■リコール費用は約250億円
10月2日の時点で納車前で登録を一時停止していた車両は約3万4000台になるという。これらについては改めて有資格者による再検査をした上で10月3日より順次登録業務を再開した。
いっぽうすでに登録されユーザーの手に渡った車両については、問題が明らかになった9月29日からさかのぼる3年間、つまり初回車検を受けていない車両約121万台についてリコール対象とし、全国の日産販売会社のサービス工場において車検と同等の検査をすることで対応するという。
これらにかかる費用は250億円程度を見込んでいると西川社長は会見で明らかにした。
すでに初回車検を済ませた車両については、車検時に完成検査同等の検査を受けていると言うことで、今回は再検査の対象とはしていない。
これは合理的な判断で、これについては国交省との話し合いの中でそのような方法が決定されたと言うことだ。
■無資格者検査が常態化していたのでは?
今回の事象が明らかになったのは、日産車体の工場に国交省の抜き打ち検査が入ったことによる。
どのような経緯で抜き打ち検査が実施されたのかは「定期的な点検、検査ではなかったと承知している」(西川社長)といい、それ以上の明言は避けたが、記者からの質問に答える形で「内部告発的なものがあったのだろうと認識している」との見解を明らかにした。
ただどうしても違和感が残る。
ある特定の工場でのみ起きた事象であれば、一部従業員の不祥事ということになろうが、国内すべての工場で同様の事象が起こっていたとなれば、これは無資格者による完成検査が社内的に常態化しており、現場ではそれに対し特に問題意識を持っていなかったと捉えられても仕方がない。
このことを西川社長に質問すると、「私もそのように感じざるを得ず、非常にショックを受けている」と語り、「現場で、有資格者が検査をしなければならないという規則に対する認識が多少薄れていたのかもしれない」との見解を示した。
どのような経緯で今回の事象が発生したのか? また、いつからそのようなことが常態化していたのか!? 西川社長は、第三者を含む調査チームによる調査を実施するが、1ヶ月程度はかかるだろうとしている。
「もっと早急に調査結果を示すべき度は思うが、自分自身が充分に納得できるまで調査が必要。そのためには最低限でも1ヶ月程度の時間は必要。その上で責任のとり方であるとかを決めたい」と語った。
会見全体を取材した印象では、西川社長の発言や対応などからは「特段に大きな不祥事」、という印象ではなく、ある「好ましくない事象」が発生し、各方面にご迷惑をおかけした、その説明と現況の報告会、との印象であった。
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