トヨタの液体水素レースカー挑戦や日産が2027年度末の投入を目指している新世代AI自動運転、はてはスズキの牛糞由来メタンガス活用まで!? 国産メーカーが現在進行形で挑むテクノロジー最前線を徹底解説!
※本稿は2026年7月のものです
文:鈴木直也/写真:ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』2026年8月10日号
トヨタがレースの現場で育て続ける水素燃焼エンジン
トヨタは燃料電池の改良を粘り強く続けてきたが、第2世代のMIRAIが登場した今日でも、まだまだ水素エネルギーで走るクルマはマイナーな存在。FCEVが少なければ水素ステーションの利用率も上がらず、初期のBEVと同じジレンマに悩んでいる状態だ。
とはいえ、水素エネルギーは長い目で見れば人類にとって必須の技術。普及のための努力は欠かせない。
そのためにトヨタが今取り組んでいるのが、液化水素を使った水素燃焼エンジンの開発。当初はGRカローラによるS耐挑戦だったが、今年はル・マン24時間でデモランを披露するまでに進化した。欧州のレース主催者は”サステイナブル”へのこだわりが強い。将来、ル・マンに水素カークラスが誕生する可能性は高い。
次世代プロパイロットにも関係! 日産のE2E自動運転ソフト
従来の自動運転制御ソフトは、認知・予測・計画・制御といったモジュールごとに処理を分担していた。
段階的にADASを進化させてきた流れから、大手自動車メーカーはこの手法を選択してきたが、この慎重さがテスラや中国勢に遅れをとる原因となっている。
対して、いま日産が取り組んでいるE2E(エンド・ツー・エンド)自動運転ソフトは、各種センサー情報をそのままLLM(大規模言語モデルという一種のAI)にブチ込んで直接クルマの制御を行う仕組み。AIを学習させるだけでどんどん進化スピードが加速するため、いまや世界的にはこちらが主流となっている。
日産は2027年年度末までに、E2E自動運転を搭載した次世代プロパイロットを日本で初めて市場投入する予定。仕上がりが楽しみだ。
めざせ一石二鳥! スズキの牛糞から作るメタンガスに熱視線
内燃機関の問題点は、化石燃料を燃やすことで排出されるCO2なのだから、燃料そのものをサステイナブルに変えてゆくというのも重要な取り組みだ。
例えば、植物由来のエタノールにはすでに半世紀近い歴史があり、ブラジルではサトウキビ、アメリカではトウモロコシを原料に、バイオエタノールが大量に生産されている。その量は両国合計で年間1億kL以上(日本のガソリン+軽油消費量の1.3倍)。
そんななか、インドで牛糞を発酵させてメタンガスを生成するスズキの取り組みが面白い。牛糞から大気中に放出されるメタンガスはCO2の約28倍の温室効果を持つそうで、エネルギー再利用プラス温室効果ガスの高効率な削減という一石二鳥が素晴らしいですね。
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