かつて「シトロエン DS」といえば、シトロエンの中の上級車種として存在した車名。そこから取ったのかは定かでないが、高級ブランド「DS」として2014年に独立。フランスの伝統と美意識が融合した2台の「DS」をご覧いただこう。
※本稿は2026年6月のものです
文:山本シンヤ/写真:望月勇輝
初出:『ベストカー』2026年7月10日号
個性を乗りこなす快楽
ファッション界では世界最高峰の高級ブランドを多く抱えるフランスだが、クルマに関しては長年高級ブランドが不在だった。戦前は名門が存在したが、戦後は「万人への移動の自由」という合理主義のもとで淘汰されてしまったのだ。
この状況を打破すべく、シトロエンの上級サブブランドから2014年に独立したプレミアムブランドが「DS」だ。
その真髄は、大排気量や巨体といったわかりやすい高級感ではなく、合理的な基本骨格にフランスの“美意識”とパリの“匠の技”を融合させたモノ。最近は最新の電動化技術も盛り込み「伝統と革新」のバランスを成り立たせている。
その象徴となる新たなフラッグシップがEVサルーンの「ナンバー8」だ。
流麗な4ドアクーペSUVというパッケージはクラウンクロスオーバーに近いが、より前衛的でオシャレ、そしてキラキラ感てんこ盛りなのに嫌みに見せない絶妙なバランスは流石。
インテリアも独創的なステアリングや装飾など個性の塊だが、インパネ自体は水平基調。操作系も意外に合理的で、居住性も見た目以上に高い。
パワートレーンは350psのツインモーター4WDで、踏めば速いが常用域は実にジェントル。
フットワークは、カメラで路面を先読みする「アクティブスキャンサスペンション」を搭載。ゆったりした優雅な動きと、フワフワなのに芯のある極上の乗り心地を実現。
少し小ぶりな「ナンバー4」もDSをしっかり感じれる
このナンバー8が濃厚すぎるという人には、ライトにDSの世界を楽しめる「ナンバー4」(DS4から改名)がおすすめだ。フロントマスクはナンバー8譲りの未来的デザインにアップデートされている。
注目はパワートレーンで、従来のディーゼルから直3、1.2Lターボ+マイルドハイブリッドへ刷新。これが実に大人なフィーリングで、トルクでググッと前に出る加速感は1.2Lとは思えない。
フットワークも進化しており、ステアリングの手応えや乗り心地には、ひと回り大きな重厚なクルマに乗っているかのような安心感がある。まさに「小さな高級車」と呼ぶにふさわしい仕上がりだ。
総じて言うと、どちらも見た目はアバンギャルドだが、中身は驚くほど骨太で堅実。間違いなく好き嫌いは分かれるが、退屈な既存の高級車に飽きてしまった人には、ぜひこの新たな“刺激”に挑戦してほしい。
【画像ギャラリー】ステアリングの形どうなってんの!? DS ナンバー8とナンバー4のフランスらしさ全開デザインを一挙に(16枚)画像ギャラリー


















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