのみだし、過剰な期待は禁物。エンジンはわずか52psの1Lでフィガロのようなターボも付いてないから正直遅くて、音もウルサめ。

 オマケに撮影車は3ATなのでシフトはゆっくりでダイレクト感に乏しい。ボディ剛性もイマドキコンパクトカーとは比べるまでもなく、路面の継ぎ目を乗り越える時にはガツンと響く。

 先進装備もエアバッグやDSCはもちろんABSにパワーウィンドウすらついておらず、あるのはパワステくらい。今回は納車整備前ということもあり、エアコンの効きも今ひとつで、当然フルマニュアル式だった。

 インテリアもそれなりの確率で、当時クオリティを留めておらず、インテリア雑貨のようなオシャレ麻布風シート表皮は今回拝めなかった。撮影車のシートは全面合皮カバーで覆われ、ダッシュボード上部は補修素材。取り外し可能な可愛いオーディオデッキもナシ。

 ただし中古車情報を見ると200万円超えの上質車はオリジナルシートやダッシュボード素材を留めているし、開放的なキャンバストップも選べたりする。

 とはいえガレージコヌマの目利き曰く「同じパイクカーでもフィガロほどの人気はないので、充分なお金はかけられない。いま安くていいタマは減ってます」。比較的壊れにくくてキュートな欧風国産レトロカー。買うなら今でしょかも?

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