ドライバーなら必修項目!! 雪でスタック&立ち往生した時に覚えておきたい注意点


 気候変動による温暖化の影響もあってか、今年は日本海側の降雪が一段と激しい印象だ。暖冬は湿った空気が流れ込んでくるために、むしろ降雪量が増えることも多い。

 雪国在住のドライバーであれば、降雪時や凍結路での走り方、注意点なども心得ていることだろうから、ちょっとやそっとでは立ち往生なんてすることはないだろう。首都圏以西のドライバーが地元で大雪に見舞われたり、雪が降っていないからと夏タイヤのまま降雪地帯を訪れることで、立ち往生してしまうことは珍しくない。

 イザとなればロードサービスに救援を依頼して……なんて考えている人もいるだろうが、それは2つの点で問題があることを覚えておくべきだ。ひとつは豪雪地帯などでは都市部以外では通信環境がキャリアによって大きく変わることが珍しくない。郊外では通信圏外になってしまい、ロードサービスを呼ぼうとしても難しい場合もあるのだ。

 また、大雪などで自分が立ち往生してしまってロードサービスを呼ぼうとしているという状況であれば、ほかのドライバーも同じような状況にあることも多い。つまり救援の依頼が殺到して、ロードサービスはパンク状態になり、呼んでも到着まで何時間も待たされる、なんて状態もあり得る。つまり旅先や慣れない大雪で立ち往生してしまったら、救援を呼んでもすぐには来てもらえないと思っていたほうがいい。

 ということは何らかのハプニングで立ち往生してしまうことを想定して、自力で脱出できるためのスキルやアイテムを用意しておくか、長時間の救援待ちに耐えるだけのグッズを搭載して、不安なく待てるだけの準備をしておくべきなのである。どの程度までアイテムやグッズを用意するかは、個人の不安度やクルマの特性、積載スペースなどで判断すべきだろう。

 今回はもしもの時のために押さえておきたいポイントを解説していく。

文/高根英幸
写真/Adobe Stock(tsuguliev@Adobe Stock)、編集部

【画像ギャラリー】スタック&立ち往生した時はこうしよう! パニックにならないように知っておきたい注意点


■氷雪路でのスタック時の対処法と役立つアイテム

 雪道での立ち往生と言えば、まずイメージされるのがコントロールを失って路肩の雪に乗り上げたり、側溝への脱輪、田畑の縁に落ちたりするようなシーンだ。

 たとえスタッドレスタイヤを履いていてもオーバースピードだったり、路面の状況が急に変わったり、ちょっと操作がラフだったりと、何かがきっかけでスピンモードに陥って、あれあれと乗り上げたり脱輪してしまうケースである。

脱輪のほかにも、車高の低いクルマはタイヤの間に溜まった雪に乗り上げてスタックすることも多い。スタッドレスタイヤを履いていても、タイヤが浮いてしまうと、そのままでは脱出することができない(Dusan Kostic@Adobe Stock)

 普通のクルマにはLSD(リミテッド・スリップ・デフ)が装備されていないから、片方の駆動輪が空転するともう片方には駆動力が伝わらなくなってしまう。SUVなどではブレーキを片利きさせて空転を抑えるEDCが装備されているクルマも多いが、それがなければスタッドレスでも路面状況によっては空転して進めなくなってしまう場合もある。

 大きな障害がない平坦な状態であれば、ブレーキペダルを左足で軽く踏みながら右足でアクセルペダルを踏んで空転を抑えながらもう片方の駆動輪に駆動力を伝えるようにすると、スルリと発進できる場合もあるので、まずは試してみてほしい。

 通常の脱輪と異なるのは、全域に積雪やそれが凍ってしまっている場合、人力での脱出はかなり難しいということだ。例えばぬかるみにハマった場合は、およそ0.3馬力と言われる人力が意外と活躍する。それはタイヤがグリップを失うようなシーンでも、人力でクルマを押すと進むのだが、ツルツルの氷雪路では踏ん張りが効かないから、これはあまり期待できない。

 だからこそのスキルやアイテムである。筆頭はタイヤの下に噛ませる脱出用プレートやラダーだろう。これは板状のものとロール状に巻いて収納できるタイプがある。砂地などでは板状のほうが向いているが、雪であればロール状のモノでもかなり効果が期待できる。

