かつて国産車のスピードメーターといえば180km/h上限が当たり前だった。しかし近年は300km/h表示のクルマも珍しくない。なぜこの“常識”は崩れたのか、解説していきたい。
文:ベストカーWeb編集部/写真:ベストカーWeb編集部、日産、トヨタ、スズキ、ホンダほか
180km/h上限は「安全のための自主規制」だった
そもそも日本車のスピードメーターが180km/h上限となったのは、法規ではなくメーカーによる自主規制が理由である。
1970年代、クルマの性能向上によって容易に高速域へ到達できるようになり、交通事故死亡者が急増。これを受けて各メーカーは速度抑制策を強化した。
その象徴が「速度リミッター」の導入だ。180km/hに達すると燃料カットでそれ以上加速できない仕組みで、現在も国産車に広く採用されている。
このリミッターとセットで、スピードメーターも180km/h表示に統一されていった。つまり「出せない速度は表示する必要がない」という極めて合理的な考え方である。
また当時は、100km/h付近がメーター上部に来ることで、高速走行時の視認性が高いというメリットもあった。速度確認のしやすさという意味でも、180km/h上限は理にかなっていたのである。
上限撤廃の理由は「高性能化」と「世界基準」
では、なぜ現在は180km/h上限ではなくなったのか。その転機となったのが2007年登場の日産 GT-R(R35型)だ。
GT-Rは340km/hスケールのメーターを採用しながらも、GPSと連動させ、サーキット以外ではリミッター解除ができない仕組みを導入。これにより「公道では安全を確保しつつ、サーキットでは本来の性能を発揮できる」という新しい価値を提示した。
これをきっかけに、レクサスやトヨタ、スズキなど各メーカーも高上限メーターを採用し始める。現在では300km/h級のフルスケールメーターも珍しくない。
もうひとつ大きいのがグローバル化だ。海外市場では速度リミッターが異なる場合もあり、メーターもそれに合わせる必要がある。結果として「世界共通仕様」として上限を引き上げるケースが増えた。
さらにスポーツモデルにおいては、高い速度表示そのものが“ハイパフォーマンスの証”としての意味を持つ。クルマ好きにとって、300km/hスケールのメーターはそれだけでワクワクする装備なのだ。
とはいえ重要なのは、いまでも多くの国産車には180km/hの速度リミッターが存在するという事実である。メーターの上限が上がったからといって、公道での最高速度が変わったわけではない。
つまり現代のスピードメーターは、「安全」と「性能アピール」、そして「グローバル対応」という3つの要素のバランスで進化した装備と言える。かつての180km/h上限は時代の要請だったが、いまやクルマの進化がその枠を超えたのである。
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