■ヤマハ OX99-11
1992年にイギリスのロンドンで世界初公開
ヤマハは1985年、F2選手権用エンジンとして2L V6 5バルブDOHCの「OX66」を開発。その後もOXエンジンは進化を続け、1991年にはF1用の3.5L V12「OX99」を開発するに至る。
で、そのF1用エンジンを搭載するスーパースポーツカーとして計画され、1992年5月にロンドンで発表されたのが「ヤマハ OX99-11」だった。
F1用であるOX99型エンジンを公道でも走行可能なレベルにデチューンしたうえで、カーボンファイバーとアルミニウム製のハニカムモノコックにミッドシップ搭載。
特徴的なカウルは、FRPだけでなくアルミニウムの叩き出しも用いられるという凝りようで、デザインを担当したのは、かの由良拓也氏である。
左右ではなく前後に2人乗るタンデムシートも特徴的だったOX99-11は「最高速度350km/h、0-100km/h加速3.2秒」と公表され、英国で生産を開始。だがバブル崩壊に伴うヤマハの業績不振のため、OX99-11の計画は1993年に撤回されてしまった。
「バブルの徒花」と言ってしまえばそれまでかもしれない。だがOX99-11のデザインと独自性には、そう切って捨てるには忍びない美しさがある。
■ジオット キャピスタ
1989年の東京モーターショーで世界初公開
「ジオット キャスピタ」は、服飾メーカーであるワコールの出資で1988年に設立された「ジオット」が企画し、童夢が開発と製作を行った和製スーパーカー。
搭載予定だったエンジンは、F1のエンジン製作も行っていたイタリアのモトーリ・モデルニとスバルが共同開発する「1235」というF1用3.5L水平対向12気筒である。
だが肝心の1235エンジンがF1でまったく不振だったため(予備予選を一度も通過できなかった)、スバルはとっとと撤退。
そしてモトーリ・モデルニとの提携も解消したため、残されたワコール(ジオット)は水平対向12気筒に代わるエンジンを探さなくてはならなくなった。
結果としてエンジン・ディベロップメント社のF1用V10エンジンを搭載することが決定したが、もともと水平対向エンジンを搭載する前提で開発されてきた車にV型エンジンを搭載することになったため、設計はなんだかよくわからないことに。
その後、いちおう2台のジオット キャスピタが完成はしたが、時はすでにバブル崩壊後。和製スーパーカービジネスが成り立つムードは皆無であったため、市販には至らなかった。
こちらこそ「バブルの徒花」と呼ぶべき一台だとは思うが、それにしてもジオットキャスピタのデザインだけは非常に美しい。 さすがは下着メーカーのワコールである(というか、実際にデザインしたのはGMやオペル、フォードなどに在籍していた有名デザイナーの伊藤邦久氏なので、ワコールの下着はぜんぜん関係ないのですが!)
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