 空転しているタイヤと路面の間に差し込むようにして、雪に食い込むようにラダーを踏み付けてグリップさせるようにして使う。前方に脱出するならば駆動輪の前側に差し込むことになるが、クルマの床面近くまで屈みこんで作業することになる。そこで袖付きの手袋(タイヤチェーンに付属している場合も多い)や地面に敷いてもいい古毛布などもあると作業しやすいし寒さ対策にもなり、服も汚れにくいので脱出後の後始末も楽だ。

 けん引ロープは他車にけん引してもらったり、自分がけん引してあげる際にも役立つ(ほかのアイテムも同様だが)。使うコツは、故障車をけん引していく場合と異なり、ロープを弛ませた状態から発進してけん引車の慣性力を利用して一気に引っ張り出すようにする。

 乗り越えてしまった雪の壁を崩して脱出しやすくしたり、脱出用プレートを雪面に埋め込むなど作業に重宝するのが大きなスコップ(シャベル)だ。折たたみ式であればかさ張りにくいので、雪道を走るなら積んでおきたい。

救助を頼めるクルマが周囲に居ても、けん引ロープを持っていない場合が多い。自身で積んでおくことで万が一の場合に役立つ。けん引する場合、どちらのクルマも、トラクションコントロールや横滑り防止装置(VDC、ESPなど)はオフに
こちらは2014年に関東を襲った大雪で、実際に立ち往生を経験した編集部員が常に積んでいるアルミ製の折りたたみ式スコップ。氷を砕くのには向かないが、積もった雪を取り除く際には活躍する
スタックした時に使用する脱出用プレート。折りたたみ式の物なら、使わない時も場所を取らない。フロアマットは雪面に食い込まず、タイヤが回転すると後方に吹き飛んでしまうことがあるので、専用の物を用意したい

 少々アイテムとしては大ぶりではあるが、雪道を走るなら積んでおくと心強いのがエアージャッキだ。これは排気ガスの圧力を利用して、クルマを持ち上げるモノで、オフロードでのスタックでも雪道でも使える。マフラーに干渉しないよう設置してクルマを持ち上げたら、脱出したい方向にクルマを押してやるとエアジャッキが回って移動できる。滑りやすい路面では、転んで怪我をしないように気を付けて作業しよう。

■そのほかにも積んでおきたいもの、救援待ちの心得

 スタッドレスタイヤでも夏タイヤでも、冬の寒冷地を訪れるならタイヤチェーンも忘れてほしくない装備のひとつだ。

 チェーン規制が敷かれると、スタッドレスタイヤでも走行不可になる道路もある。それに完全に凍った坂道などはスタッドレスタイヤでもほとんどグリップしない場合がある。

 タイヤに被せる布製チェーンやタイヤ表面に粘着力を与えるスプレー式のケミカルもあり手軽だが、氷雪路での走破性は金属チェーンには敵わない。こういう時のために安い金属チェーン(できれば亀甲型)を積んでおくと安心だ。

 ただし、金属チェーンは舗装路での耐久性が低く、走行中に切れてしまうとボディを傷付けてしまうことになるので、基本はスタッドレスを履き、金属チェーンは応急用と考えておこう。

金属チェーンの場合、雪があってもなくても、走行速度は最高30km/hぐらいまで。チェーンは正しく使わないと意味がない。自分のクルマのチェーンを巻くべき駆動輪も事前に調べておいてもらいたい(Lsantilli@Adobe Stock)

 寒冷地での立ち往生は、スタックだけとは限らない。気温の低下によるバッテリー上がりも大いにあり得る。リチウムイオンバッテリーを内蔵したジャンプスターター、もしくはブースターケーブルを積んでおくと、こんなハプニングに遭っても安心だ。

 これまで紹介した装備を搭載していても、自分たちだけでは脱出不可能なこともある。考え方としては、まず自分たちで脱出に挑戦して、何度か試してダメなら諦めて救援を呼ぶことだ。そして車内で救援を待つ間にも、持っているアイテムで別の脱出方法を考えたり、体力を温存することを心がけよう。

 車内で救援を待っている間にも、あると便利なモノはある。エンジンが掛かるならヒーターは使えるが、長時間となると燃料切れの心配も出てくる。作業用の古毛布とは別に、応急用のコンパクトな毛布など身体を暖めるものを搭載しておきたい。

 スマホの電池切れも救援待ちでは死活問題になる。ちょっと大きめのモバイルバッテリーを搭載しておき、走行中に充電しておくと、何かと便利だ。

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