高級シフトに現場はどう変わった?? マツダ本気の販売改革「新世代店舗」の戦略と実情

マツダはどこへ向かうのか「我々はシェア2%でいい」マツダ副社長ロングインタビュー」を読んでいて企画担当が「んっ? おっ?」と思ったのが、自動車評論家 鈴木直也氏の「マツダは高額車ゾーンに行く気はないと?」との質問に、インタビューに応じてくれたマツダ 藤原清志副社長が、「自分たちから意図しては行かない」ときっぱりと言い切った場面。

 近年のマツダに対するイメージは「プレミアム志向が強い」(そしてそれは広く認知されているところ)だと思っていたのだが、違うのか、実際のところはどうなのか?

 月に200近い店舗を歩き、現場の生の声を集めてくれる流通ジャーナリストの遠藤徹氏が、マツダ販売店の現在を教えてくれた。

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※本稿は2020年3月のものです。本企画中の値引き額は、遠藤徹氏調べによるものです。値引き額は、販売店や装備内容など諸条件によって異なります
文:遠藤 徹/写真:MAZDA、ベストカー編集部
初出:『ベストカー』 2020年4月10日号


■2014年から広がるマツダの「新世代販売店」とは?

 首都圏を中心にマツダ販売店を回ると、大きな変化に気づく。ショールーム&サービス工場が新しくなり、その新しい店舗では、営業マンの顧客対応、売り方も180度様変わりしているのだ。

 都市部では2014年から新世代店舗へと徐々に切り替わっており、これまではテーマカラーがブルーとホワイトだったが、新しい店舗はブラックが中心となり、ショールーム&サービス工場のレイアウトも一新。

 一見するとトヨタのレクサス店に似た雰囲気で、商談コーナーは仕切られていて、来店客のプライバシーにも配慮されている。

マツダ新世代店舗の外観はブラック基調のテーマカラーを採用

 この販売店改革は建物だけでなく、ユーザーとの購入交渉の手法にも及ぶ。

 マツダのクルマ作りはSKYACTIV技術を導入してからプレミアム志向になっているうえに、値引きを極端に抑えて販売している。

 以前のマツダの新車販売は大幅値引きで、リセールバリューがダウンするいわゆる「マツダ地獄」に陥るケースが頻繁に発生していた。

 しかし最近は値引きを極端に抑えて販売しており、残価設定クレジットで契約する場合は、残価を3年後に55%、5年後に35%を一律に設定し、これを一定の条件(1カ月当たり1000km以内で無傷の場合)内で保証することにしている。

 この残価は他メーカー車に比べて5ポイント程度高く設定している。トヨタのレクサス車やトヨタの新型車並みのハイレベルである。

新世代店舗のショールーム。黒を基調にしながら、上質感を感じさせる空間が演出されている

■値引きがライバル車より10万円以上少ない!

 プレミアム志向は価格設定の高さにも表われている。

 他メーカーのライバル車と価格を比較すると、通常のSKYACTIVガソリン車で約10万円高、クリーンディーゼル車で約20万円高であり、そしてSKYACTIV-X車に至っては約60万円も高い。

 さらに値引き額も同クラスライバル車より、約10万~20万円(カーナビとETC付き)も引き締めている。

 マツダでは「SKYACTIV車のクルマ作りはクォリティがベンツやBMW並み、価格設定はフォルクスワーゲンを参考にする」という考え方で取り組んでいて、これを傘下の販売店各社に周知徹底させている。

 この考え方を導入したのは、本格的なSKYACTIV車第一号といえる2012年に発売したCX-5からで、その頃に残価設定クレジットで販売したクルマが今、代替え期に入りつつあり、保証の適用を受けている。

 この代替え期に販売台数を増やしたいところだが、最近のマツダ車の売れゆきは必ずしもうまくいっているわけではなく、低迷しているのが現状。

 マツダ3とCX-30のSKYACTIV-X車の受注構成比も全体の10%程度にとどまる。

 しかし、値引きを拡大させてまで販売台数を増やすことはなく、マツダのプレミアム戦略は続けられている。


【番外コラム】新世代店舗は現在176店

(TEXT/編集部)

 マツダは2014年から新しいコンセプトの販売店を順次展開。2月現在、販売店の店舗数は全国に733店舗あるが、そのなかで新世代店舗は176店舗。

 今後も新世代店舗はエリア特性などを考慮しながら、増える予定だという。

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