■販売期間わずか1年8カ月 ヴォルツ生産終了の背景
キャバリエの反省を活かして(?)、GMの車をただ売るのではなく、企画や設計、生産にもトヨタが積極的に関与したヴォルツが、あっけなく散ってしまった理由。
それは、「逆輸入車にはあまり良いイメージがない」という2002年当時のムードもあったでしょうが、根本的には「デザインがなんだかよくわからなかった」ということに尽きると思われます。
走りの質が前項で述べたとおり「可もなく不可もなく」ぐらいだったとしても、これまた既述のとおり、使い勝手等はなかなか悪くない車でした。
そのため、もう少しデザインがマトモでさえあったなら、ヒット作になったかどうかは微妙ですが、さすがに「1年8カ月でとっとと終了」ということにはならなかったはずです。
ヴォルツのデザインをどちら様が担当したのか、あいにく筆者は知りませんが、おそらくはアメリカ側の誰かなのでしょう(違っていたらすみません)。
もしもそうだとすると、アメリカの自動車メーカーと日本のメーカーが共同で車を作る場合、そしてそれを日本市場でも積極的に売りたいと考えた場合は、アメリカのデザイナーには(申し訳ないですが)任せないことにするのが絶対の正解です。
というか、正確にはデザイナーの国籍うんぬんではなく「アメリカの一般庶民の好みを優先させてしまってはダメだ」ということです。
その昔、深夜に再放送されていたアメリカの警察ものドラマなどに出てくる「現地の普通の人が普通に乗っている車」のデザインは、はっきり言って日本人には完全に謎です。
もちろん、「あれが好きなんだよ!」という人もいらっしゃるでしょうが、その数は、筆者のこれまでのフィールド調査によれば圧倒的に少数です。
走行性能の部分については両者の嗜好は重なる部分も多いはずの両国民ですが、スポーツカー等ではない「実用車のデザイン」に関しては、アメリカン一般人のセンスと、筆者を含むジャパニーズ一般人のセンスの間には三千里ほどの距離があります。なぜかは知りませんが、とにかくそうなのです。
まぁヴォルツの場合はそもそも日本で頑張って売るつもりはさほどなかったのかもしれませんが、いずれにせよトヨタ ヴォルツは、日本では「短期間に廃番になるべくしてなった一台」でした。
■トヨタ ヴォルツ主要諸元
・全長×全幅×全高:4365mm×1775mm×1605mm
・ホイールベース:2600mm
・車重:1270kg
・エンジン:直列4気筒DOHC、1795cc
・最高出力:190ps/7600rpm
・最大トルク:18.4kgm/6800rpm
・燃費:12.2km/L(10・15モード)
・価格:199万8000円(2002年式 Z)
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