2026年2月、アメリカとイスラエルがイランを攻撃。イランは即座に海上交通の要衝であるホルムズ海峡を封鎖し、アメリカもイランの船舶に対して海峡封鎖を実施。もしもこのまま封鎖が長期化した場合、どのような影響があるのだろうか?
※本稿は2026年3月のものです
文:井元康一郎/写真:AdobeStock(トップ画像=DigitalPenTH@AdobeStock)
初出:『ベストカー』2026年4月26日号
海峡封鎖が長期化した場合の影響・余波
世界経済に甚大な被害を与えつつあるイラン革命防衛隊によるホルムズ海峡の通行妨害。日本でもその影響はすでに燃料価格の急騰という形で出ているが、長引くと影響はその程度では収まらなくなる。
早期に影響が出るのはプラスチックをはじめとする石油化学製品の原料不足。部品不足といえば半導体というイメージがあるが、数万点の部品の寄せ集めであるクルマはネジやクリップなど小さな部品も同じことで、なければ作れない。
さらに懸念されるのはインフレの亢進だ。1980年代のイラン・イラク戦争でホルムズ海峡が戦場となった時も原油価格が2倍に跳ね上がり、世界的な混乱を招いた。今回はコロナショック後の継続的な物価高との複合インフレになるため、経済学者も影響の予測に苦慮している。
混乱による傷口をなるべく小さく収めるには、早期に戦争を終結させるしかないが、革命防衛隊に痛撃を与えてもトランプ大統領の思惑どおりに政権は崩壊しなかった。イランの自壊が望めないとなると、今後のシナリオは大きく3つ。
(1)アメリカ・イスラエルとイランが停戦、講和を行い、紛争自体が消滅。
(2)イラン革命防衛隊の継戦能力を軍事作戦によって消滅させ、ホルムズ海峡の安全を力で確保。
(3)アメリカが中途半端な段階で戦術的勝利宣言を行って投げ出す。
まずは(1)。これが最も平和的ではあるのだが、その可能性は低い。
イランのトップ、ハメネイ師を爆殺した時点でイランの宗教独裁政権の転覆を終着点に想定していることは明白で、その独裁政権と講和したのでは戦争を仕掛けた意味がまるでなくなってしまう。またイラン側は制裁解除や賠償を求めてくることが予想され、話がまとまる要素がまったくない。
次に(2)。ホルムズ海峡の航行の安全を確保するにはこれが最も現実的だ。
戦争が起こってしまった以上、平和的解決はもはやあり得ない。ならば戦力、兵站から兵器生産に至るまで、徹底的かつ集中的に叩くのだ。そうなればホルムズ海峡を航行する船舶の保険引き受けが再開され、世界のモノの流れも正常化に向かうだろう。
最も悪いシナリオが(3)。ここまでやっておきながら革命防衛隊を一掃せずに放り出したら、ホルムズ海峡は完全に安全な場所にはならず、混乱が最も長期化する。ここまでやったのなら途中で放り出すことはないだろうと普通は考えるところだが、歴史的にみてアメリカはわりと不徹底で、時々それをやる。
いずれにしてもこの戦争に主体的に関わっているのはアメリカとイスラエルで、当事者でない日本やEUは自分の意思でゆくえを左右させることができない。当面やきもきさせられる状況が続きそうだ。
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