魔改造BRZの初挑戦は5位完走! スバルと新井敏弘を本気にさせた無限の可能性

魔改造BRZの初挑戦は5位完走! スバルと新井敏弘を本気にさせた無限の可能性

 BRZに2.4Lターボと直結式AWDをぶち込んだ「SUBARU Boxer Rally spec.Z」が5月8~10日に開催された全日本ラリー第3戦ラリー飛鳥に実戦投入された。新井敏弘選手は「(息子の)大輝にはかなわないかもしれないが、(ほかのライバルたちとは)そこそこ勝負になるんじゃないかな」とそのポテンシャルの高さに手応えを口にした。その伸びしろの大きさはスバルと新井敏弘選手を本気にさせたようだ!

文:ベストカーWeb編集部/写真:ベストカーWeb編集部、SUBARU

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ほかのラリー車とは全く違うスポーツカーのフォルムが美しい

参戦チームで一番の注目度。多くのファンが応援に詰めかけた
参戦チームで一番の注目度。多くのファンが応援に詰めかけた

 「SUBARU Boxer Rally spec.Z」の全日本ラリーの初挑戦の結果は5位。優勝したGRヤリス ラリー2に乗る勝田範彦選手から2分49秒4も離された。それでも新井敏弘選手の表情は曇ってはいなかった。むしろ、エンジニアと饒舌に話す姿は、ポテンシャルの高さを感じたからであろう。

 初日からトラブル続きだった。いきなりフロントのドライブシャフトが折れて右前の駆動が抜け、3輪走行を強いられた。さらに荒れた路面にパンクを喫し、午後には原因不明のパワーダウンで、思うような走りができなかった。

 それでも新井選手は、昨年まで乗っていたWRX S4に比べると「SUVから乗用車に乗り換えたようだ」とクルマの違いをわかりやすく例えてくれ、「シャシー性能は充分にある」と教えてくれた。

初めての実戦ということで、いくつもトラブルが出た。新車と言うことでエンジニアもメカニックも手探りな面もあったが奮闘した
初めての実戦ということで、いくつもトラブルが出た。新車と言うことでエンジニアもメカニックも手探りな面もあったが奮闘した

 「SUBARU Boxer Rally spec.Z」の開発が始まったのは昨年11月頃。昨年まで全日本ラリーを走ったWRX S4に限界を感じたことで、スバルはBRZの魔改造に着手する。理由はスバル車で最もホイールベースが短く、低重心であるからだ。もちろん、トップカテゴリーでの挑戦となれば、戦闘力を大幅に高めなければならない。そこで大きく3つの変更を行った。

(1) FRのBRZを直結式のAWDとし、前輪を駆動するデフはエンジンの真下にレイアウトする
(2) エンジンはWRX S4で実勢のあるFA24ターボエンジンとし、最高出力280ps以上、最大トルク500Nm(51.0kgm)を発生
(3) エンジンを低くフロントミドにレイアウトし、低重心&慣性モーメントの低減を実現する

以上3つの大胆な変更を受けた「SUBARU Boxer Rally spec.Z」は、見るものをくぎ付けにするカッコよさだった。

今回は全国のスバルディーラーから5人のメカニックが派遣され、特別な1台を整備し、「チームワークと基本の大切さを再確認しました」と口をそろえた
今回は全国のスバルディーラーから5人のメカニックが派遣され、特別な1台を整備し、「チームワークと基本の大切さを再確認しました」と口をそろえた

 全日本ラリーを席巻するGRヤリス ラリー2をはじめ、ラリー車と言えばハッチバックが主流ななか、スポーツカーのフォルムをまとっていたからだ。実際にラリー飛鳥に足を運んだお客さんたちのお目当ては、魔改造BRZを見ることだったに違いない。初日も2日目もBRZのサービステントには、どのチームよりも多くのファンが訪れていた。

「ラリーをやめようと思ったこともあった」と語る新井選手を奮い立たせたBRZ

フィニッシュ後開発責任者の山田大輔さん(中央)とエンジニアの嶋村誠さん(右)と話し込む新井選手。課題は多いが、お互い可能性を口にしていた
フィニッシュ後開発責任者の山田大輔さん(中央)とエンジニアの嶋村誠さん(右)と話し込む新井選手。課題は多いが、お互い可能性を口にしていた

 昨年までWRX S4で戦ってきた新井敏弘選手だが、ラリー2マシン相手に苦戦続きで、「ラリーをやめとうと思ったこともあった」と振り返る。

 それでも今季BRZでの挑戦が決まり、心機一転自らを奮い立たせてきた。初めての実戦を振り返り、「シャシー性能はある」と語る新井選手だが、「まだまだ楽しめない」と言う。何故か? GRヤリスほかラリー2勢に比べてエンジンのレスポンスが足りないからだ。対等に戦うには「エンジンのレスポンスをもっと高めなければならない」とBRZの課題を教えてくれた。

 ターボを小さくし、パワーではなく、レスポンス重視にすることで、タイムは詰まっていくのではないかと言う。

パワーよりもレスポンスが欲しいと新井選手が注文を付ける水平対向2.4ℓターボエンジン
パワーよりもレスポンスが欲しいと新井選手が注文を付ける水平対向2.4ℓターボエンジン

 2日目の最終SSは「最後だから」と攻めた走りをしたという。左コーナーを120~130㎞/hで入ったところ、くるっとスピンするハプニングもあった。サスペンションのストロークはあるが、まだ走り込めていないので、セッティングの煮詰めもまだまだこれからのようだ。

 それでも、「全体を通して60~70点くらいかな?」 と新井選手は前向きだ。何よりBRZが注目され、お客さんの大きな声援を浴びたことで、本人も元気をもらったようだ。

 声援の大きさに後押しされたのはスバルの開発陣も同じだ。「SUBARU Boxer Rally spec.Z」の開発を指揮するスポーツ車両企画室の山田大輔さんは「課題は山のようにあります。それでも新井選手が『クルマの動きはいい』と言ってくれたので、開発の狙いは間違っていなかったかなと思います。ファンの皆様の注目度も高いので、少し時間はかかりますが、いいクルマに仕上げていきます」と決意を口にする。

「BRZはこれからどんどん速くなる」と新井選手は色紙に書いてくれた。期待しよう
「BRZはこれからどんどん速くなる」と新井選手は色紙に書いてくれた。期待しよう

 次戦は6月19~21日の久万高原ラリー(愛媛・ターマック)だが、7月10~12日のラリー・カムイ(北海道・グラベル)にも期待がかかる。もともと新井選手はグラベルが得意なうえ、サスペンションストロークがあるので、セッティングが決まれば上位も狙えるかもしれない。

 新井選手も 「クルマがうまく仕上がっていけば(息子の)大輝にはかなわないかもしれないが、(ほかのライバルたちとは)そこそこ勝負になるんじゃないかな」と伸びしろの大きさを口にして、色紙にコメントをまとめてくれた。

 次戦以降のBRZの進化が楽しみでならない。

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