古典的高性能ターボのベンツAMG
端的な例がメルセデスAMGのM133型だ。基本設計が古いから最近の高効率ターボに比べると古典的高性能エンジンといった佇まいなのだが、言い換えるならレース仕様過給エンジンに近いコンセプトで開発されているということ。
いまどきの過給エンジンとしては珍しい8.6と低めの圧縮比は、1.8バールという高いブースト圧を常用するためのものだし、タコ足マニホールドに直結された大柄なツインスクロールターボ、通気抵抗の少ない専用水冷インタークーラー、極太のインテークダクトなども、量産車というよりは競技車に近いデザイン。
とりわけ、水冷インタークーラー用のラジエターがフロントグリル内と右フロントホイールハウス前のデュアル装備となっているところなど、ふつうの量産車の感覚では信じられない凝り方といっていい。
いくらターボとはいえ、量産車で2Lから380ps/45.9kgmを絞り出すのはただごとではないことが、こういうヘビーデューティなディテールから想像できる。
現代ハイテクターボのボルボ
対照的なのが、過給器をターボとスーパーチャージャーのツイン過給で備えるボルボのポールスター。
こちらは、現代ハイテクターボの極致といった印象で、乗った印象もAMGに比べるとずっと洗練されたパワーフィール。ワイルドなA45と比べると速さを感じさせずスマートなのだが、ふと気がつくととんでもない速度に達しているといったタイプだ。
パフォーマンス追求型の2Lターボはだいたいこの2パターンに集約されると思うが、コスト的な問題でA45 AMGみたいな競技用っぽいエンジンは存続が難しそう。
最近FF最速を競っているメガーヌR.S.やシビックタイプRのエンジンなどは、ターボ系やインタークーラー周りをもうちょっと簡略化して、そのぶん可変バルタイやウェストゲートの電子制御などで安定した大出力を実現している印象がある。
さすがに、2Lターボスポーツでつけられる価格というと、500万円くらいがマックス。メカニズム的にも、落ち着きどころがあるように思う。
逆に、ボルボ ポールスターのようなハイテク型は、高級車に搭載することでコストを吸収できるから、新しい技術で伸びる可能性があるかも。
電動アシストターボやターボからのエネルギー回生など、コストをかければ実現できるネタはまだまだある。高性能ターボは、高級車がダウンサイズ用として使うことで、さらにいっそう発展していくんじゃないかな?
コメント
コメントの使い方