なんとかして! 霧でもないのに超迷惑 眩しすぎるリアフォグは必要なのか? 

 晴天の夜、高速道路を走っていると、前のクルマがやたら眩しい。そう、リアフォグランプだ。

 「霧がかかっていて前のクルマが確認しづらい時ならまだしも、晴れていて前がよく見えるのに、なぜリアフォグランプを点けているのか!」と怒ったことはありませんか?

 おそらくリアフォグランプを点けているオーナーの多くは、後方を走るクルマがどれだけ眩しいか、わかっていないだろう。

 ここで改めて、リアフォグランプの正しい使い方を含め、その存在価値を見直してみたい。


文/高根英幸
写真/Adobe Stock ベストカーweb編集部 スバル トヨタ 日産 ダイハツ

【画像ギャラリー】このクルマに乗ってる人は要注意!リアフォグを標準装備するモデルたち


リアフォグランプを点けたマナーの悪いクルマに遭遇

トヨタC-HRのリアフォグランプ(下)は寒冷地仕様とセットでメーカーオプション( kazu8@Adobe Stock)
BMW3シリーズのリアフォグランプ(右側のランプ)。運転している本人はわからないかもしれないが後ろを走るクルマは眩しくてイラっとする。これが長距離走るとなおさらだ

 先日も高速道路で、リアフォグを点灯させながら、右に左にと車線変更を繰り返して周囲のクルマを縫うように追い抜いていくクルマに遭遇した。

 自分では運転が上手いと思っているのかもしれないが、速度違反、追い越しの方法違反、そしてドライバーを幻惑させた行為、車間距離保持違反など、いくつもの道交法違反と周囲のドライバーに迷惑を掛けながら走っていくのは、自己中で浅はかな考えのドライバーであることを披露しているようなものだ。

 それが最新のドイツ製高級大型クーペだったから、余計にガッカリした思いがした。

 フォグランプとリアフォグランプのスイッチが近くて間違えたり、どれがリアフォグランプのスイッチなのかわかりにくいのも理由と言われている。上品でスポーティな高級クーペの印象が、これだけでガクッと下品になってしまう。

 以前よりは減っている印象もあるが、相変わらず霧どころか雨も降っていないのに夜間にリアフォグランプを点灯させているドライバーがいる。

 ヘッドライトをハイビームにしたまま運転しているクルマよりはマシだが、リアフォグランプは一定の車間距離ではとても眩しく、迷惑な存在だ。

 前走車のリアフォグランプが点いていると、テールランプを視界に入れ続けながら追従しているのは目に悪いし、かなりストレスにもなる。

リアフォグランプの使用を規制する法律はないのか?

どれがリアフォグランプのスイッチなのかわかりにくいところも、リアフォグランプを点けたまま走ってしまう原因か? リアフォグランプのスイッチは左下

 リアフォグランプという名前の通り、この灯火器は濃霧(フォグ)の時に使用することで、後続車に自車の存在をアピールするためのものだ。

 欧州では濃霧が発生する地域も多く、追突事故を防ぐために1980年代後半あたりから搭載されるようになってきた。

 夜間に視界が良いにもかかわらず、リアフォグランプを点灯させているドライバーのなかには、「リアフォグについての規定はないので、法律上は違反行為とならない」と思っている人もいるのかもしれない。

 確かに道路交通法第52条の車両等の灯火では「2:車両等が夜間(政令等で定める場合は夜間以外も含む)他の車両と行き違う場合または他の車両等の直後を進行する場合において、他の車両等の交通を妨げるおそれがあるときは、車両等の運転者は、政令で定めるところにより、灯火を消し、灯火の光度を減ずる等灯火を操作しなければならない」とされている。

 これはハイビームで周囲のクルマに迷惑をかけないよう規定されているものだ。後続車に対する配慮は含まれていない。

 だが、道交法で定められているその他の条項には、晴天時のリアフォグランプの使用が抵触するものがあるのだ。

 道交法に限らず法律には本則だけでなく、様々な細かい規則を定めるための附則というものがある。

 道交法第76条の「禁止行為」では道路上で行なうことを禁止する様々な危険な行為、迷惑行為を定めている。

 この本則には抵触しないものの、各都道府県の道路交通法施行細則または道路交通法施行規則には、「みだりに車両等の運転者の目をげん惑するような光を道路に投射すること。」という条項がある。

 これは後続車の運転者に対しても適用することができるので、後続ドライバーの目を幻惑するリアフォグランプを必要性のない状態で点灯していれば、この法律に抵触する。

日本でも必要性は高まっているが事故の原因にも

トヨタライズのリアフォグランプ。右が点灯時。Zは標準装備。Zを除くグレードは寒冷地仕様としてメーカーオプション(2万4200円)

