スタッドレスタイヤは摩耗していても夏タイヤとして使える? 来シーズンも使えるか見極めるポイントとは

摩耗したスタッドレスタイヤは夏タイヤとして使えるのか?

タイヤとしての摩耗限界を示すスリップサイン。写真のタイヤはスリップサインが左右のタイヤ溝と同じ高さまで来ており、もう限界(kumi@Adobe Stock)
タイヤとしての摩耗限界を示すスリップサイン。写真のタイヤはスリップサインが左右のタイヤ溝と同じ高さまで来ており、もう限界(kumi@Adobe Stock)

 結論から言えば、摩耗したスタッドレスタイヤを夏タイヤとして使用すること自体は違法ではない。スリップサインが出ていない限り、夏用タイヤとして走行することは可能である。

 ただし、決してお薦めできる使い方ではない。スタッドレスタイヤは冬の低温環境を前提に設計されており、ゴムが柔らかく細かい溝が多い構造になっている。そのため夏の高温環境では摩耗が進みやすく、ブレーキ性能やハンドリング性能が低下しやすい。

 さらにウェット路面では排水性が不足し、ハイドロプレーニング現象が起きやすくなる可能性もある。燃費の悪化などのデメリットも指摘されており、夏用タイヤとしての性能は決して高いとは言えない。

 つまり、スタッドレスを夏に履き続けるのは「履きつぶし目的」で短期間使う程度にとどめるのが現実的である。

来シーズンも使うための保管方法がその後の寿命を左右する

スタッドレスタイヤを外した際にまずは隅々まで洗う。ホイールにはカーシャンプーやクリーナーを使い、タイヤは基本的に水洗い。しっかりと乾かしたらビニール袋などに入れて、紫外線があたったり、温度が上昇する日光があたる場所やオゾンを発生させるエアコン室外機のそばを避けて保管する(tkyszk@Adobe Stock)
スタッドレスタイヤを外した際にまずは隅々まで洗う。ホイールにはカーシャンプーやクリーナーを使い、タイヤは基本的に水洗い。しっかりと乾かしたらビニール袋などに入れて、紫外線があたったり、温度が上昇する日光があたる場所やオゾンを発生させるエアコン室外機のそばを避けて保管する(tkyszk@Adobe Stock)

 夏タイヤに履き替えて、スタッドレスタイヤのホイールセットが車体から外されたら、まずは隅々まで洗おう。

 ホイールはブレーキダストで汚れていたらカーシャンプーやクリーナーを使って落とし、タイヤは基本水洗いで泥や砂、埃などを落とし、カーシャンプーを使ったらよく洗い流す。これによりタイヤとホイールの点検も兼ねることができる。

 タイヤに釘などの異物が刺さっていないか、ホイール内側のサイドウォールにも傷など異常がないか、ホイールも傷やクラック、歪みなどがないか点検しよう。

 釘が刺さっていたら外からプラグを差し込むタイプのパンク修理でいいので、釘を抜いてパンク修理しておいた方がいい。水分の侵入などでスチールベルトが腐食すると、走行中にバーストする危険性が高まる。

 洗ったら、乾かして水分をなくしてからゴミ袋などの大きなビニール袋に入れて、日陰の涼しい場所に保管しよう。

 また保管時には、タイヤの空気圧を下げることも大事なことだ。クルマを支える必要がないので空気圧を高めておく必要はなく、むしろ空気圧を下げることでタイヤの構造材にかかるテンションを和らげて、負担を軽減することになる。

 ただし、空気を抜き過ぎると変形しやすくなって、後で再び履き替えても空気圧を高めても、しばらくは走行中に振動が出る恐れもある。目安は指定空気圧の半分ほどだ。

 それと油分によりゴムが溶け出して変質して劣化するため、油性のタイヤワックスを塗ったままの保管もお勧めできない。水性でもタイヤワックスは美観のためのもので、タイヤの保護には役に立っていない。

 また水に濡らしたり、湿気の多い場所も厳禁だ。水分により加水分解することもあり、さらに温度が高ければ、これらの反応はさらに活発になって劣化が早まってしまう。

 紫外線があたったり、温度が上昇する日光があたる場所や、オゾンを発生させるエアコン室外機のそばに保管するのも避けたい。

 ゴムは分子同士がつながる「架橋結合」となっているため、紫外線やオゾンといった刺激により分子同士のつながりが断ち切られてしまうと、やはり表面がヒビ割れてやがてボロボロになってしまうのだ。

 樹脂パイプ製のタイヤラックも効率良く収納するためには便利なアイテムだが、それは保管の環境を改善するというより、本来スペースが十分ではないところに置けるようにするために使われるケースの方が多い。

 自宅の収納スペースの関係上、そんなに環境の良い保管場所は確保できない、というケースも当然あるだろう。

 コンテナのレンタル収納スペースは便利だが、夏場は内部が高温になってしまうので、スタッドレスタイヤの保管スペースとしては正直に言って適してはいない。

 カー用品店やタイヤ専門店では、スタッドレスタイヤの保管サービスを行なっているところも多いが、そこでスタッドレスを購入する必要があるし、保管料もそれなり(5000円~2万円/年間)にかかる。

 春の履き替えは単なるタイヤ交換ではない。タイヤの状態をチェックし、来シーズンの安全を考える“点検タイミング”でもあるのだ。

 スタッドレスタイヤを外したこのタイミングで、溝・年数・状態をしっかり確認しよう。そうすれば「まだ使えるのか」「来シーズンは交換すべきか」が自然と見えてくるはずだ。

 クルマの安全は、たった4本のタイヤが支えている。そのことを忘れず、春の履き替えを安全点検のチャンスとして活用してほしい。

【画像ギャラリー】スタッドレスタイヤから夏用タイヤへの交換時期到来! 来期も使えるのかどこを見ればいいのか?(5枚)画像ギャラリー

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