アメリカ製ミニバンが走りに向かないは偏見だった!?
一般にアメリカ車は直線では快適だがコーナリング性能は低いというイメージを持たれがちだだが、それは必ずしも正確ではない。実際のアメリカ車は、レーシングカーから乗用車まで含めて非常に完成度の高いシャシーを持っているものが多い。
アストロも例外ではなかった。箱根ターンパイクをはじめとする山岳路でも、驚くほど軽快な走りを見せた。富士スピードウェイからの帰路でワインディングを走る際には、チーム関係者のスポーツカーがついて来られないほどのペースで走ることができたほどだ。FRレイアウトによる自然なハンドリング、そして意外なほど小さい最小回転半径によって、日本の狭い道路でも取り回しは良好だった。
室内の快適性、走行安定性、運転のしやすさ。どれを取っても、このアストロ・スタークラフトは極めて完成度の高いミニバンだったと言える。
【画像ギャラリー】まさに現代ミニバンのルーツ! 今では激レアな初代アストロと、豪華絢爛な2代目コンバージョン仕様の“極上リビング”を一挙公開(17枚)画像ギャラリー時代的制約はあったけれども……なかなか先進的だった
もちろん欠点がなかったわけではない。当時のエアコン性能は現在ほど高くなく、サーキットのパドックでは夏場の暑さが厳しかった。またエンジンを長時間かけ続けるわけにもいかない。もし現在の電動車のように大容量バッテリーでエアコンを稼働できる仕組みがあったなら、この車はさらに理想的な移動空間になっていただろう。
私はこの車を約4年間所有し、走行距離は約10万kmに達した。それでも大きなトラブルは一度もなかった。燃費は都内で約6km/L程度だったが、燃料タンクは101L入るため航続距離は約600kmに達する。しかもレギュラーガソリンが使用できるため、経済性もそれほど悪くはなかった。
ウォークスルー構造によって車内を自由に移動できるレイアウトや、長距離移動を前提に設計されたコックピットの操作性など、アメリカの自動車文化が生み出した合理性を強く感じさせる車だった。さらに印象的だったのは内装の質感である。
ウォールナットなどの天然木材を用いた装飾や、柔らかなライティングはまるでクルーザーのキャビンのようだった。豪華ヨットを作る文化を持つアメリカらしい空間演出であり、現在の日本製ミニバンでもこの雰囲気を完全に超えられたモデルはまだ少ない。
日本もなかなかミニバンは尖っていたけれども……!
日本にも優れたミニバンは数多く存在する。例えばトヨタ・アルファードの先祖ともいえる初期モデルであるグランビアは、広い2列目空間と豪華装備で強い存在感を示した。当時はまだ片側スライドドアだったが、そのパッケージングは非常に魅力的だった。
しかし「すげえミニバン」と言われてまず思い浮かぶのは、やはりアストロ・スタークラフトなのである。この選択は意外に思われるかもしれない。国産モデルではなくて恐縮だが、実際に乗ったことのある人なら理解してもらえるはずだ。
あの車は単なるミニバンではなかった。移動するリビングであり、レーシングドライバーの拠点であり、そして長距離移動を楽しませてくれる極めて魅力的な手本とすべきモデルだったのである。
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