7台のミゼットIIが筑波サーキットでガチレース!! イマなら間違いなく放送事故!? 危険すぎた伝説のバトルを当事者が告白

今だから語れるミゼットIIレースの裏話

ミゼットIIでもっとも象徴的なポイントはボンネットの先端に剥き出しで装着されたスペアタイヤ
ミゼットIIでもっとも象徴的なポイントはボンネットの先端に剥き出しで装着されたスペアタイヤ

 そして迎えたバトル当日。7台のミゼットIIが一斉にスタートした。当然ながら動力性能はほぼ同じ。そのため筑波の第一コーナーには、ほぼ横一線で進入する形になった。その瞬間だった。土屋圭市氏のミゼットからタイヤのスキール音が聞こえた。おそらくトップを狙い、かなり思い切ったブレーキングをしたのだろう。

 次の瞬間、目の前でミゼットIIが横転した。まるでスローモーションのように見えたが、実際には一瞬の出来事だった。幸い土屋氏に怪我はなかったが、当然ながらバトルは赤旗中断。撮影は一旦中止となり、もちろん録画はカットされ、事実は封印されることに。企画は後日に再度収録されることになったのだ。

 改めて仕切り直しとなったレースで、私が選んだ作戦はシンプルだった。タイヤの空気圧を極端に高くすること。具体的には約3kPa近くまで上げた。狙いは転がり抵抗の低減による直線スピードの向上だ。

 ミゼットのコーナリング限界はそもそも高くない。ならば直線で差を作る方が合理的だと考えたのである。バトルが始まると、予想通り大混戦となった。黒沢元治氏(通称ガンさん)は、こういうクセのある車への適応力が非常に高い。序盤からトップを維持していた。

 しかしバックストレートに入ると、私のミゼットは空気圧の効果で伸びが良い。最終コーナー手前でトップに立つこともできた。だが今度は逆にコーナリング速度で不利になる。コーナリング中は車内で(バイクのような)リーンイン姿勢でこらえる。結果として直線で抜き、コーナーで抜き返されるという展開になった。

 最終的に優勝したのはガンさん。私は100分の2秒差の2位でフィニッシュした。ベストラップタイムは筑波で1分34秒台と遅い。しかしその内容は、一瞬のミスも許されない真剣勝負だった。クルマの性能が低いからこそ、ドライバーの操作がそのまま結果に表れる。これはこれで非常に面白いバトルだったと言える。

 ダイハツ・ミゼットIIは5年あまりで姿を消した。しかしベストモータリングで行われたこのミゼットIIバトルは、多くの人の記憶に残っている。なぜならそこには、単なるスペック競争ではない、クルマを本気で走らせる面白さがあったからだ。

 今の時代なら安全上の理由で実現が難しいだろう。だがあの時代のベストモータリングには、確かにそうした挑戦的な精神があった。そしてその熱気こそが、世界中の多くの自動車ファンを魅了させていたのだと思う。

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