心拍数は驚異の190超え!? 身体が割れるほどの衝撃!? まさに陸のトップガン!! プロドライバーの筋トレとフィジカル事情がストイックすぎた

レーシングドライバーの意外な筋トレ!

 高Gに高い心拍数と身体にかなりの負担がかかる状態で操縦するのは、さながら戦闘機パイロットだ(photostockatinat@Adobe Stock)
 高Gに高い心拍数と身体にかなりの負担がかかる状態で操縦するのは、さながら戦闘機パイロットだ(photostockatinat@Adobe Stock)

 クルマというのは、走れば曲がる、止まる、加速するという各方向にGがかかり、高速で走っているだけでも、実は筋力トレーニングをしているのと同じことになる。高G下ではドライバーは呼吸をしておらず、ただ力を込めて集中しているだけだ、それはアイソメトリックトレーニングと言われる方法とほぼ同等の効果がある。

 また、カテゴリーが上級になればなるほど横Gがきつくなり、ヘルメットの重さなどと加えると、首に非常に大きな負荷がかかっていて、長いレースの途中から自分の首を垂直に保持していることがつらいほどの負荷となってくる。

 首にかかる負荷は前後左右だけでなく、360度全方位に加わる。したがって、トレーニングするのは非常に困難であり、実際に走行することが最も効果的なトレーニングと言えるだろう。しかし走行するだけでは非常にコストもかかり、その中で筋肉をつけようとしても最低二ヶ月はかかる。

 そこで考案したのは、ヘルメットを被り、ベッドに横たわって首から上だけをベッドの端から出すことで首に1Gの重力をかけ、さらにゴロゴロと 360度向きを変えることで首の筋肉を鍛えるというトレーニングだった。

 これを毎日30分ほど行うことで、オフシーズンなどでも首の筋肉の衰えを軽減することができた。

腰痛はドライバーあるある!?

この狭いコクピットのなかで高Gにさらされ、腰にダメージを抱える者も少なくない
この狭いコクピットのなかで高Gにさらされ、腰にダメージを抱える者も少なくない

 ドライバーにかかるGは首だけでなく、胴体や両腕はもちろん、両脚にもかかっている。 こうした全身にかかるGに応えるためには、全身の筋肉を鍛えなければならず、それを行うために腹筋や背筋、またスクワットなどインナーマッスルを鍛えていく必要があった。

 加えて、毎朝30分程度のストレッチングを行い、これで関節を柔らかくして、一方で筋肉も鍛えることができる。これは非常に効果的だったと自分でも実感している。

 多くのドライバーはレーサー人生の終盤において腰痛の問題を抱える。これは過酷なG環境の中で常に背骨やその周辺にある筋肉にかかる負荷が蓄積され、最終的に神経を傷めてしまうことに起因すると考えられる。これを予防することは完全にはできないが、筋力をつけてストレッチを継続することで、その発症する年齢時期を延ばすことを可能としているといえるだろう。

 前出スポーツ外来の研究チームと共同でフォーミュラカーの F3000 マシンに、走行している時どの程度心拍数が上がるのかを計測する装置をつけ実験したことがある。その時の結果によると心拍数は 190/分以上に達していた。 それが走り始めから走行終了までずっと継続されていることに、研究チームも驚きを隠さなかった。

心拍数190以上の世界! 視力が衰えると想定外の負担も!

フォーミュラが過酷なのはもちろんだが、耐久レースもキツイ状態のなか長時間の運転を強いられる
フォーミュラが過酷なのはもちろんだが、耐久レースもキツイ状態のなか長時間の運転を強いられる

 さらに様々なカテゴリーの、様々な年代のドライバーを同様に計測した結果、皆一様に190 以上の心拍数に達していることが分かり、生命の維持が難しいと考えられた。なぜそんな状況下でドライバーは生存していられるのか、ということを走行直後の血液を採取して調べた。

 その結果、体内でステロイドが大量に生産されていて、そのステロイド生産が疲労を激しくしていることが分かり、走行前にステロイド注射を行うことで疲労を軽減させることができるという実験まで行ったのだ。 実際、F3000 のレース前にステロイド注射と点滴を行い、レース直後でも全く疲れを感じない体を作り上げることができた。

 この点滴によりレーサー人生を4年は引き延ばせたと考えられる。現代ではこうした行為はドーピングと規定され、行うことができない。

 動体視力などは環境適合能力とも言われ、走って外の景色を読み取るトレーニングで養うことができる。現役当時は新幹線に乗った時に窓側に席を取り、通過する駅の名前を瞬時に読み取ることができた。対向車線を走る車のナンバーを読み取ったり、車種を見て取ったり、様々なそうした継続で動体視力を養っていたものだ。

 視力自体が衰えることは矯正で補うしかない。 メガネをかける、あるいはコンタクトレンズをするなどが必要だが。F3000マシンでコンタクトレンズを使用すると、過大なGがコンタクトレンズにもかかり、目の中でずれ動いてしまうことが度々あった。

【画像ギャラリー】クルマの中で何が起きている? 身体にかかる想像以上の負荷! 知られざるプロドライバーの裏側(8枚)画像ギャラリー

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