2026年のニュルブルクリンク24時間レース。中継に時おり映る一台のクルマが気になった人もいるだろう。「あれワゴンだろ!」。エイプリルフールから生まれたBMW M3ツーリング24H。正真正銘の戦うワゴンがニュルの森を沸かせた!!
※本稿は2026年6月のものです
文:池ノ内みどり/写真:BMW
初出:『ベストカー』2026年7月10日号
あの速いワゴンはなんだ!?
2026年のニュルブルクリンク24時間レース。F1王者のマックス・フェルスタッペンが参戦し、桁違いの速さをみせたことが大きな注目を集めた。
しかし、2026年のニュルを騒がせたのはそれだけではなかった。ポルシェ 911やAMG GTといったクーペスタイルのGT3マシンの中に、ひと際目を惹くワゴンが疾走していたのだ。しかも、並み居るライバルを抑えて5位入賞まで果たす快挙を成し遂げた。
それが、BMWがエイプリルフールのジョークから造り上げた「M3ツーリング24H」だ。ジョークが“真実”になるまでにはどんなドラマがあったのか!? ワークスドライバーも驚いた、まさかの裏話をお届けする。
M3ツーリング24H誕生にまつわる裏話
きっかけは、BMW Mが2025年のエイプリルフールに、軽いジョークのつもりでリアウィングの付いたM3ツーリング GT3のフェイク画像をSNSにポストしたことが発端。それをまさか本当に実現してしまったというウソのようなホントのハナシ。
開発ドライバーを務めたイエンス・クリングマンが、このプロジェクトの打診を受けた際に「正気か!?」と思わず口にしまったというのも頷ける。
その一方で彼は「単なるショーカー的存在なのか?」、「とりあえず参加することだけが目的なのか?」など、Mの役員たちを矢継ぎ早に質問攻めにした。
役員らから「与えられた条件の中で、本格的なGT3マシンを製作する」と言われた時には、それこそがMの神髄だと嬉しかったし、安堵したという。
その実車が初めてニュルに姿を現わしたのは、2026年3月21日に開催されたNLS(ニュル耐久シリーズ)の第二戦。その“摩訶不思議な”M3ツーリングは、瞬く間にアイキャッチャーとなりファンを魅了したことは言うまでもない。
クリングマンが未完成の実車に初対面したのは2026年の1月末。シャシー本体は2月初頭に完成したといい、NLSの実戦投入はギリギリだったことが伺える。
M3にはM4 GT3のパーツが数多く応用されているのだが、走行を重ねる上で改めて多くの相違点に気付いたという。
その最大例がエアロ。M3ツーリングとM4とではボディ形状が異なり、セットアップを応用することができない。
BMWではニュルのM4のデータは数多く所有しているものの、そのほとんどが役に立たず。ツーリング特有のルーフラインの形状により空気抵抗が大きく、質量もかなり増えるだけに空力をどう補うかが最大の課題だったという。
本番までに急ピッチで改良を重ね挑んだ24時間。史上最大数の32万5000人の大観客に見守られ、エイプリルフールのジョークを覆す速さと信頼性で『Mの本気』を魅せた。
【画像ギャラリー】ワゴンにこの巨大ウイングは反則級!!! M4 GT3の技術を詰め込んだ「M3ツーリング24H」を見てくれ(14枚)画像ギャラリー

















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