関税で上期赤字でも…マツダ反転の鍵は新型CX-5! それでも愛される理由

関税で上期赤字でも…マツダ反転の鍵は新型CX-5! それでも愛される理由

 米国向け輸出車への関税負担が重くのしかかり、2025年度上期は赤字決算となったマツダ。ただ下期には同社の主力モデルであるCX-5の新型モデルが本格投入されるなど、反転攻勢のチャンスも控えており、その動向はファンならずとも気になるところ。

 はたしてマツダは大丈夫なのか!?? 足元の経営状況を整理しつつ、期待がかかる新型CX-5の進化、そしてマツダの強みについても考えます。

文:吉川賢一/写真:MAZDA、エムスリープロダクション

【画像ギャラリー】これは期待できるぞ!! 欧州で世界初公開された、マツダ新型「CX-5」(13枚)画像ギャラリー

関税が直撃…マツダ決算が示す厳しい現実

 マツダが2025年8月に発表した2026年3月期第1四半期(4月~6月)の売上高は、前年比8.8%減となる1兆998億円。最終利益は421億円の赤字となりました。続く第2四半期(7~9月)も、前年比6.5%減となる2兆2385億円。中間期(4~9月)の最終利益は453億円の赤字となっています。

 マツダによると、もっとも大きく影響したのは、米国向け輸出車に対する関税負担とのこと。第2四半期においても、関税引き下げタイミングが実際には9月16日と、ほとんど第2四半期の終わりに近づいてからの実施となったことが、ブレーク・イーブン(損益分岐点)未達の主因になったとしています。関税関連は前年との比較でマイナス971億円 の大幅減益要因となっており、米国における不透明な経済情勢と関税環境を勘案し、生産台数を抑えたことなども、影響したそうです。

 一部では、昨今のマツダが注力していた「ラージ商品群」とよばれる大型SUVの投入が失敗だったのでは?といわれていますが、マツダによると主要マーケットである米国におけるマツダ車の需要は想定を上回って推移しているとのこと。ラージ商品群のCX-50、そして主力SUVであるCX-5が販売を下支えしていると考えられます。

2021年11月、北米向けの基幹クロスオーバーSUVとして発表されたCX-50
2021年11月、北米向けの基幹クロスオーバーSUVとして発表されたCX-50

通期見通しは「営業利益500億円」 カギは「新型CX-5」

 とはいえ、足元の経営環境が厳しい状況にあることは事実。ただ、マツダは「未達ではありましたが、下期反転の土台ができたと考えています。」としており、通期業績見通しについては、売上高4兆9,000億円、営業利益500億円、当期純利益200億円を掲げています。

 第2四半期の最終利益が453億円の赤字であることを踏まえると、達成には下期だけで1,000億円規模の営業黒字が必要ですが、2026年モデル投入時に400ドルから700ドルの値上げを行うことで利益率を改善するほか、主力モデルである新型CX-5の本格立ち上げ、さらに欧州市場でのMAZDA6e導入によって実現を目指すと説明しています。

新型CX-5は、後席空間の改善でさらに実用的なモデルに ストロングハイブリッド投入も予定

 この新型CX-5の完成度が相当に高いと評判です。ボディサイズは全長4690mm(+115)×全幅1860mm(+15)×全高1695mm(+5)へと拡大され、ホイールベースも2815mm(+115)と大幅に延長。このサイズアップは、ユーザーから要望の多かった後席空間の改善を目的としたもの。とくに足元スペースは現行型比で64mmも拡大されており、上級SUVであるCX-60に迫る広さを実現しています。

 加えて、後席ドアの開口幅拡大や、ドア開口角度を80度まで広げたことで乗り降りのしやすさも向上。これまで以上に実用性の高いミドルサイズSUVへと大きく進化しました。

 エクステリアは、大ヒットモデルとなった現行型のロングノーズシルエットを踏襲しつつ、デイタイムランニングライトやテールランプの造形、エンブレムのMAZDAロゴ化など、細部にわたってよりエモーショナルな表現が与えられています。

 インテリアも、現行型以上に上質感を高めた仕立てです。10.3インチのフル液晶メーターディスプレイを標準採用し、Google搭載の最大15.6インチ大型液晶タッチパネルディスプレイも設定。先進性と使いやすさを高次元で両立しています。

 パワートレインは、まず2.5Lガソリンエンジンに小型モーターを組み合わせたマイルドハイブリッドから導入され、2027年にはストロングハイブリッドモデルの投入も予定されています。ディーゼルエンジンの廃止は惜しまれるところですが、全モデル電動化へと舵を切ったマツダの明確な意思表示といえるでしょう。販売は2025年内に欧州市場でスタートし、日本市場への導入は2026年を予定しています。

JMS2025に出展されていた新型CX-5。現行型のデザインを踏襲しながら、細部は新たなデザインが取り込まれている
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ホイールベース延長の効果で、リア周りにボリューム感が生まれた
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上級SUVのCX-60の流れを感じさせる新型CX-5のインテリア
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