1997年に「21世紀に間に合いました」というキャッチフレーズでデビューしたのが、世界初の量産ハイブリッド車のトヨタ「プリウス」だ。
搭載されたハイブリッドシステムは、1.5L直列4気筒ガソリンエンジンとモーターを組み合わせたもの。ガソリンエンジンとモーターのストロングポイントを最大限引き出し、スムーズな加速と10・15モード燃費で28.0km/Lという優れた燃費性能を実現した。
当時、筆者も初代プリウスで東京から京都までロングドライブを行ったが、満タンで東京を出発し、京都についてもまだ半分近く燃料が残っていたことに驚かされた。
初代プリウスの登場から約23年が経過し、ハイブリッド車はストロングハイブリッドだけでなく、マイルドハイブリッドなどさまざまな仕様が採用され、国内外のメーカーから発売されている。そこで、今回はもう当たり前となったハイブリッドカーを中古車購入するときに注意する点を紹介したい。
文/萩原文博
写真/TOYOTA、編集部
【画像ギャラリー】今やHVなしでは販売台数が伸びず! HVを設定している販売台数ランキング上位の人気車たち
■内燃機関搭載車とは違った中古HV選びのポイント
一般的な内燃機関(エンジン)を搭載した中古車は、走行距離が少ないほうが高品質車と言われ、価格が高くなる傾向がある。しかし、ハイブリッド車の場合はそうとは限らない。
多くのクルマが出品され、競りが行われるオートオークションでは年式が進んでいる割に走行距離が少ないハイブリッド車は敬遠される傾向があるのだ。その理由はハイブリッドシステムに採用されているバッテリーが大きく影響しているのだ。
ハイブリッドシステムに搭載されているバッテリーの寿命は、一般的にはクルマが廃車になるまで大丈夫と言われており、バッテリーを交換する心配はほとんどない。しかし、スマートフォンなどでもそうだが、バッテリーは使い方によって寿命が短くなることもあるし、本来の性能を発揮できなくなることがある。バッテリーがそのようなことになる最大の原因が「放電」だ。
放電という現象は、ガソリン車にも搭載されている鉛バッテリーでも起こる症状で、長期間運転しないとバッテリー上がりを起こしてしまう。そうなると本来のバッテリーの性能を発揮できなくなるのだ。
使用している素材は違うとはいえ、ハイブリッドシステムに採用されているバッテリーも長期間乗らないことによって放電してしまう。そうなると本来クルマが廃車になるまでもつバッテリーの性能が著しく低下することになってしまうのだ。
長期間乗らないということは走行距離が延びにくい。したがってガソリン車ならば、良質車と言われる走行距離の少ない中古車が、ハイブリッド車の場合システムバッテリーが放電した可能性があり、コンディションに疑問が残るということでオークションでは嫌われる傾向があるのだ。
したがってハイブリッド車の中古車を購入する場合は、年式が進んでいるにも関わらず、走行距離の少ないクルマを狙うのではなく、ある程度走行距離を乗られているクルマのほうがハイブリッドシステムのバッテリーへの信頼度は高くなると言える。
コメント
コメントの使い方