【NASCARのココがすごい03】TV視聴者数
カップシリーズは毎レース300万人超え。これはインディカーシリーズの約3倍に相当。MLB(野球)NBA(バスケット)、NFL(アメフト)、NHL(アイスホッケー)、PGA(ゴルフ)とNASCARのテレビ視聴者数は同等かそれ以上。
近年はNASCAR本部によるネット配信のほかに、YouTuberが独自にNASCARに開設するチャンネルも多数存在したり、SNSでの情報発信が豊富。
【NASCARのココがすごい04】レース賞金
オールスターレースでは優勝賞金が1ミリオン(約1億5000万円)。ただ近年、レギュラーシーズンとプレーオフでの個別レースでは賞金が明示されることはなくなった。
ギャラの面では、ドライバーは年俸契約が基本で、トップドライバーは数年間契約。
賞金等のチームとの取り分や、ドライバーの名前やロゴを使うマーチャンダイジング(商品化)でのロイヤリティなど、契約社会のアメリカならではのガチガチの契約書を交わす。そのうえで、トップドライバーの年収は数十億円レベル。
【NASCARのココがすごい05】独自のスポンサー
「レース・オン・サンデー、セル・オン・マンデー」。NASCARが’90年代以降に急成長した際、よく使われた言葉だ。チームスポンサーのロゴをテレビ視聴者やレーストラックの観客が日曜日の決勝で見て、翌日にはスーパーやデパートなどでロゴに関連した商品を買うというマーケティング戦略だった。
近年はネット購入商品が増加し、スポンサー効果も即効性が求められる。また、珍しいのは空軍や陸軍などが人員採用を目的としてチームスポンサーになるのも実にアメリカっぽい。
日本メーカーとNASCAR
トヨタNASCAR参入のニュースに心底驚いた。なぜならば、理にかなうとは考えにくかったからだ。
技術面では、NASCARエンジンはOHV(オーバーヘッドバブル)式のV8エンジンで、こうした製品は量産されていない。それにもかかわらず、まったく新しく仕立ててしまったのだ。実際、同エンジンに関連して、愛知県のトヨタ本社関連施設で実物を拝見し、OHVレーシングエンジン設計の難しさを痛感した。
販売面では、トラックのタンドラはアメリカで発売しているものの、カップシリーズを戦うカムリには現在、NASCARマシンのような2ドアクーペは存在していない。フォードのマスタングやGMシボレーカマロとは話が違う。
そのうえで、トヨタは企業や商品の単なるPRとしてではなく、昨今のトランプ関税でも話題となるアメリカでの「企業市民」のシンボルとしてNASCARを活用しているのだと思う。
ホンダや日産がNASCARに参戦しないのは、トヨタのような総括的な解釈をしないからだろう。
2025年シーズンダイジェスト
シーズン序盤は先読みしづらい展開で始まった。第7世代マシンも登場から4シーズン目で成熟期となり、チーム力も拮抗してきた印象だった。ところが、トヨタのクリストファー・ベルが第2戦から3連勝し、このまま勝ち続けるかのように絶好調。
一方で気になったのが、名門チームペンスキー(フォード)の不振だった。マシンセットアップが決まらないなど課題山積で存在感を示せず。そうしたなか、チームペンスキーと協業するウッドブラザースのジョシュ・ベリーが第5戦ラスベガスで勝利したことがチームペンスキーを後押しした。
シリーズ中盤に向けて実力者であるカイル・ラーソンとデニー・ハムリンが存在感を増して勝利を重ねた。トヨタ勢ではバッパ・ウォレスやチェイス・ブリスコーも好調を維持。
シリーズ中盤以降は、チームペンスキーが復調し、またGMシボレーのチェイス・エリオットも少ないチャンスをしっかりものにして2勝を上げた。
また異端児がニュージーランド出身のシェーン・バーン・ギズバーゲン(シボレー)だ。ロードコース、ストリートコースなど、オーバル以外でなんと5連勝という快挙だが、プレーオフでは序盤で脱落。
本稿執筆時点では、プレーオフ8人での戦いは始まったばかり。11月3日の最終戦フェニックスを目がけてNASCARはさらにヒートアップしていく。





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