政府が補助金の倍増を検討!! 世界のEV普及策とはどう違う!? EV普及のカギとは何か!?


 菅義偉首相が、先の主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)で、2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロとする目標を「国際公約」として表明した。

 そのカギを握るのが、電気自動車(EV)の普及促進だろう。そして、政府がそのEVの普及促進のために購入補助金について見直すという。太陽光発電などの再生可能エネルギー設備の設置などを条件に1台当たり現行の2倍となる最大40万円から80万円に引き上げることを検討しているそうだ。

 遅ればせながら電動化社会に向けて手を打とうとしている日本だが、より電動化に積極的な海外ではどのような普及促進の施策がされているのだろうか? そして価格が下がればEVは普及するのか?  EV普及への課題は何なのか? などについて考察していきたい。

文/御堀直嗣
写真/ベストカーWeb編集部 日産 プジョー ポルシェ キャデラック

【画像ギャラリー】電動化社会へ加速! 日欧メーカーが登場させる注目の最新EVたち


■独仏の施策と比較! 政府のEV普及を狙った補助金倍増はどうなる!?

 新型コロナウィルスの世界的な流行により経済が落ち込んだ欧州で、ドイツのメルケル首相は自動車産業の支援策のひとつとして、4万ユーロ(約500万円)以下の電気自動車(EV)購入者に9000ユーロ(約110万円)の補助金を出すことを決めた。車両金額の22%強という大きな額だ。ほかにも、ガソリンスタンドに充電器の設置を求めることも予算に組み込んでいるという。

 フランスでは、EV購入者に7000ユーロ(約88万円)の補助金が出され、そのほかの制度も加えると最大で1万2000ユーロ(約150万円)の負担軽減になるという。

 日本でも、菅義偉総理大臣が、2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロとする方針を掲げたことにより、経済産業省がさっそく動いた。従来EV購入者に支給されてきた最大40万円の補助金を、80万円とする案が浮上している。

 これに、2021年度も継続される見通しのエコカー減税を加えると、EVはリチウムイオンバッテリーの重量が重いため、重量税が比較的高めとなるので、購入時の負担は80万円+5~6万円分が軽減される見通しになる。

今後はますます電気自動車に手が届きやすくなりそうだ。EVの補助金を80万円に引き上げる案が浮上しているほか、2021年度はエコカー減税が引き続き適用される

 たとえば日産「リーフ」の場合、400万円を超える上級車種でも、85万円ほど安くなるとすれば、320~330万円ほどで買えることになり、身近さを覚える消費者が増える可能性はある。

 しかし国産車の場合、EVの選択肢はまだ限られ、リーフのほかはホンダ「ホンダe」、そして三菱「i-MiEV」だ。ただi-MiEVはさすがに発売から11年を経て、やや古さを感じなくもない。2021年になれば、日産から「アリア」が発売予定ではある。

 輸入車では、最近発売されたプジョー「e208」が手ごろだ。税込みで389.9万円から購入できる。補助金と減税で、300万円程度で手に入ることになる。輸入車のEVが、ホンダeより安いのだ。そして一充電走行距離は、JC08モード値ながら403kmの性能を備える。

 もちろん、購入の動機は、価格だけで決断されるわけではなく、性能や装備、また外観の好みなどもある。とはいえこのことは、国産車か輸入車かを問わず、EV時代になると商品性での真っ向勝負になってくることを示唆しているのではないか。

プジョーの電気自動車「e208」は税込389.9万円から購入できる。政府の補助金も相まって300万円程度で手に入れられるからお得だ
日産アリアは21年に登場する予定。しかしながら、国内におけるEVのラインアップは少ない

■なぜ欧州、米国は電動化に積極的なのか!? 厳しくなる規制

 政策やEVの商品性と価格において、欧州がEV導入へ積極的なのは、2021年から走行中の二酸化炭素(CO2)排出量規制が強化されるからだ。1km走行するにあたり、排出できるCO2は95gまでとなる。これは、日本式の燃費感覚からすると、28km/Lほどと考えていい。しかもこれは、自動車メーカーが販売するすべての車種の平均値として評価される。この数値を達成できなければ、1台当たり1g増すごとに95ユーロ(約1万2000円)の罰金が求められる。

 これまでは120g規制だったので、従来の性能のままと仮定すると、1台につき2375ユーロとなり、1台売るごとに30万円前後の罰金を支払うことになる。これでは、利益が圧迫されてしまう。

 欧州の自動車メーカーが相次いでEVを発売し、ポルシェまでが「タイカン」を売り出し、同時にSUVなどを含めプラグインハイブリッド車(PHEV)の車種も急増している背景に、こうした強制力を持つ規制がある。

2021年からCO2規制が強化される欧州では、各自動車メーカーが次々と新型EVを発表している。ポルシェまでが「タイカン」を売り出した

 米国は、1990年代初頭からZEV(ゼロ・エミッション・ヴィークル)法がカリフォルニア州で施行され、ただしその実施は、リチウムイオンバッテリーが実用化する2012年まで繰り延べられてきた。さらに、2018年から対象自動車メーカーが広範囲に広がり、販売台数の多少にかかわらずZEV規制への適合が求められるようになった。

 この規制には、EVだけでなくPHEVも割引率を掛けながらも対象とされてきたが、PHEVが認められる台数は年を追うごとに減っていく。カリフォルニア州の目的は、何より排出ガスゼロ車の普及を目指すからだ。

 2020年カリフォルニア州で販売される新車のうち、9.5%をZEVとする。そのうちEVは6%、PHEVは3.5%であった。だが、2025年には新車販売の22%までZEVとすることが求められ、その内訳はEVが16%で、PHEVは6%にとどまる。

 したがって米国の自動車メーカーも、キャデラックの「リリック」や、フォード「マスタング・マッハE」などEV導入に積極的な姿勢を見せているのは、いつまでもPHEVに依存できないなら、早くEVへ転向し、市場形成したほうが得策だと考えるからだろう。

 とくにプレミアムブランドを自認するメーカーであったり、プレミアムな車種であったりする場合、EVのほうが静粛性も乗り心地も、そして動力性能も高くなり、一方で従来主力だったV8エンジンを止め、V6エンジンやハイブリッドとしなければならないなら、EVのほうがずっと高級になるからでもある。高級車なら、リチウムイオンバッテリーの原価分も販売価格に転嫁しやすくもある。

写真はキャデラック「リリック」。米国では、ガソリン車やPHEVから脱却する動きが進んでいる

次ページは : ■日本でもEVの普及は進むか!? その期待と課題

最新号

ベストカー最新号

【新型ランクルプラド 来年夏登場】新型86&BRZ初試乗!!|ベストカー8月26日号

本日、ベストカー8月26日号発売!! ランクルプラド、アルファードの次期型最新情報から、新型86&BRZ初試乗、シボレーコルベット公道初試乗など盛りだくさんの内容でお届けします!

カタログ