ガソリンスタンドでの給油は、クルマにとって日常的な行為だが、実は高い危険性をはらんでいる。給油中のスマホ操作や電子タバコの使用は、軽い気持ちでも重大事故につながりかねない行為である。なぜダメなのか。改めて基本を整理し、安全な給油について考えてみたい。
文/ベストカーWeb編集部/写真:Adobe Stock(トビラ写真:写真AC)
なぜ給油中のスマホ操作が禁止されているのか
総務省消防庁によると、ガソリンスタンドで発生している火災の件数は毎年30件以上で、そのうち10件前後は、静電気が原因の火災という。ガソリンは非常に揮発性が高く、目に見えない可燃性ガスが周囲に広がっている。乾燥している冬は特に注意が必要だ。
そのため、給油中はわずかな火花や静電気でも引火の危険がある。スマホ操作が禁止されている理由は、通話や操作そのものが直接発火するからではない。操作に夢中になることで、給油ノズルの扱いが雑になったり、こぼれたガソリンへの注意が散漫になったりする点が問題なのだ。
また、スマホを触ることで体に帯電した静電気を放電させてしまう可能性もある。多くのガソリンスタンドで、給油前に静電気除去シートへのタッチが求められるのはこのためである。給油中に再びスマホを操作すれば、せっかく除去した静電気を再び帯びてしまうことにもなりかねない。
給油は数分、遅くとも5分で終わる作業である。その短時間ですらスマホから目を離せないのであれば、それこそ危険行為と言わざるを得ない。安全確保を最優先し、給油中は操作しないという基本を守ることが重要である。
ポイントは、給油口を開ける前に静電気除去シートに触ること、車内の静電気が伝わってこないように給油中に窓を閉めておくことが最適解だ。
電子タバコもNG! 火を使わないから安全ではない
ガソリンスタンドで紙巻きタバコの喫煙が禁止されているのは当然として、見落とされがちなのが電子タバコである。火を使わないから大丈夫、煙が出ないから問題ない、そう考えるのは大きな誤解だ。電子タバコも内部では加熱や電気的な動作が行われており、引火源となる可能性は否定できない。
ガソリンスタンドは引火性物質を扱う場所であり、原則として火気厳禁である。その考え方に例外はない。電子タバコも立派な禁止対象であり、使用すれば危険行為とみなされる。実際、給油エリアでは電子タバコの使用を明確に禁止しているスタンドがほとんどだ。
クルマ好きにとってガソリンスタンドは身近な場所だが、だからこそ油断が生まれやすい。給油中はエンジン停止、スマホ操作禁止、喫煙行為は論外。この基本を守ることが、自分自身だけでなく周囲の安全を守ることにつながる。安全第一で、気持ちよく給油を終えたいものである。






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