ひと昔前、エンジンは直6、V6、V8と、気筒数が多いほど価値があり、ステータスも高かった。ところが今の流れは逆で、3気筒エンジンの存在感が日に日に高まっている。自動車エンジンの世界で何が起きているのか? ダウンサイジングのメリットとデメリットを紐解いていく。
文:デグナー12(Team Gori)/写真:写真AC、トヨタ
3気筒化のメリットはコストダウンと軽さ
まず、気筒数を減らすメリットはコストの削減。気筒がひとつ減るだけで、ピストン、コンロッド、バルブ、プラグ、インジェクターなどを丸ごと省略できる。また、部品点数の削減は加工、組付け工数の削減にもなるため、トータルコストに与える影響は大きい。
次に軽量&小型化による燃費や運動性能の向上。車両の軽量化は、燃費、加速、ハンドリングなどあらゆる性能向上に効く。さらにターボと組み合わせることで、1L〜1.2Lの3気筒でも2L自然吸気並みのパワーを実現できるようになった。
デメリットはエンジンの振動と音
デメリットは快適性の低下。エンジンはピストンを上下運動させながら回転しているが、3つのピストンを持つ3気筒は振動の面で不利。音も特徴的なため、3気筒は「安っぽい」「軽自動車っぽい」というイメージを持っている人が多い。。
しかし現代では、バランサーシャフト、液封エンジンマウント、遮音材の進化、燃焼制御の技術進化により、フィーリングが大幅に改善。今では小型車クラス以上でも3気筒が当たり前に採用されるようになった。3気筒=安っぽいという印象は過去のものだ。
ターボとハイブリッドの普及も後押し
エンジンパワーを補うようにターボの過給技術も進化。ターボラグといった言葉は久しく聞かなくなった。ターボによる過給はエネルギー再利用の面でも利にかなっており、4気筒の自然吸気が当たり前だった2Lクラスでも、1.0〜1.2Lの3気筒ターボが増えている。
また、ハイブリッド車では、発進の弱さ、低回転トルク不足をモーターが補ってくれることも3気筒化進行の一助に。こうした理由から、ターボやハイブリッドを組み合わせたダウンサイジングエンジンが増えている。
とはいえ、4気筒以上のエンジンが消えるわけではない。多気筒の強みである、振動が少なく、高回転域の上質なフィーリングは今でもスポーツカーや上級セダンでは絶対的な魅力。「効率重視の3気筒」vs「質感重視の多気筒」という棲み分けが進んでいるのが現代だ。クルマの用途や趣向で気筒数を選べる豊かな時代とも言えるだろう。
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