■トヨタ アベンシス 2017年9月販売台数50台
アベンシスは欧州向けに開発されたミドルサイズカーで、日本ではワゴンタイプが販売されている。トヨタ車でありながら、イギリス製の輸入車でもあるわけだ。
そのために車両の性格も欧州車風になる。機敏に曲がるスポーティな運転感覚ではないが、後輪が常にしっかりと接地して走行安定性が高い。
プリウス、C-HR、カムリには新しいプラットフォームが採用されたが、アベンシスも同じ方向を目指しており、発売は2011年と古いものの、運転するとC-HRなどと共通性が感じられる。
特に注目されるのは高速道路の直進安定性で、1810mmの全幅と相まって4輪に踏ん張り感が伴う。欧州指向のワゴンらしく長距離の移動に適する。
乗り心地も高速向けだ。街中では少し硬く感じるが、粗さは抑えられて速度が上昇すると快適性が高まる。
居住性も優れ、前後席ともにサイズに余裕を持たせた。前席は乗員の体が少し沈んだところでしっかりと支えて、座り心地にはボリューム感が伴う。
ホイールベース(前輪と後輪の間隔)が2700mmと長いために後席にも相応の余裕があり、身長170cmの大人4名が乗車して、後席に座る乗員の膝先空間は握りコブシ2つ少々だ。前席の下に足が収まりやすく、後席も快適だから長時間の乗車でも疲れにくい。
緊急自動ブレーキのトヨタセーフティセンスCも追加採用され、市街地を中心に追突を防止する。雰囲気は少し地味だが、安心して使える実用的なワゴンだ。
■日産 キューブ 2017年9月販売台数631台
全長が3890mmのコンパクトカーだが、全高は1650mmに達してボディスタイルも直線基調だから、広い室内空間を備える。
特に注目されるのが車内のデザインだ。前席にもベンチシートを採用して、座面を柔軟に仕上げたからソファのような座り心地になる。インパネは緩やかな曲線を描き、これも柔和な雰囲気を感じさせる。
メーカーオプションのガラスルーフを装着すると「SHOJI(障子)シェード&ロールブラインド」もセットで備わり、閉めた時でも柔らかい光が車内を満たす。
これらの相乗効果により、キューブでは独特のリラックス感覚が演出されている。レクサスやマツダも「和風」を意識したデザインに取り組むが、キューブの表現は分かりやすい。外観も直線基調ながら角に丸みを持たせ、内外装に優しさを感じる。
最近のクルマのフロントマスクには、目を吊り上げたような怒り顔が多く、内装はメッキ類を多用して豪華さを強調する。
「速くて価格も高そう」には見えるが、穏やかな雰囲気は乏しい。今はスローライフなどといわれる時代なのに、クルマの価値観は30年近く前のバブル経済期を引きずる。
その意味でキューブは今の空気感にピッタリだ。「快適だから、ゆっくりと走って長く乗っていたい」と感じさせるクルマ造りは貴重だと思う。
■スバル エクシーガクロスオーバー7 2017年9月販売台数263台
エクシーガは2008年に発売された水平対向4気筒エンジンを搭載するミニバンで、2015年にSUV風のクロスオーバー7に発展した。
最も注目される点は、いろいろな魅力を兼ね備えていることだ。クロスオーバー7をSUVと考えれば、着座位置や視線の高さが適度で運転がしやすく、3列目のシートは快適だ。SUVでありながら大人の多人数乗車も可能にしている。
一方、ミニバンと考えると、ウィッシュなどが生産を終えた今では貴重なワゴン風のモデルになる。
スライドドアを備えた背の高いミニバンに比べれると車内は窮屈だが、スポーティな雰囲気の3列シート車が欲しいユーザーにはピッタリだ。SUV風の外観もスポーティ感覚を強めている。
そして価格が割安なことにも注目したい。先進の安全&運転支援技術に位置付けられるアイサイトバージョン2、SUV風の外装パーツ、17インチアルミホイール、4WDシステムなどを装着して275万4000円だ。
2.5Lエンジン搭載車ではかなり安い。クロスオーバー7の前身となるエクシーガ2.5iアイサイトと比べても、25万円相当の機能や装備を加えながら、価格上昇を16万2000円に抑えている。クロスオーバー7は近々販売を終了するが、後継車種をデビューさせて欲しい。
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