45万円だった「マー坊」がいまや希少車! スズキ マイティボーイ
■スズキ マイティボーイ
■1983年2月~1988年1月
■現在の生息状況/ほぼ絶滅寸前
続いては、個人的に今でも欲しい「マー坊」ことスズキ マイティボーイだ。CMで使われた「スズキのマー坊とでも呼んでくれ」というフレーズから、そのまま「マー坊」の愛称で親しまれた。
マイティボーイが登場したのは1983年2月。
ベースとなったのは2代目セルボで、Bピラーより後ろのルーフを取り払って荷台を設けた2人乗りのピックアップである。荷台長は660mm、最大積載量は200kg。「ピックアップトラックなんだから荷物がいっぱい積めるんでしょ?」
と思ったら、そうでもない。軽トラックと比較すれば荷台はかなり小さい。その代わりキャビンは乗用車感覚で、シートはスライドやリクライニングが可能。座席後方にもスペースが設けられていた。
つまり「荷物を運ぶために人間が我慢する」という仕事グルマではなく、遊びに使うためのピックアップだったのだ。乗用車ベースで後ろをピックアップ化したクルマといえば、海外ではシボレー エルカミーノ、日本車ではスバル ブラットなどがある。

それを軽自動車サイズでやってしまったのだから、スズキも相当に面白い。しかも当時の新車価格は45万円から。安い、軽い、2人しか乗れない、荷台もそんなに広くない。
実用性だけで評価したら「それなら普通の軽トラでいいじゃん!」となる。でも、それじゃダメなのだ。無駄があるから楽しい。荷台にサーフボードやキャンプ用品を積み、アロハシャツに短パンで乗り込みたい。そんな姿がこれほど似合うクルマも珍しい。まさに究極の脱力系希少車である。
さて、そんな愛しのマイティボーイは現在いくらで買えるのか?
2026年9月下旬時点で大手中古車検索サイトを見ると、全国の掲載台数は13台、平均中古価格は75万円となっている。支払総額45万円という個体がある一方支払総額179万円という車両も確認できる。
かつて新車価格45万円から買えたマー坊が、いまや100万円を大きく超える値段で販売されているのだから驚くしかない。もちろん中古車価格は走行距離だけで決まるものではない。
マイティボーイほど古いクルマになると、ボディの腐食や補修歴、エンジンやトランスミッションの状態、内装の傷み、さらにどこまでオリジナル状態を維持しているかなどによって価格は大きく変わってくる。
生産終了からすでに長い年月が経過しているだけに、購入する際にはそれなりの覚悟が必要だ。
ゆるふわ系は絶滅していなかった! 新車で買えるムーヴキャンバス
■ダイハツ ムーヴキャンバス
■2022年7月~
■現在の生息状況/新車で購入可能
■メーカー希望小売価格/164万4500円~
オートザムレビューもマイティボーイも欲しい。とはいえ、どちらも30年以上前のクルマだ。「ゆるいクルマには乗りたい。でも故障の心配はしたくない。エアコンもしっかり効いてほしいし、先進安全装備も欲しい」
そりゃそうだ。そんな人にはダイハツ ムーヴキャンバスがある。現行ムーヴキャンバスは2022年7月に登場した2代目で、2026年9月現在も新車で購入できる。
全長3395mm、全幅1475mmという軽自動車サイズのボディは、とにかく丸い。ヘッドライトも丸い。ボディの角も丸い。全体に漂う雰囲気も柔らかい。大型グリルや細いヘッドライトで「どうだ、俺は強そうだろ!」と迫ってくる最近のクルマとは正反対である。
現行ムーヴキャンバスが面白いのは、「ストライプス」と「セオリー」という2つのキャラクターが用意されていることだ。ストライプスは、ムーヴキャンバスらしい2トーンカラーを生かした仕様。初代から続く可愛らしさをさらに洗練させた印象である。
一方のセオリーは、モノトーンを中心とした落ち着いた雰囲気が特徴。これなら50~60代の男性が乗ってもいいじゃないか!
「ムーヴキャンバスって若い女性向けでしょ?」なんて思っている人にこそ、一度セオリーの実車を見てもらいたい。肩の力が抜けているのに子供っぽくない。いわば「大人のゆるふわ系」である。
しかも見た目だけではない。両側スライドドアを備えるため、狭い駐車場でも乗り降りしやすく、買い物や家族の送迎にも便利。現行モデルでは自然吸気エンジンだけでなくターボエンジンも用意されているので、高速道路を使ったロングドライブにも対応できる。
価格は164万4500円から。ストライプスGとセオリーGは2WDが180万4000円から、ストライプスGターボとセオリーGターボは2WDが193万6000円からとなっている。
WLTCモード燃費は自然吸気のG系2WDが22.9km/L、Gターボ系2WDでも22.5km/L。街乗り中心なら自然吸気、高速道路や長距離移動が多いならターボという選び方もできる。
こうして3台を並べてみると、オートザムレビュー、マイティボーイ、ムーヴキャンバスには共通点がある。
威張らない。
怖くない。
そして見ているだけで、なんとなく楽しい。
速さや高級感を追求するクルマももちろんいい。でもクルマの楽しさは、それだけではない。駐車場に止めた愛車を振り返った時、思わずニヤッとしてしまう。休日になると、特に目的もないのに乗りたくなる。
そんなクルマとの付き合い方があってもいいじゃないか。
オートザムレビューを探して旧車生活に飛び込むのもよし。マイティボーイの荷台に遊び道具を放り込むのもよし。そこまでの覚悟はないという人なら、新車のムーヴキャンバスという選択肢もある。
最近のクルマはちょっと気合が入りすぎじゃない?
そう感じている人こそ、たまには肩の力を抜いて「脱力系ゆるふわ系」のクルマに乗ってみてはいかがだろうか
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