かつてはよく見かけた、フロントガラスの上部にブルーやグリーンの色がついたクルマ。
「ハーフシェード」とか「トップシェード」、「ぼかし」などと呼ばれるものですが、高級車に採用されていたことで、かつては憧れの対象となっていたアイテムでした。
最近では見かけることがなくなってしまいましたが、なぜガラス上部に色をつけていたのでしょうか。そして、なぜ、最近は見かけなくなってしまったのでしょうか。
文:吉川賢一
写真:中里慎一郎、ホンダ、三菱、レクサス
フロントガラス上部が青や緑になっていたのはなぜ?
その理由は簡単で、シェード(遮る)という単語の通り、「陽射しを和らげる」ためです。トップシェード付きならば、サンバイザーを使用しなくても、ある程度は、陽射しを和らげることができます。
トップシェード部分は、他のクリアなガラス部分よりも可視光線の透過率が低くなっており、サングラスのように、ドライバーの目にかかる負担を軽減できるのです。
また「見た目のカッコよさ」も理由のひとつでした。トップシェードの色付け部分とガラスの境目についたグラデーションによって、ドレスアップ効果があり、高級車や上級グレードを表す装備としてみなされていた時代には、それが「カッコよい!」とされていました。
いま考えると、「そう?」と思えるアイテムの一つですが、当時は筆者も含め、憧れる方が多くいたのです。
トップシェードを後で付けることはできる?
純正装着されているトップシェードは、フロントガラスの層の間の中間膜に着色されています。トップシェードが設定されているクルマでも、後から「装着したい!」となった場合は、フロントガラス交換を覚悟しないとなりません。
とはいえ、後付け用のトップシェードがないわけではありません。フロントガラスのサンシールドに関する保安基準が、明確に決められておりますので、その通りに加工された商品で施工すればいいのです。
詳細は、保安基準詳解/検査実施要領の道路運送車両の保安基準詳解 第29条(窓ガラス)や、検査実施要領 3-19 (窓ガラス)に記載されています。要約すると、
1 サンシールドの施工範囲
前面ガラスの上縁であって、車両中心線と平行な鉛直面上のガラス開口部(ウェザ・ストリップ、モール等と重なる部分及びマスキングが施されている部分を除く。)の実長の20パーセント以内の範囲。
2 サンシールドの透過率
貼り付けられ、又は塗装された状態において、透明であり、かつ、運転者が交通状況を確認するために必要な視野の範囲に係る部分における可視光線の透過率が70パーセント以上であることが確保できるもの。
フロントガラスの実長はクルマごとに異なりますので、汎用品は原則ありません。
また、装着が難しい部分に貼るフィルムタイプですので、シワやズレなく施工する自信が無ければ、専門のショップを探してやってもらう方が安心です。シワや空気が入ってしまったトップシェードでは、かえってみすぼらしくなってしまいます。
ちなみに、スーパーGTのマシンに装着されている「がんばろう!日本」のハチマキをつけての公道走行は、NGです。先ほどのルールにある、「透過率が70パーセント以上」の基準に引っかかります。
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