最近ネコも杓子も「直噴」だけど…直噴エンジンの何がそんなにいいんだ!?

流行の小排気量ターボに直噴が多い理由

VWゴルフが火付け役となったダウンサイズターボは、ほぼ全て直噴。ポート噴射はルノートゥインゴに搭載の0.9Lターボや国産ではWRX STIのEJ20ターボなど一部を残すのみだ
VWゴルフが火付け役となったダウンサイズターボは、ほぼ全て直噴。ポート噴射はルノートゥインゴに搭載の0.9Lターボや国産ではWRX STIのEJ20ターボなど一部を残すのみだ

 ところがデス。直噴は、燃焼室内に直接ガソリンを、まるで霧吹きで吹きかけるように噴霧します。

 ピストンが上昇して圧縮するのは基本的に空気だけです。エンジン回転数やアクセルの踏み具合など、その時の運転状況に合わせてガソリンを噴射するタイミングと量を適正化してやれば、空気はうんと圧縮できるわけです。

 そう、圧縮を強くしてもエンジンは壊れにくいのです。

 だから、少ない排気量でもパワーを出せ、もともと空気を圧縮して燃焼室内に送り込むシステムのターボと組み合わせることで、よりパワーと効率を生み出せるのです。つまり、燃費が良くなる。

 ここを、もう少し解説すると。ポート噴射方式でターボを使う場合は、あらかじめターボで圧縮された空気とガソリンを混合するので、より異常燃焼が起きやすく、その予防のためにピストンが圧縮する圧力を弱くしています。

 ところが直噴であれば異常燃焼のリスクが小さいので、圧縮を強いままで良いのです。

 だから、直噴とターボの相性が良いと言われるわけです。それと、燃焼室内に直接ガソリンを噴射するので、気化熱によってピストンやバルブを冷やすことができ、一石二鳥。やっぱりなんか、直噴って賢いです。

直噴の弱点は? 軽に採用されないのはなぜ?

2003年発売のワゴンRには軽初の直噴ターボエンジンが搭載されていたが、2017年現在、軽の直噴エンジン車は存在しない
2003年発売のワゴンRには軽初の直噴ターボエンジンが搭載されていたが、2017年現在、軽の直噴エンジン車は存在しない

 しかし、直噴にもデメリットがあります。ガソリンを高圧縮するポンプや、燃焼室内の熱に耐えるインジェクターなどコストが上がります。軽自動車に採用されないのはこのあたりが大きいでしょう。

 さらに、吸気バルブを通るのは空気のみなので、『オーバーラップ』と呼ばれる吸気バルブと排気バルブの両方が開いてしまう瞬間において、燃焼ガスが吸気バルブに吹き返してきます。これが度重なると、吸気バルブに煤が溜まり効率が悪くなる。

 特に、直噴は燃焼室内に混合気を噴霧するので、ガソリンと空気の混ざる時間が短く、その結果、燃えカスが発生しやすい、というデメリットにも由来します。

 ところが、ポート噴射は吸気バルブに入るときに、すでにガソリンとの混合気ができているので、ガソリンを常に洗い流してくれて綺麗です。

 さて、車に詳しい人はもうお解りでしょう。直噴とポート噴射の両方を採用したデュアル噴射というシステムがあるのを。それぞれのメリットとデメリットを分担した、いちばん賢いエンジンといえるのかもしれませんね。

RC350に搭載の3.5L,
RC350に搭載の3.5L、V6エンジンは直噴とポート噴射を併用したデュアル噴射のはしり。最近増えつつあるいいとこ取りの技術だ

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