急いでぎ出発したい冬の早朝に困るのが、フロントガラスの凍り付き。前方視界を確保するために解氷を急ぎたいが、エアコンからすぐに温風は出ないし、熱湯をかけるとフロントガラスが割れてしまうことも。冬の朝に厄介なフロントガラスの凍り付きは、ある作業で予防することができる。冬本番を迎える前に、今できる積雪地直伝の解決策を紹介していく。
文:佐々木 亘/画像:Adobestock(トップ写真=Nataliya@Adobestock)
【画像ギャラリー】朝のガリガリ時間とおさらばしよう!! 撥水加工でらくちん出発へ(3枚)画像ギャラリーフロントガラスに熱湯をかけるのは絶対ダメ
自動車のフロントガラス(ウィンドシールド)は、合わせガラスになっている。一見すると1枚のガラスのように見えるが、実は複数枚の材質の違うガラスが使われているのだ。
合わせガラスを使う理由はいろいろあるが、大きな理由は事故時のガラス飛散防止のため。万一の事故の際に乗員が割れたガラスで怪我をしないように、また歩行者などがフロントガラスに体を打ち付けた時にはクッションの役割を果たすのも合わせガラスの機能である。
ではこのような合わせガラスであるフロントガラスが凍結しているときに、熱湯をかけるとどうなるのか。
ガラスは温度変化で膨張や収縮を繰り返す。そのため、熱湯をかけた瞬間からガラスは急激に膨張を始める。これが合わせガラスだと、厚さや素材が異なるため、それぞれの膨張率が異なってくるのだ。ここが大問題。
急激な温度変化が発生すると、膨張率の違うガラス同士が、状態変化に耐えられなくなり、合わせガラスの内部で亀裂や破損を起こす可能性がある。また、ガラス表面に小さな傷や割れが発生していると、そこをきっかけに大きな破損につながることも。
また、厳寒地域のような外気温が極めて低い場所では、お湯をガラスにかけても、かけたところからたちまち凍り出すため、凍り付きが悪化するだけということも覚えておいて欲しい。
とにかくフロントガラスに熱湯をかけることは、NGなのだ。
水がガラスにくっつくことが霜の原因
では、どのようにしてフロントガラスの凍りつきに対応するのか。まずは、クルマのフロントガラスが凍り付くメカニズムを確認しておきたい。
初めに、冷えた外気によってフロントガラスが冷やされる。そして.冷えたガラスに水分付着し融点を下回ると氷になる、これの繰り返しだ。
つまりフロントガラスの凍り付きを予防する一番簡単な方法は、フロントガラスに水分を付けないこと。ガレージなどの屋内での保管や、フロントガラスにカバーをかけるといった方法が一般的だろう。
ただし、駐車環境は人それぞれ。ガレージには置けない、毎度カバーをかけるのも面倒というときには、アレをヌリヌリしてしまおう。
撥水加工が最も手軽で効果も長持ち

フロントガラスの冬支度として、積雪地に住む筆者がおススメするのが、フロントガラスの撥水加工だ。市販の塗り込むタイプやスプレータイプの撥水剤で十分だが、4か月以上効果が持続するモノを施工しておくと、冬の間にかけ直しをしなくて済む。
霜も氷も雪も、元を正せば水である。フロントガラスの凍り付きは、水分がガラスに張り付いた状態で凍る現象であり、これが取り除くのに苦労する原因。
フロントガラスに撥水加工が施されていれば、ガラス面は水分を弾くため、霜も氷も雪も弾いている。凍ることには凍るのだが、ワイパーを作動させるとツルっと取れるから出発も早い。フロントガラスのガリガリ時間とは、おさらばしよう。
なお、撥水コート剤の効果を最大限に発揮させるには、乾燥の工程が極めて重要になる。スタッドレスタイヤへの交換が済んだら、初冬にある数日間の晴れ間を使って、撥水コートを行いたい。
季節は駆け足で進んでいる。早めの冬支度が冬の安全運転につながるはずだ。





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