車検1回が100万円!? スバル インプレッサ22Bを27年間所有し続ける男

車検1回が100万円!? スバル インプレッサ22Bを27年間所有し続ける男

 「ワンオーナー」のクルマはたいてい中古売買価格が高い。「酷使されていない」ということになるのだろう。ここに、一人のオーナーに27年間所有されているというインプレッサ22Bがある。クルマは箱入り、所有者は愛すべきクルマバカだ!!

※本稿は2025年10月のものです
文:小沢コージ/写真:Climax
初出:『ベストカー』2025年11月26日号

【画像ギャラリー】車検1回100万円&自動車保険40万円!! それでも一生インプ22Bを所有し続けるというクルマバカ!!(25枚)画像ギャラリー

27年間所有……銀婚式を超えました!

納車が嬉しすぎて年1500km程度しか走らない水谷さん。ダートはもちろん雨の日も走らず、一番の遠出は横須賀(東京在住です)。当然ボディはピカピカ
納車が嬉しすぎて年1500km程度しか走らない水谷さん。ダートはもちろん雨の日も走らず、一番の遠出は横須賀(東京在住です)。当然ボディはピカピカ

●今回のクルマバカ:水谷卓斗さん(50歳・東京都)
・所有車:スバル インプレッサ22B STiバージョン、BMW M3 ほか
・推定総額:2000万円

 23歳で400台限定のインプレッサ22Bを500万円で現金購入。以来27年間、最大40万円強の車両含む自動車保険や同100万円の車検代を27年間払い続け、2025年春には中古のBMW M3(E46)も購入。どちらも当然屋根付き保管!

*   *   *

 人生いろいろ、心の糧いろいろ。アイドルにお金に宗教と、人はいろんなモノを糧に生きてるけどこんな人もいるのね。

 それは東京在住の水谷卓斗さん。弱冠23歳の時に、1997年の東京モーターショーで見つけたスバルWRC3連覇記念のインプレッサ22Bを見そめてしまい、以来人生のご本尊としてしまっている一途すぎるバカ男だ。

 ハマるきっかけは自ら100%フェンダーというとおり、魅惑のブリスターフェンダーで、当時親に頼らず貯めた500万円の給料とバイト代で現金一括購入。加え、一生持つと購入前にイナバのガレージを設置。以来ほとんど雨の日は乗らずに動態保存。

 しかも27年間で乗った距離はわずか3.6万km、遠出は横須賀までという可愛がりっぷり。

 かたや乗らないわりに維持費は凄く、車両含む年間最大40万円の自動車保険を欠かさず払い続け最近では車検に100万円。維持だけで「毎年軽が買える」ほどだが、それでも愛は薄れず最近は足用に中古BMW M3も購入。22Bはますます箱入り状態に。

 愛車はトコトン乗り倒すという人も多いなかでは珍しい愛車超過保護主義。このスタイル、なぜ生まれたの?

「持ってるだけ見てるだけでも嬉しいんです!」

WRC3連覇記念に作られたスバル インプレッサ22B STIバージョン。前後フェンダー&バンパー専用で幅1770mmに拡幅、大型可変リアスポイラーも
WRC3連覇記念に作られたスバル インプレッサ22B STIバージョン。前後フェンダー&バンパー専用で幅1770mmに拡幅、大型可変リアスポイラーも

 ってなわけで水谷さんの過保護愛の原点は幼少期であり家族生活にあるもよう。生まれは今と同じ東京で、祖父の代から住宅地でガソリンスタンドを家族経営。幼少期からスタンド上の自宅で育った。

 小さな頃からクルマ好きで幼稚園時代はトミカを集めては車名を覚え、小学校時代はミニ四駆にハマる。その後はゲームにハマり、クルマ熱は一旦冷めるが中3の第一次F1ブームで再燃する。

 同級生とセナプロ談義に励むほか、スタンド従業員と誰がF1で勝つか当てっこし、仕事の合間にF1ラジコンや、スポーツカー、エンジン付きラジコンを作りまくる。

 そのほか親戚のおじさんがクルマ好きで、カリカリにチューニングしたR32GT-Rを所有。当時の国産ハイパフォーマンスカーに憧れを抱くように。

 一方、中学ではバレーボール部、高校は部活に入らず実家スタンドでバイトを始め、給油と洗車が大得意な平成昭和のクルマライフにハマっていく。

 結局そこなのよ。当時のガソリンスタンドはタバコ臭い大人たちの社交場。常連たちが給油し、雑談しながら一服しては帰る。できる男、営業マン、社長は必ず愛車を持っていたし、大事にしていた。

 前出クルマ好きオジサンのR32GT-Rをはじめ、従業員のテラノにプリメーラにアコード、クラウンやセルシオなどだ。

 大人の男は愛するクルマを自ら見つけ、自ら磨き一生大切にする。それが昭和オヤジのあるべき嗜み。水谷さんにはその懐かしい価値観がトコトン染み付いているのよ。

20数年前の勇姿。現在の写真と比較してもほとんど変化がない。いや、写真が古いぶん、むしろ新しくなっている!?
20数年前の勇姿。現在の写真と比較してもほとんど変化がない。いや、写真が古いぶん、むしろ新しくなっている!?

 きっかけは高校時代から欠かさず行ってた東京モーターショーだ。

 1997年の第32回で突如スバルブースに22Bが参考出品され、スポーツニュースでコリン・マクレーが乗るスバルWRXに魅せられたこともあり、こんなかっこいい2ドアクーペのブリスターフェンダー付きがあるんだ! と水谷さんは大ハマり。

 当時たまたま就職2年目の22歳で、貯めたバイト代と給料でほぼ500万円持ってたのもラッキーだった。これぞ俺のために生まれた限定車とばかり情報収集を開始。3月の発売日前には近所のスバルディーラーで即決。ウワサでは1〜2日で400台完売! と言われたが、ショップ納車1号車の権利を得る。

 ただし、それだけで収まらないのが水谷さんで、そこで一生持つと決め、イナバのガレージを、なんと借りた月極駐車場に建てる。この一途さと思い込みが凄いが本当に驚くのはさらなる実行力だ。

 その後、実家のガソリンスタンドは23歳の時に廃業。自分は別の不動産業に就職するが、それでも22B愛は変わらず。

 ガレージを自宅に移し、屋根付き保管で年1500kmも走らないにもかかわらず毎年ボディコーティング。27年間まったく持って熱が冷めないのよ。一生持つと決めて揺るぎなく敢行! この一途さが一番ヤバいって。

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