初代シビックタイプRと最新タイプRに”血縁”は感じられるか? ディーラーでの新型シビックタイプR試乗会に潜入


 ベストカーWebでも多くのシビックタイプRの記事をお送りしているが、やはり一般ユーザーからの生の声を聞いてみたい!! 

 その思い出ベストカーWeb編集部は栃木県のホンダカーズ野崎が開催する、新型シビックタイプR試乗会に潜入。ジャーナリスト渡辺陽一郎氏とともに、新型のよさ、そして初代タイプR(EK9)から変わらない部分、などを徹底的に取材。

 ホンダカーズ野崎の熱い店長さんとそのお客さんたちが語るタイプR像をお届けします。

文:渡辺陽一郎、ベストカーWeb編集部/写真:平野学


■会場に舞い降りた初代シビックR(EK9)と新型シビックタイプR

 今回の新型シビックタイプR試乗会は栃木県大田原市にあるホンダカーズ野崎が主催するもの。

 そもそもディーラーにタイプRの試乗車があること自体が非常に珍しいが、このディーラーは店長の松本正美さんが筋金入りのホンダイズムの継承者。

 前職は無限でF1エンジンの設計に携わっていたというし、現在でもスーパー耐久シリーズに参戦するなどモータースポーツへの思いも大きい。

 今回ベストカーWeb編集部が潜入したのは、一般ユーザー向けの試乗会。前型では試乗すら叶わなかったタイプRだけに多くの参加者で賑わった。

 担当が気になったのが現地にあった初代シビックタイプR(EK9)。なんとワンオーナーで26万kmも走っているという。そしてオーナーのCさんは女性だ。

 もともとホンダに「普通に乗るためのクルマ」を買いにいった際に「国内生産のタイプRが終わってしまうからぜひこちらを」という、セールスマンの強いひと押しで買ったそう。

 もちろんVTECやホンダイズムなどといった予備知識なしだったものの、乗っているうちにタイプRの虜になり抜けられなくなったという。

 「新型はとってもいいクルマだと思います。大きくなりましたし、ターボだし、あれこれいいたくなるホンダ党も多いと思いますが、これはこれでいいクルマです。

 でもこうやって比較しちゃうとEK9のもつ”よさ”も実感するかな? 軽くてエンジンで走る、って感覚がやっぱりタイプR像なのかもしれません。どこか似ている部分もあるんですけどね……」とCさん。

初代と比べると新型の存在感は一際大きく感じる。同じ車名でFFスポーツという宿命こそ同じだが……
初代と比べると新型の存在感は一際大きく感じる。同じ車名でFFスポーツという宿命こそ同じだが……

 いっぽうでホンダカーズ野崎で新型シビックタイプRの納車第一号となったKさん。20代とお若いがこれまでインテグラやS2000などでスポーツ走行を楽しんでいたそう。根っからのホンダVTEC党かと思えば実際の声は違った。

 「S2000に至っては2台乗りましたが、やはりS2000のような高回転NAのよさもわかります。けれどこのクルマへの違和感は特になかったですね。

 批判が多いのもわかりますけど、これだけのパワーとハンドリングがあれば個人的にはすばらしいクルマだと思います。まだまだ慣らし運転段階ですけど、新しいシビックのよさはわかりました」。

 オーナーの声はいろいろあるが、やはり「乗ればいいクルマ」というのが総意のようだ。担当も旧型になったFK2シビックタイプRのオーナーだが、ホンダエンジンは凄くいいっす。

 もちろんNAのカーーンっていうVTECは忘れられないのだけれど。続いてプロのジャーナリストが見たシビックタイプRの初代との比較をご覧下さい。

(ベストカーWeb編集部)

Kさんは若くして新型のオーナーに。S2000を二台乗り継いだ筋金入りのホンダ党ながら新型への理解もある
Kさんは若くして新型のオーナーに。S2000を二台乗り継いだ筋金入りのホンダ党ながら新型への理解もある

■ジャーナリストが感じた初代と現行型の共通点とは?

 今でも特に人気が高いのは、1997年に発売された初代シビックタイプRのEK9型だ。

 エンジンは直列4気筒1.6LのVTECで、排気量を小さく抑えながら、最高出力の185馬力を8200回転で発揮した。高回転指向のハイチューンエンジンだから、速く走らせるには相応のテクニックも必要で、マニアックな魅力もあった。

 EK9型は車両重量が最も軽い仕様であれば1040kgに収まり、全長も4180mmと短いために運転感覚が軽快だった。

 そのいっぽうでホイールベース(前輪と後輪の間隔)はシビックセダンと共通化されて2620mmと長いから、下りカーブでブレーキングを強いられたような時でも後輪の接地性を失いにくい。

 高性能エンジンを搭載しながら、走行安定性が動力性能を上まわる理想の軽量スポーツモデルであった。

 EK9の再来を願うユーザーには、2Lターボを搭載する今日のシビックタイプRは、違和感が伴うかも知れない。現行型は最高出力が320馬力でEK9型の1.7倍、最大トルクは40.8kgmで2.5倍、価格は450万360円だから消費税率の違いを補正しても2倍以上に達する(編註:初代は199万8000円)。

 シビックタイプRが、手が届かないモンスターマシンに成長したかのように思わせる。ところが実際に運転すると、20年の時を隔てて現行型とEK9型には共通性があることに気付く。

 それは走行安定性が動力性能を上まわる安心感だ。現行型の加速力は大幅に強化されたが、コーナーの出口に向けてアクセルペダルを踏み込んだ時など、前輪が暴れて進路を乱される心配がない。

 最大トルクが40kg-mを超える前輪駆動車は、クリーンディーゼルターボを除くと海外市場を含めてほとんど存在せず、一般的には4WDを採用する。それなのにシビックタイプRは、前輪駆動ながら高いトルクを路面へ確実に伝える。

 危険を回避する時の安定性も高い。下りコーナーでのブレーキング、あるいはカーブを曲がっている最中にアクセルペダルを一気に戻す、ハンドルを切り込みながらアクセルペダルを踏み込むといった無理な操作をしても、進路をほとんど乱さない。

 最も重視しているのは後輪の接地性だが、前輪のグリップ力も高く旋回軌跡を拡大させにくい。このシビックタイプRの走りは、今日の前輪駆動車では最高峰といえるだろう。

 その背景にあるのは、ボディとサスペンションの取り付け剛性を高め、いかなる状況でも足まわりが正確に作動することだ。

 4輪のブレーキを独立制御して車両の向きを積極的にコントロールするアジャイルハンドリングアシストなどの効果もあるが、基本性能を高めたからこそ、これらの制御も優れた効果を発揮できる。

 そして足まわりが常に正確に作動するから、乗り心地も良好だ。シビックタイプRにはショックアブソーバーの減衰力やパワーステアリングのセッティングをコンフォート/スポーツ/+Rに切り替えるドライビングモードが備わり、コンフォートを選ぶと文字通り快適な乗り心地が得られる。

 足まわりが柔軟に伸縮してタイヤが路上を細かく跳ねる動きを抑え、少し硬めではあるが重厚感を伴う。20インチ(245/30ZR20)のタイヤサイズからは想像できないほど、乗り心地をしなやかに仕上げた。

次ページは : ■参加者も実感したエンジンのよさと乗り心地

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