 実際にはハイビームのままで走行しているドライバー同様、リアフォグランプを点灯したまま走行していて、交通取締りに遭ったという話は聞かない。

 それは違反しても軽微な場合、警察官が取り締まることがほとんどないからだ。

 しかし、シートベルトや、ながら運転を取り締まっている状況もあるのだから、ハイビームやリアフォグランプも取り締まって(せめて注意は)ほしいものである。

 それにもし追突事故が起こって、追突した後続車のドライブレコーダーに、前走車のリアフォグランプが点灯していることが記録されていたら、それが事故を誘発した要因の1つとして、前走車のドライバーの責任が重くなることは確実だ。

 ただし、ドラレコを装備しているからといって、リアフォグランプを点灯させたクルマの後ろを追従して走行を続けるのは危険だ。

 対処法としては、車間距離を思い切り長くとること。リアフォグランプはレンズの仕様により、特定の距離にいるドライバーに強く存在をアピールするようになっているので、極端に近付いたり離れたりすれば、眩しさからは開放される。

 気候変動により、平均気温が高まっている昨今、日本でも濃霧の発生する可能性は高まっている。

 濃霧以外でもゲリラ豪雨など、ワイパーを高速作動させても視界が悪いほどの大雨ならリアフォグランプを点灯させたほうが安全だ。

 しかし日本国内のクルマにリアフォグランプの搭載車が増えているのは、国内で必要性が高まっている装備だから、というだけではない。

 WP29という、国連欧州経済委員会の傘下にある自動車基準調和世界フォーラムにより、クルマの仕様を統一化しようという動きは広まっていることはご存じだろうか。

 これにより環境性能や衝突安全性を高めている現在のクルマも仕向け地ごとに仕様を変更する必要性を減らし、高騰する生産コストを圧縮しようというのだ。

 そもそもクルマの環境性能や安全性に対する規制は各地域で高まっており、細かく基準が分かれていると自動車メーカーは開発や生産のコストが上昇してしまう。

 それなら一番厳しい基準を作り、それに統一してしまった方がコスト低減になる場合も多い(実際には自動車メーカーによって得手不得手の領域があるので、各国の運輸部門を担当する省庁の担当者が話し合って調整している)。

 日本国内で販売されている国産車のなかで、リアフォグランプが装備されているのは、SUVやスポーティなクルマに多い傾向がある。

 どちらも山や峠道など濃霧が発生しやすい地域を走行する機会が多いことを想定しているのだろう。

 SUVの多いスバルのほか、マツダ車は4WDのみに採用し、スズキは上級グレードだけに標準装備。またライズやロッキーの上級グレードに標準装備されるが、ヤリスクロスやハリアー、RAV4はメーカーオプションとなっている。

 またレクサスはLXは標準装備となるが、UX、NX、RXは寒冷地仕様のメーカーオプション(2万6400円~)としてリアフォグランプが設定されているなど、SUVでもメーカーによって採用基準が異なっている。

 このように日本で販売される国産車にもリアフォグランプ搭載車が増えているのは、安全性を高めるためと世界基準で生産していることが影響しているといえそうだ。今後はますます搭載車は増えることだろう。

 濃霧が発生した時には被視認性を高めて、追突の危険を減らしてくれるリアフォグランプは、それだけ強力な灯火器なのだから、みだりに使用せず、必要な時にはしっかりと点灯させて後続車と自分の安全を高めるために利用するよう心がけよう。

【画像ギャラリー】このクルマに乗ってる人は要注意!リアフォグを標準装備するモデルたち


■リアフォグランプを標準装備する主な日本車
トヨタ
・ハイラックス
・ライズ(Z)
・スープラ
・86(GTリミテッド系、GRスポーツ)
レクサス
・LX
日産
・リーフNISMO
・ノートNISMO
・マーチNISMO
・GT-R
・フェアレディZ
マツダ
・マツダ2
・マツダ3
・マツダ6
・CX-3
・CX-30
・CX-5
・CX-8
(※いずれも4WD車)
スバル
・XV
・フォレスター
・アウトバック
・新型レヴォーグ
・BRZ
スズキ
・スイフト(RSグレード系)
・スイフトスポーツ
・イグニス(ハイブリッドMZ)
ダイハツ】
・ロッキー(プレミアム、G)
※寒冷地仕様としてセットオプションとする車種が多い。特に記載がない車種は全グレードで装備