雨の日に運転中、深い水たまりを通った瞬間にハンドルの手応えがフッと軽くなり、クルマが浮いたような感覚を経験したことはないでしょうか。たとえ大きく姿勢を崩さなかったとしても、その「わずかな違和感」は、実はタイヤが路面を捉えきれていないサインかもしれません。
では、実際にスリップしてしまったとき、私たちはどう対処すればいいのでしょうか。見過ごされがちな基本操作から、そもそも滑らせないための安全な走り方まで、いざという場面で役立つポイントをご紹介します。
文:吉川賢一/アイキャッチ画像:Adobe Stock_nsit0108/写真:Adobe Stock、写真AC
【画像ギャラリー】「ズルッ」ときたらどうする? 雨の日にタイヤが滑った時の正しい対処法(7枚)画像ギャラリー雨の日は「滑る可能性がある」と思って運転しましょう
雨の日は路面が濡れることで、タイヤが地面を掴む力(グリップ力)がどうしても弱くなってしまいます。タイヤと路面との間に水膜が形成されることで、タイヤの駆動力が路面に伝わりづらくなってしまうからです。
実際、雨の日は事故が多発しており、首都高速道路のデータによると、雨天時は死傷事故件数が(雨天時以外の)約4倍、ガードレールなどの施設に接触する事故にいたっては、なんと約6倍にもなるそうです。
「大丈夫そう」と思って運転をしていても、路面状況や走行ラインによってグリップの状態は変わるため、たとえばわだちに水が溜まっている場所など、場所によっては滑りやすくなっています。また、まだ本降りとなっていない「雨の降り始め」も要注意です。降り始めは路面のホコリや油分が浮き上がって「泥水」のような状態になるため、たとえ水たまりができる前であっても、非常に滑りやすくなっています。
「場所やタイミングによって状況は変わる」ということを意識して、いつもよりスピードを控えめに、ゆとりを持って運転するのが雨の日の基本です。
もし滑ってしまったら?正解は「余計なことをせず、クルマに任せる」
実際にタイヤがズルッと滑ってしまったとき、一番大切なのは「あわててハンドルをこねくり回さないこと」です。
いまのクルマには、クルマが自動で動きを整えてくれる「横滑り防止装置」などの優れたシステムが備わっています。スリップを感じたら、行きたい方向にハンドルを向けたまましっかりと保持し、その状態で落ち着いてブレーキを踏み続けてください。まっすぐな道ならハンドルをまっすぐに、カーブなら曲がりたい方向へ向け続けます。クルマに行きたい方向を知らせることで、各種センサーが運転操作や車速などを検知し、ドライバーが向かおうとしている方向へ安全に進むことができるよう、自動的にブレーキ圧やエンジン出力を調整し、横滑りを軽減してくれるのです。
かつてタイヤメーカーの取材で、「横滑り防止装置」をOFFにした状態でWET路面をどれほど走れるのかを体験しましたが、時速50km程度の速度であっても、スピン挙動が発生したクルマをハンドル操作だけで立て直すのは至難の業でした。焦ってハンドルを何度も切り直したり、アクセルでどうにかしようとしたりすると、かえって動きが乱れてしまうため、クルマの機能を信じて、基本操作を維持することが大切です。
制御不能になっても「何もしない」のが最善の対処法
これは、一般的なスリップよりも恐ろしい、ハイドロプレーニング現象に陥ってしまった際も同じです。「ハイドロプレーニング現象」とは、濡れた路面を高い速度で走行した際に、タイヤが水の上に完全に浮いてしまい、クルマが制御できなくなる現象のこと。タイヤが路面に接していないため、ハンドルから手応えがフッと消え、ブレーキを踏んでも全く反応しなくなります。
この状態に陥ると、どんなに優れたドライバーや最新の電子制御システムでも、クルマをコントロールすることはできません。無理にハンドルを動かしたりブレーキを強く踏んだりせず、タイヤが再び路面を捉えて「手応え」が戻ってくるまで、ハンドルを真っ直ぐに保持して待つことが、被害を最小限に抑えるための最善策となります。










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