トランプ関税やBEV普及の停滞など、さまざまな出来事があった自動車業界の2025年。そこで、転換期の始まりともいえそうな2025年を自動車メーカーごとに総括。ここでは国内最大メーカーであるトヨタ&レクサスを評価&採点する。
※本稿は2025年12月のものです
文:井元康一郎、渡辺陽一郎/写真:トヨタ、レクサス、ベストカー編集部
初出:『ベストカー』2026年1月10日号
井元康一郎の評価
トヨタ自動車の中間決算のスコアは、同社の収益力が非常に強固なものであることを示している。
北米の新車販売が前年同期(以下前期)比で13.8%増えたことに後押しされる形で、上半期の世界販売は526万台と過去最高を記録。売上高は22兆3241億円と、前期比1兆円以上の伸びとなった。
本業の儲けを表す営業利益も依然として高水準。トランプ関税の影響をマイナス9000億円ぶん受けながら、営業利益は2兆56億円と、辛うじてではあるが2兆円ラインを維持。売上高に対する営業利益率は8.1%と、完成車メーカーの合格ラインである6%を大きく上回った。
が、トヨタとて楽な戦いを展開できていたわけではない。クルマと金融の売上から原価を引いた総利益(売上高から製造原価を引いたもの。粗利ともいう)は4兆1646億円と、前期比約7000億円も減らした。
原価率83.1%は、前期比の79.1%から4ポイントもの悪化で、利益を出せる余地が大きく減ったことを意味している。
にもかかわらず2兆円以上の営業利益を出せたのは、総利益から差し引かれる経費を、前期比で2400億円以上抑制できたことが大きい。
経費のうち人件費は800億円、研究開発費は700億円の増加と、むしろコストアップ要因になっていることから、北米でのインセンティブ(販売店に支給する値引きの原資)をよほど圧縮できたと推察される。
トヨタの強さはどこにあるのか?
今日のトヨタのプレゼンスの高さは、単に商品のよし悪しだけで作られたものではない。
豊田章男会長は、2009年の社長就任直後から「もっといいクルマを作ろうよ」を標榜して改革を謳った。
その改革の正体は、トヨタこそが正しいと考え、クルマを購入する際にトヨタ車だけを見る顧客を増やす「囲い込み戦略」だった。モノ作りだけでなく情報戦にも勝ったことが強さにつながった。
一方で、トヨタの今の成功は実力値以上という側面もある。
一貫して全方位戦略を標榜し、ハイブリッドに傾注してきたトヨタは正しかったとする論調が世を席巻している。トヨタのハイブリッドは技術的に優秀であることは間違いなく、自力で勝ち取った部分ももちろんある。
トランプ大統領との因果な関係
しかし、その強烈な追い風となったのは、トヨタに9000億円の関税関連損失をもたらしたトランプ大統領だ。
彼は2024年に大統領に返り咲くと、CO2削減の世界的な枠組みであるパリ協定から離脱し、民主党が推進していたBEV転換政策も全面的に中止した。
これによって欧州のBEV転換の目算も狂い、ハイブリッドが再び主役に躍り出たのだ。そのフロックをトヨタが自分の実力値と考えてしまうと、次の一手を見誤ることになるだろう。
もっともこのトレンドはすぐに変わるものでもない。2026年度も引き続き世界首位メーカーとしてビジネスを優位に進めるのは間違いないところだ。
●井元康一郎の採点
・財務状況:10点
・利益率:7点
・新車販売:10点
・2026年の見通し:9点
・5年後(2030年)の見通し:7点
・総合評価:8点


























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